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2017-02-27(Mon)

「LA LA LAND」

LA LA LAND

ただ今絶賛上演中の、アカデミー賞13部門14ノミネート!の作品を見てきました。
今日ちょうどアカデミー賞の発表があって、監督賞、主演女優賞なんかをゲット。
デイミアン監督おめでとうございます。
「セッション」がすごかったので、これも見てみよう!となって、映画館で。


こだわりが強くて売れないジャズのピアニスト・セバスチャンと、
女優になりたいけどオーディションで連敗中のミア。
2人が出会って、最初はお互いにいけすかない奴と思っていたのに、
夢を追っているんだと知って理解を深め合い、愛をはぐくんでいくんだけど……

ってなお話。
予告編でやっている華やかさ、ロマンチックさは画面で存分にみられるけど、
最終的には大人の、とても素敵なラブストーリーであったところだなあって感じです。
ミュージカルというか、音楽を効果的に使ったラブロマンスというべきか。


夢を追う、信じる道を進み続けていくって大変なことでね。
途中で傷ついたり、くじけたり、すべて投げ出したくなったりするのは当たり前。
夢は大きければ大きい程叶えるのは困難だし、
愛する人が隣にいるのはとても幸せなことだけど、
人間同士、二人で歩調を合わせて進み続けるには、
たくさんの現実と向き合わなきゃならないってことでして。

みたいな話なんだけど、終わり方はものすごくキレイで、
なんか知らないうちに泣いてましたよ。

美しいんじゃなくて、とてもきれいな話でした、と表現したい感じ。

お互いを思うがゆえに信念を曲げるし、理解しているからこそ痛いことも言う。
だけど切られれば痛いし、信念を曲げてまで尽くしたのにって思いも湧き上がる。

現実の為に道を逸れ、多くを手に入れたセバスチャン。
私もと続いて冒険したけれど、夢を見失ってしまうミア。
だけどそれも、人生のために必要な経験で
最後は二人して夢を叶えて、幸せなんだけど
その道の途中で捨てなければならないものもあって。

二人がおたがいに愛を伝えるシーンがあって、ラスト。
あの言葉は本当だと思うんだよね。
ああいう愛の形もあるんだと思うの。
本当に大切だからこそ、胸の中にしまいこんで、
目と目があった瞬間、思い出のメロディが流れ出した途端に
もっともっと幸せだったかもしれない人生について考えてしまうほどの
強い強い絆っていうんでしょうかね。
最後の二人のほんの少しの笑みが、
強い愛の結晶化っていうのかな。
愛は宝石になって、心の中にしまえるものなのかもしれない、
なんて思いましたね。本当に。

とにかく、エマ・ストーンがかわいい。
子猫みたいで超かわいい。
ライアン・ゴズリングに関しては「オンリー・ゴッド」しか見てないから
腕が蘇ってよかったなみたいな気分なんですけど、
ちょっと偏屈なセバスチャンを演じるのにピッタリだったと思います。

久しぶりに気持ちのいいラブストーリーを見たなあって思います。
現実的だけど、夢があって、優しくて、辛くて、最後はなんだかほっとしちゃうっていう。
カメラワークがすごく良くて、見ごたえがありました。
撮影賞も取ってて、納得です。

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2017-02-18(Sat)

「ロック・ザ・カスバ!」

ロック・ザ・カスバ!

