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2014-10-18(Sat)

「グッドフェローズ」

グッドフェローズ

デ・ニーロ祭りというか、ロバート・デ・ニーロと
マーティン・スコセッシ祭りでした。

今回はこの監督と俳優の組み合わせのものを4本借りて、
最後にグッドフェローズを見ましたがまー、良かった。

ギャングに憧れてギャングになった男の話。
実話ベースで、特典の音声解説にはご本人が出てくるそうな。

派手な話ではなく、リアルな話。
幼い頃、実直に働く人生ではなく、人にコケにされない人生を選んだ少年。
実力者に気に入られた主人公と、気に入られずに死んでいった者。
掟と、実力者のいうことがすべての世界。
悪いことばかりしているので、逮捕され、でも力があるから快適な牢獄生活。
金も女も家庭も手に入れて栄華を極め、でもやっぱり悪いことしてるわけで、
衰退し、クスリで少しずつ精神の安定も失って落ちていく。

タイトルの「グッドフェローズ」は「いい仲間」みたいな意味だというけれど
都合のいい仲良しだけをそう呼ぶのだろうなーなんて気分に。

最後はちゃんと裏切ったもんね。自分が可愛い。人間そんなもん。
葛藤はすれど、自分を選んだ。
そんな小物感が出た最後に、うーんと唸ってしまった。

迫力のある演技と映像、主人公を演じたレイ・リオッタの男前感。
そして、ああこの年代が一番キテたなあ、っていうデ・ニーロの
抑えながらも存在感のある演技。

ジャケットは地味だけど、重厚感があって良い。
同じ題材でも、スコセッシ監督じゃなかったら全然違うんだろうなあ。
面白かったです。
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2014-10-16(Thu)

「レイジング・ブル」

レイジング・ブル

ずっと前に書いた短編に小ネタで出したのに
未見だったっていう。

多分、ネタとしてしゃべった冬樹もみたことなかったんでしょう。
ボクサーって大変だから、減量とかあってストイックなんだよなんて、
この映画観ても思わないだろうからw


まず、若々しいデ・ニーロに慣れてないなって
最初に思いました。すぐに父ちゃんって思うからいけないのかな。

若々しいデ・ニーロがボクサー役で出てきます。
白黒映画です。
実在の人物の人生を映画化したものです。


時代が違うから、ということで色々飲みこみますが、
あれだよね。昔の映画って本当に
女性が雑に扱われているよねw

これこそリアルだってことなんだろうけども
見ていてまず、妻への当たりっぷりだとか
「そう簡単にはヤラせない」という判断具合とかに
ちょっと気持ちが遠くなってしまう今日この頃。

それは仕方ないのでおいといて、

主人公のジェイク・ラモッタはとても勝手で疑り深い。
周囲の人間は彼に付き合いきれなくなって去っていく。

これだけ書くと、悲しい話みたいに思えるけれども
それでもジェイクは一人で立っていられる。
強いから。その姿がとてつもなくかっこいいから、この映画は支持されるんだろう。

ボクシングというスポーツがどうして愛されるのか?
その疑問にも答えてくれる映画かもしれない。
あんなのただ殴りあってるだけでしょ、と普段は思うんだけど
ああなるほど、という気分になった。言葉に出来ないけれど、そんな風に感じた。

2014-10-14(Tue)

「タクシードライバー」

タクシードライバー

超今更感が漂っているものの、
とりあえずジャック・ニコルソンブームは終了して、
お次はデ・ニーロ強化月間に。
ってことで、タクシードライバー。


海兵隊から除隊して職を探す男、トラヴィスがタクシードライバーになるところから話が始まる。
不眠症で、することも会う人もいない。そういう空虚な暮らしをしている。

まず、デ・ニーロが若い(当たり前だけど)。
もう38年も前の映画なんだなー。生まれる前の作品なのだなーと感心。
若くてツヤツヤしていたけれど、デ・ニーロはデ・ニーロでした。
父ちゃんそっくり。


トラヴィスは戦争にいった経験があるという点で
現代日本の感覚からいうと特殊な人間なんだけれど、
彼の抱える孤独や苛立ち、社会への歪んだ気持ちなどは
よくわかると、シンパシーを感じられる人は多いのではないだろうか。

