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2021-02-13(Sat)

アリ・アスター

映画を観ました。
気になってたやつ。

ミッドサマー」と、「ヘレディタリー / 継承」。
今をときめくA24プレゼンツ、アリ・アスター監督作品です。
WOWOWありがとう。

ヘレディタリーは録画したままになっていて、ミッドサマーが今月放送、で、観たらとてもよくできた作品だったのでこりゃあ前作も見とかないと……!って勢いで視聴。

いや、いい出来。ホラーって本当に趣味的な好き嫌いと、テーマの好き嫌い、演出の好き嫌いがすごくわかれるジャンルだと思うんだけど。ついでに、低予算で作られることも多いので、当たり外れが大きいジャンルでもあると思うんだけど。

私としては本当に大当たりだったなあ。

アリ・アスター監督の長編一作目が「ヘレディタリー」。
こちらは、祖母の死をきっかけに家族が崩壊してしまう話。
祖母の死が、隠されていた爆弾の導火線に火をつけた話って感じかな?
家族の崩壊の後に、真の目覚めが待っている話というべきか。


二作目が「ミッドサマー」。
北欧の隠された小さなコミューンに誘われて行ってみたら、あら大変ヤバイ村だった!
みたいな話。
自然のサイクルを大切にし、輪を乱さず、美しい花の咲き乱れる夏にお祭りをしているのどかなところ……じゃねーじゃん!全然違うじゃん!っていう話でした。



内容は本当にホラーそのものって感じ。
グロい、怖い、っていうんじゃなくて、知らないものをさも当たり前のように見せつけられる理不尽さが精神的にクるというタイプのホラー。
知っているはずの形状のモノなのに、中身は全然知らない未知のものにすり替わっている感じがあるものを見せつけられている感じかな。
監督にとってはこれが「当たり前」、作って当然、見せて当然、聞いてもらって当然なんだけどなんでそんな顔してんの? っていう気配がヒシヒシとしているのが怖いという。

ものすごく画面作りが丁寧で、それでいて語りすぎない素晴らしい映像の出来が◎。
◎っていうか花丸。
この匙加減の絶妙さが、監督の力そのものだと思っているので、一発でアリ・アスター監督の映像は気に入りました。
映像、見せ方がいいものって、余計な説明がいらなくなるんだよね。
考えつつ、感じつつ、自由な感想を持てる映画がいい映画だと思っているので、二本ともすごく満足。

内容はとてもグロテスクな要素もあるのに、映像、美術そのもののグロさはかなり抑えめ。
ミッドサマーには死体がゴロゴロ出てきちゃうんだけど、どれもこれもリアルではない造形で、その分「ものすごく残酷な運命が襲いかかかりまして」というエッセンスが強調されているなあって思ったり。
強弱のつけ方がとても巧みで、見せたいものがハッキリしていて、それがまた丁寧に鋭く研いであってふかくふかーくズブズブっと刺されちゃうみたいな感覚があって。

で、面白いし見やすいしどうなるのか気になるけど、心の底ではこれを観たくない気持ちもあり。
両方とも、家族がテーマになっているのがまた、狭くて、壊されるのが怖くて、不快感があるという。
これだけかき回されるっていうのは、素晴らしい体験です。


映像を撮る力といい、個性感性のトガり具合といい、素晴らしい監督が出てきたなあってすごく嬉しかったのでわざわざブログに書いてみました。


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2017-11-16(Thu)

「ストレイト・アウタ・コンプトン」

「ストレイト・アウタ・コンプトン」

2015年のアメリカの映画。
1986年、コンプトンという町で生まれたグループ「N.W.A」の
自伝的なのかな、この時代にこういったいきさつでグループが生まれて、
どうして解体していったのかが描かれた映画。

自分はラップに興味はないし、このグループも知らない、
アイス・キューブを映画でちょっと見ただけ程度で
思い入れもなんもない人間なんですけど、
ぐぐーっと胸に深く刺さる一本だよなあって感想を持ちました。

安易な暴力に走らず、音楽で立ち上がろうと決めたイージー・E。
仲間を集めて、ヘタクソなラップも一生懸命やって、
とうとうFBIから目を付けられるほどの存在になっていく。
彼らのリリックがあまりにも危険すぎて、という理由で
警察がライブに乱入してくるというのは、
時代だなあと思います。
彼らがいたから、今があるんだと思うんですよ。
アメリカ人じゃないけどね、自分は。

この時代の背景を知りたくなって調べてみると、
本当にめまいがするほどのあれこれがあった。
いまだに晴らされていない疑惑も残っているように見える。
それでも成功する喜び、あふれ飛び交う金と、
利用し利用さらえる者、不平等から友情に入った亀裂……などなど。
最終的にイージーの迎えた終わりは気の毒なんだけど、
子供がたくさんいたって知ってあらまーって思ったりもしました。
あの流れの中で一番に抜けたアイス・キューブはできるヤツだなと思ったし、
息子が役を演じているんだけど、あまりに似すぎていて
「あれ、若返ったの!?」って思ってしまったほど。

