2013年イギリス・イタリア制作映画。
舞台はイギリス、ロンドン。泣いたよ!
主人公はロンドン市内のケニントン地区の民生委員のジョン・メイ。
44歳で独身の彼は、孤独死した人の後始末が仕事。
一人ぽっちで亡くなってしまった人の家族を探し、
遺品を整理し、丁寧に葬儀をあげる。
家族を探し出し連絡をして、
残された写真や持ち物から丁寧な弔辞を作って自ら参列までする。
そんな仕事を22年も続けてきたある日、
コストカットを理由に彼の部署はなくなってしまう。
仕事が丁寧なのはいいけれど、時間をかけすぎ。
死んだ人間に感情などないのだから、
ちゃっちゃと火葬すればいいじゃない、と上司から言われてしまう。
自分の住まいの向かいのアパート、ちょうど真向いの部屋で
ひっそりと死んでいたビリー・ストーク。
彼の家族を探し、葬儀をあげるのがジョンの最後の仕事になる。
もうクビを申し渡されたけれど、最後までちゃんとやらせてほしい。
ジョンはそう申し出て、ビリーがどんな人物だったか探っていきます。
ものすごく静かな映画でした。
優しいとか、穏やかとかではなく、とにかく静か。
ジョンの仕事ぶりも静か。
孤独に死んでしまう人というのは、みんなワケありな人物なんでしょうが
それでも、ひっそりと一人で逝ってしまった人たちに対して
ジョンはひたすらに誠実なんです。
途中、ジョンだけが参列する葬儀の様子が出てきますが、
彼の作った弔辞だけでどれだけ誠実な人物かわかると思います。
ビリーは少々暴れん坊だったようで、
彼の過去を知る人物たちはみな、語る口が重たい。
いいやつだったけどね。
優しいところもあった。でも……。
ビリーの残していたかわいい女の子の写真を手に、
ジョンは故人の足跡をたどっていきます。
そしてとうとう、写真の娘に行き着く。
父に見捨てられていたと思っていた娘は、
葬儀には参加したくないと答える。
ジョンは、「気が変わったら来て」と優しい答え。
そして、結構ショッキングなラストへ……。
なんちゅー悲しい映画なんだ!って思うんですよ。この時点で。
なんでこんな運命を用意するの?って。
で、本当の最後の最後で涙がじゃー。
だけどこの作品が訴えたかったものは、
劇中でジョンに突き付けられた強い否定に対しての「いいえ」だったのかなって。
毅然とした態度で、そんなことはありませんよと、言い放つようなラストでね。
誰しもそれぞれの人生があって、
その中で、完全な孤独なんてないんだよって、
そう言いたいのかなあと思いました。
ほんと、ちゃんと生きようって背中がしゃんとする映画でした。
みてよかった。
PR