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2015-01-18(Sun)

「靴をなくした天使」

靴をなくした天使

ダスティン・ホフマン主演の1992年作品。

主人公のバーニーはカードの転売やら窃盗をしている男で、
離婚した妻と暮らしている息子のことは愛しているけれど、
口は悪いし手癖も悪い。
犯した罪の刑期が決まるまでのほんの短い日々の中、
息子と一緒に映画をみる約束をしていて、
どしゃぶりの中向かっているとなんと目の前に飛行機が墜落。
ドアが開かず閉じ込められた人達の救いの声をどうしても無視できず、
扉に体当たりし、小さな子供に「パパを助けて」と懇願されて
仕方なく燃える飛行機の中で、動けずにいた人たちを救い出すも
結局「パパ」は見つからないまま飛行機は爆発。
申し訳なさから現場を去り、車はポンコツになってしまったので
たまたま出会ったホームレスの車に乗せてもらって、
事故の話と、片方なくしてしまった靴をあげて帰ってきたら……

という話。

飛行機ににたまたま乗っていたテレビリポーターのゲイルが
靴を片方なくした「命の恩人」を探し始め、
100万ドルの謝礼が提示されて大混乱に。
バーニーももらいにいこうとするも、おとり捜査にまんまとひっかかって収監。
かわりに「ヒーロー」認定されたのは車に乗せてくれたホームレスのババー。

しかもこのババーがね。
ものすごくいい奴なの。
100万ドルか……って思って行ってみただけだったと思うんだよね。
靴もあるし。
とはいえ、あの時のお方と認定され、世間中から称賛をあび、
美しい女性リポーターに言い寄られると良心の呵責がスパーク。
目にしたかつての自分と同じ、ホームレスの人たちのために
皆さん手を差し伸べて下さい、なんて言っちゃう。
病院の慰問をしたら、意識不明だった少年が目を覚ましたりと
ババーの聖人パワーは半端ないのです。

一方で本当のヒーローであるバーニーは、
牢獄で嘘付き呼ばわりされ、元妻には話を聞いてもらえず、
誰からの信頼もない状態。

怒りの余りババーのもとへ駆けつけて嘘付き野郎と怒鳴ると、
それに気が付いたババーは精神的に追い詰められて自殺を図ろうとし
それをバーニーが止めておしまい。


バーニーが気の毒でならない話なんですが、
最後にみせてくれた男気のカッコよさがハンパない。
根っこの部分では悪い人ではないから、元妻も泣いてくれるし、
息子だって信じてくれる。
美人レポーターのゲイルが真実に気が付いた瞬間の取り乱しぶり、
マスコミの報道の仕方の罪深さなどなど、
見るべきところの多い映画だなと思いました。

アンディ・ガルシアがかっこよく、ジーナ・デイヴィスは本当に美人。
最後どうなったか、想像してニヤニヤしてしまった。いい一本でした。

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2015-01-18(Sun)

「カポーティ」

ああ観てみたかったやつだーということで「カポーティ」。
2005年の映画だと最初に出てきてショック。10年前だ。

見てみたかったはずなのに、内容についてはまったく把握しておらず。
そう、超有名な作家が主人公で、自伝的な内容、
「冷血」という作品を書きあげるまでの話
っていう知識ゼロの状態でみたわけです。

トルーマン・カポーティは若くして天才と評された小説家で、
「ティファニーで朝食を」などの作者。
ぱっと見ただけで、変人の空気を放っているのがわかる。
頭の回転が速くて、常人には理解できない世界の中に身を置いているなと。

ほんの数分でそう感じられて、ぐっと引き込まれて最後まで。
非常に重いドラマ。

「冷血」は彼自身にとっても、小説界にとっても初めての
「ノンフィクションノベル」作品であり、
実際にカンザスで起きた一家惨殺事件についてとりあげたもの。

事件について調べ、最初はただの記事として書くつもりだったのが
小説にしようと心に決めて、犯人の逮捕から、最終的には
死刑の執行にまで付き合うことになる。
そこまで、濃密に事件と共に時間を過ごして、作品を書き上げたという話。

