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2017-02-22(Wed)

「ヒメアノ~ル」

「ヒメアノ~ル」

みてみました。2016年の邦画で、原作は未読。
主演は森田剛で、濱田岳、ムロツヨシ、佐津川愛美さんがメインのキャスト。

いやね、本当にね。
森田剛映画初主演って書いてあって。
よくこんな役引き受けたなあって、最後まで見てしみじみ思いました。

内容はなんとなくわかっていたものの、
途中でいったん恐ろしすぎてみるのやめたんですよ。



濱田岳演じる岡田君は清掃のアルバイトをしているしがない青年でして、
ムロツヨシ演じる安藤というちょっぴりウザい先輩に絡まれながら日々を過ごしている。
そんな安藤先輩が恋に落ちたのはカフェの店員のユカちゃん。
ユカちゃん目当てのカフェ通いに付き合っていると、
どうやら彼女にストーカーがいるんだという話になる。
その男が、森田剛演じる森田君。
岡田君の高校の時の同級生で、ちょっとだけ仲良くしていたこともあったけど
森田への壮絶ないじめがきっかけで疎遠になってしまった……という間柄。

森田へ話しかけ、連絡先を交換する岡田。
そんな彼を見ていたユカちゃんに、あの人の知り合いですか?と声をかけられる。
ビビリな安藤に付き合っているうちに、一緒に飲みに行ったりするようになり、
結果安藤はフラれて、ユカちゃんからまさかの告白を受けることになる岡田。
初めてのエロかわいい彼女にすっかり浮かれた岡田君だったが、
彼女をストーキングしている森田が実はブレーキのぶっ壊れた最悪のサイコ殺人鬼で。

というお話なんです。
森田は本当に、なんのきっかけもなく、いや、ちょっとイラついたりするんだけど
その「ちょっと」だけでものすごくあっさり人を殺しちゃうんです。
高校の時にあったいじめがきっかけで心が壊れてしまったのか、
なんのためらいもなく包丁を握りしめ、胸に突き刺し、
ほんのちょっと目に入っただけの相手を殺し続けていく。

っていう話でね。
彼がちょっとだけ目が合うOLさん、って登場人物が出たシーンですよ。
ああ、これ、殺されるんじゃないの?って思ったら
続きが見られなくなっちゃったんですよね。恐ろしくて。

そこでいったんとめて、2日置いてから続きを見ました。いやいや……。

で、最後までたどり着いて、
正直途中の暴力の嵐は本当にひどくてね、
こんな人類は世界にいないでほしいなって真剣に思ったんですけど、
森田のウソをつく様子、過剰なまでに他人に攻撃的な様子が、
全部自分を守るためだったのかなって感じたんですよ。
世界は自分に厳しすぎるから、修正かけてるんだろうなって。
「ハッピー・ボイス・キラー」でも思ったんですけど、
心が壊れるような体験をしたら、この世じゃマトモに生きていけないですよね。

最近、本当に今更なんですけども、
自閉症児の子育てを描いた「光とともに……」って漫画を読んだんです。
これだけで全部理解できるとはもちろん思ってはいないんですけど、
障害を持って生まれた人たちが時々不思議な行動に走るのも、
やっぱり自分を守るためだよなあって思いまして。
世界を自分に引き寄せてなきゃあ、だって、世界はそれぞれにあわせてくれないもんなあ……って。


もちろん、殺人はダメなんですよ。
あんなにも無慈悲な行いが存在していてはいけない。
森田の暴走殺人ロードは休息なしでどこまでも続いていって、
女性はほぼレイプされるし、男はほぼ息の根を止められちゃうっていう恐ろしい結果。
途中で被害にあったOLさんの描写が恐ろしくてさあ!
彼女は、腹いせに殺されてしまったのか、それともお構いなしに襲われちゃったのか……。
そしてひとつ思うのが、ゆすられていた同級生の彼女ですよ。
彼女だけはレイプされなかったんだよね。
見た目が好みじゃなかったからなんじゃないかなあって思ったんだけど
どうなんだろうね。ほかにも理由はありそうなんだけど
(きっかけになった事件だし、他の女性は犯したいから狙ったようでもある)

まあ、それはどうでもいいポイントなんですけども……。

森田剛の死んだ目がすごくて。
これからもっと活躍してほしいなと心底思わされる出来でした。
ムロツヨシもこの路線で行くべきだよなと思ったし、
ユカちゃんのあのエロさはすごいなと感じたし、
そしてもう一人の主役である濱田君は、
あのビジュアルのせいで女性に慣れてない純朴男の役を任されがちだなと。
本当はリア充なのになあって思ったりしました。

最後の最後で、森田君はぶっ壊れる前の心を取り戻します。
それがとてもつらいと、岡田君が思ってくれたのが本当によかった。
なりたくてなったわけじゃない殺人鬼には、ひとかけらくらい救いがあってもいいよね。
そんな風に考えさせられちゃう、いろんな意味で恐ろしい映画だったと思いました。

どうにかなりませんかね。
いじめをする心理にならない方法とか、教育法とか、
そっちからアプローチして悲劇を減らすことって、できないのかなあ。
ということも考えてしまいました。



恐ろしいけど、最後は物悲しい気分になる。いい映画ってことなんじゃないかな。
残酷描写はハンパないので、あまり若い方にはオススメできません。
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