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2016-10-26(Wed)

「ザ・ビーチ」

2000年の作品。
主演はレオナルド・ディカプリオで、当時25歳くらいなのかな?
タイタニックの次の作品みたいですが、タイタニックの時にあった
アイドルっぽさが抜けて、私好みに一歩近づいたディカプリオでした。


なんとなくタイへ一人旅にやってきた青年リチャードが主人公。
安い宿屋に泊まってうだうだしていると、
ダフィという妙な男と出会う。
ダフィは「伝説のビーチ」なるものの話をリチャードに聞かせる。
いかに素晴らしく、美しい場所なのか。
そこへ至るための地図を残して、ダフィは死んでしまうのですが、
半信半疑ながら、リチャードはビーチを目指そうと決めます。
一歩踏み出さなければ、日常の強い輪から抜け出せないと考えて。

宿でお隣だったフランス人のカップルに声をかけ、
(彼女の方がかわいいので気になっているという)
船が出ていない目的地の島へ向かいます。
船がないなら泳げばいいじゃん、と。

もしかしたらちゃんと戻って来られないかもと不安になったリチャードは
出発前に親切にしてくれた同じ旅の若者たちに地図の写しをあげて、
島へ向かった泳ぎ出すんですが……。

という話。
ダフィの話していたビーチは本当にあって、
そこはとても美しく、俗世とはかけ離れたところなんです。
島の半分は、大麻をこっそり栽培している現地の人たちのもので、
もう半分は、せわしない現代の暮らしから解放されたくてやってきた
世界中の旅人たちが秩序を守って集落を作っている。

ビーチを管理しているのは、サルという名の女性。
彼女の指示でみんなが食料の調達をしたり、家を建てたりしてます。
ちゃんとボートも用意してあって、時には町へ買い出しにも行くんです。
リチャードも指名されて、集落のみんなのリクエストを聞いて買い物に行くんですが
ネオンの毒々しさ、人々の目の暗さなんかにすっかりうんざり。
あの美しいばかりのビーチに、この世の楽園に戻りたいとしか思わないという流れ。

ところが、事件が起きてしまいます。
その原因はいろいろあるんですけども、
ひとつは、リチャードが地図の写しを人にあげてしまったこと、
島へ買い出しに行った時に、お互い恋人がいるというのに
サルと関係をもってしまったことなどなど。

さらに、住人がサメに食べられちゃうんです。
一人は死に、一人は命からがら生き残る。
サメに噛まれた傷に苦しみながら、医者を呼んできてと頼むも、
サルはとにかくビーチを人に知られたくない。
生き延びたいのなら島へ渡れと冷たい態度。
どうしてもボートには乗りたくないと拒否し、苦しんでいると
呻く声が不愉快だと、島のはしっこに置き去りにされてしまう。

ビーチは楽園であって、不快な現実が入りこむ場所ではない。
そういう理由で、エチエンヌを除く全員が一人を見捨てます。

そもそも、住民との約束で、人をこれ以上増やしてはならないことになっており、
自分の作り上げた美しい場所を失いたくないサルは、
とにかくビーチを守ることを最優先にしてしまうのです。

そしてやってきた来訪者。
リチャードがビーチについて話し、地図を渡してしまった男たち。
四人がいかだに乗ってやってきてしまうんですが……。



若いうちは特にそうなりがちだと思うんですけども、
自分が大切にしているものって絶対に壊されたくない、
これこそが最高で、至高で、もっとも美しいもの、
理解なんかされなくてかまわない。これさえあれば他にはなにもいらない
みたいな思いに振り回されちゃうことってあるよね、ってことなのかな。
ところがこのビーチを守るための代償は、大きすぎた。

最後の最後、リチャードはちょっとおかしくなっていたんだけども、
その大きな犠牲を目の当たりにし、
彼の叫びと共に、一緒に暮らしていたひとびとも目を覚まします。

ひとつのものをじっと見つめすぎるあまり、
本当に他には目が向かず、思いを寄せられなくなる。
人生によくある落とし穴について考えてしまう映画でした。

いや、若いディカプリオもいいもんですね。
最近産経新聞にマーティン・スコセッシ監督のインタビューが掲載されていたんですが
デ・ニーロが「すごいやつがいる」って紹介してきたのがディカプリオなんだそうで。
デ・ニーロに感謝したい今日この頃なのでした。ありがとうデ・ニーロ。
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