「冷血」がさすものは、犯人のことでもあり、書き上げた
カポーティ自身のことでもあるんだろう、と思った。
小説を書きたいので、犯人のうちの一人であるペリーに入れあげ、
嘘をついてまで事件の話をさせる。
早々に死刑になってしまっては困るから、いい弁護士までつけちゃう。

ペリーとは生まれ育ちに共通点があって感情移入している風でもあって、
小説のために利用してやろうとしたのも本当だし、
自分と枝分かれしたもう一つの人生だと感じたのも本当なんだろう。

彼から友情を押し付けられて窮屈で、
でも失うとなればどうしようもなく哀しくて、と

この後なにも書き上げられずにおわる、というのも納得できる。

うまく感想がかけないな。これは観ないと始まらない気がする。
とにかく観て良かった。

心にずーんと重く残る作品でありました。

見入ってしまったので、アイロンかけながらみてたんですが
コンセントが抜けていたのに気が付きませんでした。

仕方がないのでかけ直した。

2015-01-16(Fri)

「オーバードライヴ」

オーバードライヴ
原題は「SNITCH」、2013年公開の映画の「オーバードライヴ」です。
主演はロック様ことドウェイン・ジョンソン。この時点でもう強い。

SNITCHは密告、ということでなるほどのタイトル。
でも密告だと重いよねー。いや、充分重い内容でしたけれども。
というかこれ、実際にあった系でした。アメリカ怖い。

ロック様演じる主人公ジョンは元トラック野郎の現在は運送業社長。
妻と子を愛する良識的な出来るダディなんだけど、
そこに「離婚した妻と一緒に暮らしていた息子」が逮捕されたと連絡がくる。

息子のジェイソンは、ちょっとした好奇心と友情のために、
友人から麻薬を預かっちゃうのですが、それが実は罠で、

○麻薬の売人として見つかる→初犯だろうが懲役10年
○ただし、他の売人の情報を渡せば大幅に減刑される

という制度があって、友人にまんまとハメられたという。
ジェイソンは逮捕され、即刑務所にブチこまれてしまいます。
売人を知ってた言え、知らないなら麻薬に興味のありそうなヤツを売れ、
と迫られるも、友人を陥れたくない、知り合いに売人は本当にいないということで
地獄の懲役10年以上コースに足を突っ込んでしまう。

ジョンが面会に行くと、既に性質の悪い服役囚にボコられた様子のジェイソン。
なのに、助けを求めず、離婚して離れて行った父へしていた嫌がらせを告白し
ごめんなさいを伝えるだけ。

ここで、父の愛に火がついちゃうわけです。
息子が売人の情報を持っていないなら、俺が仕入れてきてやるぜ!と
連邦検事に名乗り出ちゃう。→売人探しがいつの間にか超巨大カルテルのボス捕獲計画へーー
というお話。

検事役のスーザン・サランドンもいい感じにイヤなおばさまで、
非常になんというか、堅実なつくりの話でした。
ロック様から迸る強者のオーラが封印されていて、
あくまで「元トラック野郎の燃える父」として活躍している。
従業員の中で唯一過去に売人と接点のあったであろうダニエルと協力し、
最終的にはメキシコに潜入、超ヤバい組織と戦う羽目になるんだけど
やっぱり戦わないの。ロック様じゃないの。想像と違っていたんだけど、
でもすごくいい話というか……。もしかしたらロック様じゃない方が
リアリティ出たかもしれないけど(だって強そうなんだもん……)
でも、過ちを犯したもののまっすぐな息子と、
離婚したとはいえ自分の子を愛している正義感の強い父の
愛情に溢れた物語で良かったです。

現妻と子にしてみればたまったもんじゃないけどね。
せっかく足を洗おうとしていたところ、盛大に巻き込まれたサメ使い……は
最後に粋なところ見せてもらって満足してたとは思うけど大変だったよね。

想像と違い過ぎてて、なんだか不思議な気分なんだけど、いい映画でした。
麻薬をテーマに2本連続で見たけれど、温度差が凄すぎて変な笑いが出ちゃった。

2015-01-13(Tue)

