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2015-02-21(Sat)

「ノーカントリー」

「ノー・カントリー」

コーエン兄弟監督作品は、「ファーゴ」に続いて2つ目。
いやなんかもう、ズーンとなる映画っすね。

物語としては、狩りをしていた男モスが
死屍累々の凄惨な現場を発見。
おそらくは麻薬の取引で揉めた……と思われる場所から
大金を発見してお持ち帰り。

ただ、一人生き残った男が水を欲しがっていたのを思い出し
深夜届けようとしてしまい、そこから追手がかかって逃げる。

という流れ。
追っ手のひとりがものすごく異常な殺人者で、シガーって名前なんですが
モスとシガーの攻防戦がみどころ、みたいな感じで観ちゃうわけです。

ところが、この映画の主題はそうじゃなくて、
本当にタイトル通り。ノーカントリー「for old man」ってことなのね……。

たとえば黒人が明らかに差別されていた時代、
医療が今ほど発達していなくて、病気やケガでひとが簡単に命を落としていた時代、
女性が男性に従うべきだと考えられていた時代、
戦争に明け暮れていた時代、などなど

残酷で非情で、苦しかった過去はいくらでもあると思うんだけど
それが終わって、たくさんの自由を得て、長く生きられるようになって今、
最早うかうかぬくぬくと生きていられる場所はなくなった、みたいな……。

抜かりがなく、戦争に行っていた過去もあり、出来る男であるモスと
自分のルールを徹底し、それに外れた者は容赦なくすべて消していく殺人鬼であるシガー。
追われる夫を案じ、保安官を頼るモスの妻。
そして重い腰をあげた保安官。

そう、保安官。主役は保安官だった。
なんだかすごくデキそうな感じなんだけども、
モスと妻を救ってくれそうな気がするんだけれども
職務とか、正義感とか、そういったものがすべて失われて
今のこの時代、この国を諦めちゃってる。枯れきってる。

最後、なんだよもう!って思ってしまいそうな終わり方なんだけどね。
でも、これが本当なんだと思う。保安官だから、警察だからって命かけてられないよ。

すごい映画だなって思いながら寝たんだけど、
その後、最初にシガーを一度は逮捕した若い保安官、
あいつすげえなって思いました。おわり。
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