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2016-02-29(Mon)

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」

2005年、アメリカの作品。
もともとは舞台用の作品だったのかな?

天才的な数学者の父が亡くなり、娘が一人残されるところから物語は始まる。
キャサリンは父親同様数学の才能を持っているけれど、
それだけではなく、うちにこもる傾向も受け継いでいる。
精神の均衡を崩してしまった気難しい父親を施設に入れず、
自分の家で好きなように過ごさせてあげたい。
そう思って、五年にわたって介護をし、父が亡くなる。

父の教え子であるハルがやってきて、なんだかんだで少し親しくなって。
父の死に伴い、葬儀とパーティ、NYで働く社交的な姉もやってくる。

そこからちょっと、すったもんだします。
父の残した大きな家は売って、一緒にNYで暮らしましょうと姉はいう。
キャサリンは精神的に不安定だから、心配だよと。
そばにはいなかったけれど、家のローンを払い続けたのは姉の労働からで、
父に寄り添い、みとった妹とは意見がずっと平行線。

ハルの探していた博士の研究も、大発見だったんだけど、
実はそれはキャサリンが解いたもので。
だけどそんなわけないじゃないって信じてもらえなくて。

キャサリンの苦悩は非常に深いんです。
彼女はひとつのことに深く没頭するタイプで、不器用で、不機嫌で、扱いにくい女性だから。

信じてもらえない、共感してもらえない、自分の考えを優先してもらえない。
君は不器用だから、精神的に安定していないから、生活力がないから、お父さんはもういないんだから……。

そういう包囲網があって、息苦しくて、だけどキャサリンは逆切れみたいに叫ぶしかできないんですよね。
人間って不完全なんだなあって、思います。
本当はみんな優しくてね、思いやって言ってるはずなんだけど。
ほんの少しのズレが全部悪い方向に出ちゃうこともあるよねって。

この映画はとても重苦しくて、見せ方もたぶん、わざと小難しくしているんだと思います。
これこそが、主人公と父親の世界なんだろうと思うんだよね。
他人からあまり理解してもらえない。すごいんだけど、ちょっとねって、敬遠される感じ。

楽しい映画かと言われると、NOなんだけど。
だけど、現実にいる「付き合いにくい人」の世界が少しわかるような気がするし
ほんのちょっと、時間を置いて待ってあげるだけで、
無言で黙って横にいてあげるだけで、解決するのかもしれないよ、って。
そんなヒントがもらえる話かもしれないなって思いました。

でも、余裕のある精神状態でみないとつらいかもしれないなー。
演技はみなさんピカいち。だから、その分重く感じる。
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