2015年のアメリカ映画。

冴えない芸能マネージャーのリッチーが、
アメリカ軍の慰問のためにアフガニスタンに訪れる。
マネージャーをしているのはロニーという女性歌手なんだけど
彼女はこんな仕事はもちろんイヤ。
危険地帯ゆえにギャラは高くなり、それに目がくらんだリッチーだったけど
ロニーは彼の荷物を持ってトンズラしてしまう。

パスポートも航空券もなくなってカブールに取り残されるリッチー。
そこで巻き込まれたある黒い仕事で行った先で、
とても歌のうまいサリーマという少女に出会う。


その歌声にすっかり心とらわれて、
アフガニスタンで放映されている「アフガン・スター」という番組に
出して優勝させようとするも、
そもそも女性が人前で歌うこと自体がありえない現象という風習でして。

あんなにも素晴らしい歌声なのに。
認められないなんておかしい。
自由の国アメリカから来た男はサリーマを説得し、
「アフガン・スター」に出演させるのだが……


という話。
実話をベースに描かれているんですよね。
実際に、女性でありながら「アフガン・スター」に出演し、
物議をかもした方がいらっしゃったようなので。
保守的な層からは命すら狙われ、一族が根絶やしにされそうなほどの状態。
にも拘わらず、彼女は出演したんです。
女性をしばる厳しすぎる風習を破るために。

ただのコメディかと思記や、そうでもなかったですかね。
面白かったんだけどね、ブルース・ウィリスの使い方とか。

男女の平等どころじゃない世界で、
ただ歌うだけのことに命を賭けた勇敢な女性と、
彼女の手を取って高く掲げた男の物語でした。

とてもあやしげなケイト・ハドソンの役どころもすごくよくて、
リッチーとの組み合わせは絵になりましたねー。

うだつのあがらないマネージャーが、自分のすべてを賭けて立ち上がる。
そういう映画です。
誰かが命を賭けてくれたから、自分もそうしようと思える。

最後に歌った歌も良かったねー。なんだか涙が出ちゃいました。

勇気が伝染し、心を動かす話。いいものみました。

2017-02-02(Thu)

「ドーンオブザデッド」「ギャラクシー・クエスト」

ハリウッド映画を2本。

「ドーンオブザデッド」
2004年の作品。ハイスピードゾンビサバイバル映画。
もともとは1970年代につくられた「ゾンビ」のリメイクということですが
ゾンビパワーアップしすぎでしょ、ってところでしょうか。

ある日唐突に現れたゾンビに襲われて、
人々はあっという間に死に絶えていく世界。
運よく生き残った人たちがショッピングモールに立てこもり、
そこからちょっとずつ、希望と絶望を得ていく物語。
ゾンビがとにかく足が速いんですよ。
生きた人間に気が付いたらソッコーで全員集合して追ってくる。
ゾンビが出現してすぐの頃にはまだテレビの放送があって
そこに映った保安官の発言はかなりソリッド。
普通に頭を撃ってぶち殺すしかない、あとは焼いてしまえ、みたいな。

モールに集った生き残りたちは途中でゾンビになる原因を特定します。
噛まれてしまってはダメなんだと。
せっかく生き残った人々も少しずつ減っていき、
待望の赤ちゃんが生まれようとしている夫婦も、
せっかく逃げ延びたと思っていた父親と娘も、容赦ない別れを強いられていきます。

モールの中で安全を確保したあとの享楽的な過ごし方とか、
もしもこんな世界で生きることになったのなら……という
人間の描き方はとてもリアルだったなあと思います。

モールから離れたところで一人たてこもっていた武器屋のアンディ救出作戦から
物語は一気にクライマックスへ進んでいき、
なんとか新天地を目指そうとしていた人々は
仲間を失いながらも船に乗り航海へ……。

でも行きついた先も結局は地獄でした、という救いのなさすぎる終わり。
悲しいよねー。あれがアメリカだけでのことでしたー!
とかならまだいいんでしょうが。
とにかくゾンビがパワフルでして、
倒し方も超パワフルなので見ててイヤッホーな部分もありましたが
あんな世界の到来はいやだなあと心底思いました。




「ギャラクシー・クエスト」
こちらは1999年の作品。

20年ほど前に放送されていたSFドラマ「ギャラクシー・クエスト」。
そのキャストがSF大会でファンにもみくちゃにされているところから物語はスタート。
演じていた役者たちは今はそんなに仕事もなくて、
熱烈なファンたちと比べてとってもクールで落ち込んでいる。
お互いの仕事量やファンの数など、嫉妬したり見下したり。
とはいえ、結局は売れない役者でしかない彼らは空虚な日々を過ごしているんだけど
この日はファンの中になんだかちょっと妙な集団が混じっていた。