「なんちゃって家族」

なんちゃって家族
原題は「WE'RE THE MIRRORS」で
麻薬を密輸するために家族を偽装した4人のお話。お下劣系コメディ。
偽名がミラーだったので、WE'RE THE MIRRORS。

主人公は麻薬の売人のデヴィッド。
同じアパートに住む少年ケニーが
チンピラに絡まれた女の子を助ける→仕方なく加勢→売人とバレる
→薬と金をねこそぎ奪われ→許してもらいたければこういう仕事しろ

という流れで、元締めからムチャぶりされたのが麻薬の密輸。
メキシコから少量運び込めという話なんだけど
国境を超えるのが大変→どうしよう?

仲良しファミリーがキャンピングカーでわいわいやってれば
案外するっといけるんじゃね!?

みたいな思いつきで、偽装家族のメンバーを集め始める。
トラブルの原因になった冴えない少年ケニーは強制参加。息子役。
ケニーが助けようとしたホームレスの少女、ケイシーにも1000ドルで参加させる。娘役。
そしてお金がなくて困っている、同じアパートの住人である
場末のストリッパー・ローズがママ役で参加!

最初はガタガタの4人も、協力しているうちにいい感じに仲間になる。
そういうコメディ。テンポが良く、下ネタもなんというか
素晴らしいギリギリ感で嫌悪まではいかないエッジのきいた仕上がり。
まあ、お下劣だけどさ!

センスがあちこち尖っていて良かった。
ローズはストリッパーなのにまとも過ぎてあんまりエロくないのに
店自体は本気で最悪。今日から売春せい、とかね。
向かいの店に売り上げが負けてる→アップルストアとか。
元締めの部屋の水槽もいいし、床にビニール敷いてあるのデクスターで見た!とか。
あちこちツボでした。

旅の途中で出会った超ファンシーな一家のキャラクター付けとか
ほどよいやりすぎアメリカンジョークなムード満載で思わずケラケラ。

最後の落とし方も、良かった。
ベタベタなんだけど、デヴィッドのキャラクターのせいなのかな。
しょうがないなあこいつら、楽しそうで良かったな、となる。
過剰なエロがないのも良かったね。言動だけでね。
途中のイラスト当てクイズとか本当酷かったよねw
テントでのスワッピング寸前のとこのドンの台詞とか。

面白かった。掘り出しものの一本でした。

2015-01-10(Sat)

「オズ はじまりの戦い」

昼間に見ていい映画ってことで、
「オズ はじまりの戦い」をチョイス。

うーんディズニー。すっごいディズニー臭。
サム・ライミ監督だしと思ってみたけど
やっぱりこのディズニーっぽさ全開の作品は好きじゃないなあ!

オズの魔法使いの前日譚、エメラルドの国の王様オズが
やってきたころの話っていう設定。

オズの魔法使いに出てくるオズは、
ただのよぼよぼの爺さんであり、魔法は使えない。ただのマジシャンである。
なのでこの話の主人公も、ただのマジシャンであり、
しかも女に手が早くてペテン師のマジシャンだったりする。

最初に出てきた西の魔女セオドラなんか、
正直コイツな粉かけなかったらあんな緑にならなかったでしょ……と思う。
他の二人の魔女、良い魔女も悪い魔女に関しては別に問題なし。
水の妖精、おともの子ザルは造形が微妙であんま好きじゃない感じ。

背景はとても美しくて、特に最初モノクロで描かれていたカンザスから
色づいていくところは素敵だった。
でもそれだけというか。
話そのものはとても夢に溢れていて、少年少女に見てもらえば
素晴らしい物語のように思う。
でもなんなんだろう、ディズニーの手がける映画には間違いなく
ディズニー粒子が最大限まで溢れていて、画面に滲み出ていて
私はそれがたまらなく嫌いだってことがわかった。

正義、平等、平和、勝利、憎み切れない悪役などなど、
要素のなにもかもがハッキリクッキリ描かれ過ぎているのかもしれない。
同じ理由で、パイレーツオブカリビアンも受け入れられなかった。

陶器の女の子はとても可愛かった。それだけは本当に良かった。