2014年カナダ制作。主演はジャン=クロード・ヴァン・ダム。
いやー……なんだかいいものを見たなーって気分です。
先に大きな感想を書いておきたい気分になる一本でした。
原題は「POUND OF FLESH」で、「ひどい要求」という意味。
まったくもってその通りですねってタイトルでして。
舞台はフィリピンの首都マニラ。
主人公のディーコンが目を覚ますと、なぜだか氷を張った風呂の中にいた。
真っ赤にそまったバスタブとベッド。部屋に置かれた薬と大金、手紙などなど。
これはなにごとかと思いきや、背中には大きな傷が。
町で男に暴力を振るわれていた女性を助け、ベッドイン……
からの記憶をたどり、鏡を見てビックリ。
なんと腎臓が一個とられちゃってる!
実はこの腎臓、移植しなければもう余命いくばくもない姪っ子に譲る予定だったもの。
姪っ子の父親である弟のジョージと一緒に、自分の腎臓を勝手にとっていった誰かを探しに夜の街に飛び込んでいく……という話です。
アクション!って話じゃあないんだよね。
主人公のディーコンは強いし、敵は手段を選ばない連中だし、死人もぞろぞろ出るんだけど。
いきなり腎臓とられているという理由が明かされていくにつれ、なるほどそういう話だったのか……と。
ディーコンとジョージの兄弟の距離感は、かつて同じ女性を愛したから。
姪のドナーになれた理由や、兄弟二人の信念の差など、
アクションもいいんだけどね!
ディーコンは腎臓とられたてホヤホヤの体で、ぜえぜえいいながら頑張るのですが、そのぜえぜえも最後にきれいに昇華されており、ああ、こういう兄弟間の確執や考えの違い、愛した女性への思い、贖罪と許し……がメインでした。
最後の展開がね、ものすごく無情なんです。タイトル通りなんです。
娘のためにって、信念を曲げた弟ジョージと。
最後の最後の一線だけは守ったディーコンと。
漢の世界、って感じで。いいものみたなーって気分です。
ど派手ではないんですけども。
アクションをみたいんだよ!って人には多分物足りないと思いますが、ナイスミドル作品として捉えればかなりのいい作品ではないでしょうか。
ラストシーンも美しくて良かったな。ああ、そうやって並べてあげるのな……って。
いい作品でございました。
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