彼らは正真正銘の宇宙人で、「ギャラクシー・クエスト」を
勇敢に宇宙を旅したクルーたちの物語として、お手本として見ていたという設定。
サーミアンという名の彼らは悪徳宇宙人サリスに困っており、
クルーを招いて導いてほしいと願う。
そこからうっかり、宇宙をまたにかけた旅が始まってしまうのであった……。

という話で、これはとっても面白かった。
今のCGで作り直してほしいなってくらい楽しかったw
最初のSF大会の様子とか、こういうの日本でも特撮会とかであるんだろうなあと。
役の中でいやいや言っていたセリフも、
真剣なサーミアンたちの姿に打たれて本物に変わっていく。
そういうアツイ部分もあって、いや、名作でした。

ひさびさに軽やかな楽しい映画を見たかもしれません。

2017-01-11(Wed)

「オデッセイ」

オデッセイ
2015年、ハリウッド映画。

とうとう見ましたよ、映画館に行きたかったけど行けなかった火星残酷物語!
リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演。
ここんとこみていなかった超メジャー級エンタテイメント作品でした。

主人公のマーク・ワトニーは植物学者で、
火星の調査チームの一員をしてただいま火星で作業中。
ところが作業中に大きな嵐が来てしまい、
マークは一人吹っ飛ばされてしまう。
宇宙服が破損したとアナウンスが流れ、
視界が奪われた他のクルーたちはやむなくマーク捜索を断念。
計画を途中で中断させ、地球へと戻っていきます。

ところがマークの宇宙服は穴が開いていたものの、
破片がうまいこと刺さった上、血で塞がっていた。
ということで、生きていたんですがそこはたった一人、
宇宙服がなければ息もできないし、夜が来ればバリバリ氷点下になる環境。
食料は6人分あるけれど、順調に次の探査船が来るまではとても持たない。

まずは自分の傷をなんとか治療して、おっしゃおっしゃと気合を入れるマーク。
植物学者なめんなよ、ってな感じで、4年間を生き抜くための日々を始めるのです。


見てなによりも思ったのは、知性というものの大切さですね。
宇宙の厳しさというのは「グラヴィティ」でめちゃめちゃ見せつけられたんですけど、
それでも生き抜けたのはマークの知識のたまものです。
ずーっと昔に送られた探査機を掘り起こして再利用し、
ありとあらゆる修理をやってのけ、イモの栽培をこなしていく。
隊長の残していった音楽と一緒に生き抜いていく姿は素晴らしいの一言。
そして、ほんのかすかな痕跡から、マークの生存を確認しコンタクトをとったNASA。
火星という世界の果てで使えるものをフルに利用して、
コミュニケーションをとるっていうのがものすごくロマン。
最後までハラハラ、彼は無事に生きて戻れるのか……と楽しく見ましたよ。


ただ、引っかかるのはあの絶対的な孤独に対して、
たまにちょっとキレるだけですんじゃうマークのあまりのタフさが正直
リアルじゃないなってとこですかね。
あの環境で正常な精神保てるとかどういうことだよ……って。
グラヴィティのサンドラ・ブロックは宇宙船爆発→地球への帰還だけで
相当追い詰められてましたけど(当たり前なんだけどさ)
マークすごすぎない?ってなりました。
エンタメ映画なんだからそんなこと言わなくていいんだけど、
そういう点も含めて、ザ・アメリカって感じの映画だなと思いました(悪い意味ではなくて)。

あと、思い出したのは手塚治虫の「火の鳥」ですね。
宇宙を舞台にした作品が多くて、コールドスリープとか、惑星探索とか、
ああいう物語が無理のない実写で見られるんだなってしみじみ思いました。
CGすごいなあって単純に、楽しめる作品なんじゃないですかね。

