2008年の作品。アン・ハサウェイ主演。
いや、できるよねアン・ハサウェイって思わされる出来でした。
主人公の女の子の名前はキムで、どうやらなんらかの施設から出てきたところ。
担当医やら同じ施設にいたであろう男の子と会話を交わして、
迎えに来てくれたお父さんと一緒に帰宅。
結婚式を目前に控えた家の中はとても賑やかで、
結婚するのはレイチェル、キムのお姉さんなんです。
学問に勤しみごくごくマトモな常識人であるところのお姉さんは
キムをやさしく迎え入れてくれるけれど、
施設帰りなだけあってなにかあるんでしょう、
姉のお友達はちょっぴり棘のある態度。
ドレスを試着している場所でタバコを吸い、
消せと言われてもなかなか消さない、
というか消さずにトイレでスパスパしちゃうあたり、
この主人公曲者なんだろな……という気配が充満し始める。
姉の結婚にあわせて施設を出たわけではなくて、
施設を出たタイミングがちょうど結婚式直前だったのがわかり始める。
キムを助けたいと願う父と、
結婚式の準備に追われる姉、
家を出て、離れたところで暮らしている母。
一家とその周辺の人たちとの交流の合間に、
キムの抱えている事情と、そして、家族を引き裂く大きなヒビとなった
過去の大きな大きな事件がわかっていくんですけどね。
こういう家族っているだろうなあっていうリアルさが充満する中、
なんだか不思議なカメラワークなんですよ。
キムは一生懸命ダメな自分と向き合おうとしているんですが、
どうしてもね、弱い子でね……。
過去についたどうでもいいウソがバレてしまって、
自分がかわいそう、自分を認めて、自分はがんばってる!と
自分自分自分、な態度が顰蹙を買っちゃう。
姉はなんとか争いにならないよう頑張るけれど、でもどうしても無理。
父はなんとか娘を認めようと思うけど、バランスが取れない。
責められてやるせなくなったキムは母のもとへ向かうけれど、
そこでとうとう、自分の犯した罪と向かいあうことになるんです。
向かいあうだけで、乗り越えられなくて、そして自暴自棄になり。
弱くてかわいそうな子を、常識のある人は責められないんですよね。
家族という血でできた鎖で結ばれていると、
突き放せないし、完全な無関係にはなれない。
で、なんだかんだで揉めた結果、お互いの思いが理解しあえて
良かったようなそうでもなかったような……
と思ってたら、不思議なカメラワークの謎が最後にわかってヒーンってなるという。
よくある人間同士の摩擦ドラマだっただけじゃない、
とはいえ、ただただおっかないだけでもなくて、
あれはきっと「好きだったから」なんだよねって最後にちょっと思ってエンド。
アン・ハサウェイが全然かわいくないんですよ。
すんごい擦れたダメ娘を好演しています。
あれ、アンだよね……?って最初になるという。
なかなか面白い映画でございました。
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