いい映画だった……。
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公式サイトはこちら。
2013年アメリカの作品。短いけどぐっとくるいい映画。
主演のブリー・ラーソン、名前をどこでみたんだっけと思ったら
一番最近のアカデミー賞取った人でした。納得納得。
原題は「Short Term 12」で、これは主人公たちの働く施設の名前。
問題を抱えて家庭にいられない18歳未満の子供たちを預かる
短期入所施設で、主人公はそこのケアマネージャーであるグレイス。
グレイスと、同僚のメイソン、新入りのネイトが話しているところからスタート。
メイソンは自身の失敗について話して、ネイトを安心させている。
ところが突然、建物から男の子が奇声をあげながら飛び出してきて、
3人はその子を捕まえ、落ち着かせ、部屋へと戻していく。
これで、この施設がどんな場所か理解ができる。
グレイスはどうやら妊娠初期の模様で。
病院で確定診断を受けてすぐに、中絶手術の予約を入れてしまう。
彼女は同僚のメイソンと恋仲で同棲中であり
なかなか仕事のできる熱心なケアマネージャーであり、
施設には問題を抱えている精神的に不安定な子が大勢いるのが
ゆっくりとわかっていく。
18歳になるため、施設を出なければならないマーカス。
所長のつてで新しく入ってくる、感じの悪い女の子のジェイデン。
子供たちはそれぞれに傷と問題を抱えて、
安心できる施設で暮らしてはいるものの、
それは愛に包まれた家庭とはまったく別なもので。
グレイスたちは頑張っているけれど、彼らの心を完全には満たせないのです。
それをわかった上で、それでもきっちり支えていこうと頑張っていく。
そういう話なんですが、とにかく、過不足ない描写と
この難しいテーマへの答えの示し方が素晴らしかったなと思います。
施設のスタッフも、同じ問題に向かい合っていながら様々で、
長年やってきたんだから俺に間違いはないんだという所長、
意識高い系学生で、おそらくは恵まれた環境で育った新入りのネイト、
悲しい過去を持っているものの、養父母のおかげで愛を知ったメイソン、
そして、施設に身を寄せる子供たちに最も近い魂を持ったグレイス。
自分の経験から導き出せる想像や共感には限りがあって、
つらい思いをし、今でも心の奥底に悲しみを封じ込めているグレイスからすると
安易な決断を下す所長も、子供の心を理解しようとしないカウンセラーも
いらだちの対象になってしまうんだよね。
グレイスはなかなか自分の心のうちのすべてを外に出せません。
恋人からとうとうプロポーズされても、
妊娠については打ち明けられず、結婚する決意も出来ない。
自分を傷つけた父親がまだ生きていて、刑務所にいるけど、
だけど出てくるかもしれなくて、出てきたらまた傷つくかもしれなくて……。
グレイスは自身の苦しみをそっと打ち明け、
自分とよく似た少女、ジェイデンに寄り添おうとします。
だけどジェイデンもまた、他人を安易に信じられない。
自分を傷つける存在について話せず、呪縛から抜け出せずに苦しむのです。
世の中のすべての大人が、メイソンの養父母のように
子供を優しく包み込める存在であればいいのに、と思ってやみません。
子供がいらないのなら、いっそ手放してもらいたい。
子供を積極的に育てる気はなくて、
だけど使い道があるから、手放す気はない。
そんな悪い、暗い思いを抱えた親と、その親から生まれ育てられた子供。
やさしさのない絆が生み出す悲しみをよく描いた映画でした。
グレイスはもがき苦しみ、かなり思い切った行動に出ようとします。
だけど一線を踏み越えず、やさしさを注いだジェイデンに思いが伝わって
最後はやっと、二人で一歩を踏み出せるようになるのです。
説教じみた話はなくて、
世の中捨てたもんじゃないから、
だからなんとか、自分の力で歩いていこう。
そんな思いを感じる映画でした。
途中、泣いちゃったよ。
結局心の豊かさが大事って話だよね。
この映画のことは、忘れないでいたいと思いました。はい。
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