孤独で、女性との付き合い方がうまくなくて、
自分という存在を認められたい、承認されたいという強烈な思いがある。
現代にはたくさんのトラヴィスがいるのじゃないかと。

こういう本質をついた作品は、古さを感じさせない。故に名作と呼ばれるのだ……
みたいな気分になりました。そう言いたくなる凄みと鋭さがあった。


最終的に色んな失敗を重ねた結果、思わぬ形でトラヴィスは英雄になる。
でも彼は満たされていない。最後にミラー越しに映った目が、そう思わせる。

いや、デ・ニーロって本当にいい役者!

鏡に向かって独り言を言ったり、自分を鍛えているシーンはハラハラした。
基本的に計画がグダグダしているところも、リアルで恐ろしい。

見て良かった。

次はレイジング・ブルを見ます。

2014-10-08(Wed)

「キング・オブ・コメディ」

キング・オブ・コメディ

お笑い芸人のじゃなくて、映画のタイトル。古い映画です。1983年。
ロバート・デ・ニーロ主演。監督はマーティン・スコセッシ。

シカゴと似た印象になるかな。
この世はやったもん勝ち的な、とてもブラックな話。

ただ、主人公のルパートがすごい妄想力の持ち主なので
あの華々しいラストはもしかしたら妄想なのではないかなんて思ったり。

ネタバレしてしまうとまったく面白くなくなってしまうので
詳細については省略。

コメディアンになりたい男が、憧れのスターに近付くために、
スターになるために手段を選ばない話、です。

デ・ニーロの痛々しい感じがすごいし、
ストーカーの女性のとげとげしさもすごい。
前しか見えない人達のリアル加減が非常にソリッドに描かれていて。素晴らしい。

いい映画でした。
これは是非、なんの予備知識もなく見たらいいと思う。

2014-10-03(Fri)

「時計じかけのオレンジ」

時計じかけのオレンジ

映画通が「あなたの好きな映画は?」って聞かれた時に
コレ、って答える。そういう印象の作品でした。
どういう話かは全然知らずに、なんとなく気が向いて鑑賞。

パッケージとかオサレーな感じー
とか思ってたら存外ヘヴィだったよね。

映画を見た時には、根っからの娯楽作品ではない場合
何を訴えたいのかとかよく考えるようにしているんだけど
今回はちょっと無理。生理的にすごく無理だった。

暴力描写は結構平気な性質なんだけど、これはキツイ。
どうして駄目だと思ったのか考えたけれど、
多分すごくリアルだから。

主人公たちは衝動のままに他人に暴行を加え、女を襲う。
この描写がいちいち包み隠さなさ過ぎていて、視覚的に辛い。
特に、女性が襲われるシーンは本当に辛い。
たとえば、すごく悪い奴が反撃にあって、というパターンなら仕方ないと思える。

昨日みた「イージー・ライダー」も辛かったんだよなー。

理由のない暴力っていうのは性質が悪い。
闇金ウシジマくんにも出て来るけど、「ただそこにいたから」っていうだけで
暴力を振るわれ、尊厳を根こそぎ奪われるというのは
創作物の中であっても観るのは辛かった。

それに加えて、主人公であるアレックスに
まったく反省が見られないっていうのが辛いなー。
それがひしひしと伝わってくるのが不愉快。

刑から逃れるために新しい治療を受け、苦痛を受けてはいるけれども
神父が言った通り、あれは更生なんかじゃない。それが辛い。
その後色々と酷い目にはあうけれど、そのせいでまた残虐な本性が目覚めるのもね。

こういう「人間の持つ邪悪さ」だとか、
非人間的な治療や、復讐心などなど
不愉快な気持ちが続々と湧き続けたのは、作品の持つ力であり効果なのだと思う。

だから、いいのかもしれない。
私のこの感想はこれでいいのかもしれないと思う。

にしても辛かったw

そして、スタイリッシュな悪っていうのは、毒だなとも。
真似したくなる、心をくすぐる要素が満載で、とても危険だなって。

胸の中がぐるぐるする映画だった。