*グラヴィティは邦題が「ゼロ・グラヴィティ」だったんですけど
 映画の内容的にむしろ原題そのまま「グラヴィティ」にしなきゃダメだろ
 って強く憤ったので「グラヴィティ」と表記してます。
 3Dで見ると最強の映画でした。

2017-01-04(Wed)

「トゥルー・ストーリー」「ドリームホーム 99%を操る男たち」

「トゥルー・ストーリー」

2015年の、アメリカの作品。
ジョナ・ヒルとジェームス・フランコってことで
ドあほな話かと思ってたら違ってたというか別の作品と勘違いしておりました。

ジョナ・ヒル演じる主人公のフィンケルはニューヨーク・タイムズの記者だったんだけど
内容をよりドラマチックにしたいという思いからか、記事を捏造してしまう。
それはすぐにバレて失職。
なんとか復活しようとネタを探していると、
自分の名を語ったという殺人犯の話が舞い込んでくる。

妻と三人の子供たちを殺したというロンゴと接見し、
心を通わせていくフィンケル。
自分たちは似ている、真に通じあえている。
無実を信じ、彼の物語を書き上げよう……なんて思っていたら
ロンゴの話はなにが真実でなにがウソなのかわからなくなっていって、

という話。

あけましておめでとう映画にしては重たかったなーって印象。
邦画だったら「凶悪」、洋画だったら「カポーティ」を彷彿とさせる作品でした。
詳しく話を聞いて、自分だけに打ち明けてくれているんだと感じたり、
すべてを世間に公表しなければ、それができるのは自分だけなんだと
特別な使命感に駆られていくうちに精神的に危うくなる、
っていうのは万国共通の話なのかもしれません。

共感というのは人間に必要な力かもしれませんが、
自分に起きた出来事だってなにもかもが真実なのかどうかわからないくらいなのにね、
他人の話が全部本当だなんて、というかそもそも、
すべての事象に正解があるかどうかなんてわかりゃしないのがこの世界ですから
思い入れが強くなればなるほどバランスは崩れていって
とてもあてにできないものになってしまうのだなあなんて思いましたよ。

だけど、なんとか記者として蘇りたいフィンケルは
その気持ちを利用され、翻弄されてしまいます。
そんな考え方をする男なんだと記事から見抜かれちゃっていたのかも。
悪意を持て余した男の、気まぐれな遊び。
そんな人間がこの世にいるんだっていう、恐ろしい話でした。実話だし。

その後記事を書けなくなったというのは、カポーティとおなじ。
信頼できなくなったんだろうなあって思います。
言葉も会話も、自分の思いが直接、間違いなく伝わることはありません。
受け取り手によってすべて違う。
その場で消えてしまう声は、訂正がきかないし、
その後まで残り続けてしまう文字は、なかったことにはできないし。

伝えるって勇気のいる仕事だよね……。と、しみじみしました。


あとは、書き忘れていたけど「ドリームホーム 99%を操る男たち」も見ました。

こちらはアメリカの住宅事情、特にリーマン・ショック後に起きた
住宅ローンを支払えずに家を差し押さえられた人たち続出現象について。
とてもシビアな追い出され方をされるという悲劇と
本当にお金を持っている一部の人たちだけが甘い汁を吸っていたんだよ
っていうとても厳しい現実を描いたサスペンスでした。

会社をクビになった時なんかもすんごいシビアな印象のアメリカですが
(外資の会社なら日本国内でも大変そうなんだけど)
家を追い出されるときはもっと厳しい。警官が来て追い出されちゃうし。
日本って優しいのな……って思いました(本当に図々しい人相手にはやきもきしますけど)。

結局この世は金と知恵……みたいな無常観漂う映画。
アメリカの経済、ローン、住宅事情も知っていればもっとこの無常を味わえるかも。

次はそろそろ「オデッセイ」みようかな!