ラップ文化に詳しい人が見たら楽しいのか、それとも気になるのか
わかんないですけど、あんまり予備知識のない自分には十分刺さる出来でした。
間違いなく時代を作った人の話だったので。
見て良かったなと思える一本でした。

2017-11-16(Thu)

映画見た記録 

最近見たアメリカの映画をひとまとめにしてひとくち感想をメモ。


「ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男」

2016年の作品。
妻とうまくいかなくなった男が、趣味の小説の中で
最近起きた起きた事件に影響されて
妻を殺しちゃった話を書いていたら、本当に死んでしまって……。という話。

なんというか、タイトル通りすぎて、もうちょっと表現に工夫があった方がいいのでは、と思う話。多分だけど、主人公はまったくの無罪で、立ち回りがヘタだっただけ。
なんだけど、下手を打ちすぎて最後は命を落とす。
それで、殺したいと思ったことはもはや殺人と同罪なんじゃないの?
という思いの中闇に沈んでいくという。あっさり感が先立つ。


「クレイジー・パーティー」

2016年の作品。
最近業績が芳しくないとあるシステム開発の支部に、メスが入る。
ちょうどクリスマスで、盛大なパーリーしようとしていたんだけど、
そんなことする金はないだろ!と怒られ中止に……
と思いきや、大口契約の機会をゲットするために一発ぶちあげようぜ!と
大変なパーティをやることになって、という話。
あんなパーティなら私もちょっと行ってみたいと思った。
しかしなんで海外の派手なパーティは最後破壊につながってしまうのか。
気軽な気分で見る一本。


「マネー・モンスター」

これも2016年の作品。
ジョディ・フォスターが監督をしており、
ジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニーが主演している豪華な一本。
投資の番組のアドバイス通りにしたら金を失ったぜ!と殴り込みをかけられ
生放送をしながら、株式の動きの疑惑を追及してくことに、という話。
アメリカのテレビ番組って日本と違うなあって思う一本。


「ファミリー・マン ある父の決断」

また2016年の作品だった……。
ヘッドハンティングをして企業に人材を紹介して報酬をもらうという仕事をしている主人公が、息子の病という現実に直面して仕事仕事だった人生を変えるまでの話。
よくある話、かもしれない。でも、この父はかなり仕事から離れないし、やり口も汚いんだけどね。
因果応報、がテーマになっている。


「バーン・カントリー」

2016年の作品。
アフガニスタンの青年がアメリカにやってきて、新天地で暮らそうとしたんだけど
妙な田舎に来てしまったせいで、なんだかもうまったく馴染めない。そんな話。
故郷にいるのとどっちがいいのか……ってことなのかなあ。
解釈の仕方に悩む。


「高慢と偏見とゾンビ」

2015年の作品。
「高慢と偏見」の世界観に、ゾンビを注入したらこうなった、という話。
身分の違う恋、にプラスして、ゾンビを倒すために中国で修業してきた4姉妹。
ドレスの下にはナイフと拳銃って、なんかもうたまりませんなあな世界観。
だけどなんというか、最終的にはゾンビ要素いるかなあ?って気もしないでもないです。
リリー・ジェイムスはとてもかわいい。おっぱい強調ドレスがとても良い。


「シークレット・デイ」

2014年の作品。
かつて赤ん坊を誘拐、殺害した二人の少女がいて、
新たに起きた幼女誘拐事件の容疑者として再び取り調べられる話。
調べていくうちに、二人のおかれた状況、当時本当になにが起きたのかがわかるという。

親から愛されない、大切にされないことの重大さがテーマ。
たとて一緒に暮らしていたとしても、視線を向けられない悲しさは心を引き裂くよねと。
主人公たちはかわいそうだけど、最終的には胸糞が悪くなるつくりなので要注意。
でも現実って、こういうことなのかもしれない。


「スペル」

2009年の作品。
呪いババアがたいした理由もなく若い主人公をいたぶる話。
ローンくらいなんとかしなさいよ!って思うんだけど、
気まぐれに目についた人間をいじめにきたのかなあ。
呪いババアの攻撃の大半が、主人公の体の中めがけて繰り出される、
嘔吐の割合も相当高いので、苦手な人は見たらダメ。
エンディングは個人的に爆笑してしまいました。


「モーガン プロトタイプL-9」

2016年の作品。
人工的に作られた人間の実験をしていたんだけど、
なんかうまくいかなくて大暴走&死屍累々。という話。


「ミッシング・サン」

2015年の作品。
おでかけの途中で立ち寄ったガソリンスタンドのトイレに行かせたら
突然息子が消えていなくなってしまった夫婦の苦悩を描いた作品。
誘拐事件の顛末ではなく、子供を失ってしまった夫婦の心の動きを追ったものなので
爽快感とかわかりやすさはない。
男女、父母の考え方の差もあるし、生死がわからないままひたすら待たされる苦しさ、
周囲との距離感や、接し方の変化なんかもあってとにかく見ていて辛い。

主人公は妻、つまり母親なんだけど、職業が小学校の先生で
こんなにつらいことがあるのかなあ、と思う。
この職業柄、親に大切にされていないこども、と接してしまうわけでして、
きっと彼女にも説明のつかない怒り、やるせなさ、悲しみが募っただろうなあと。

見終わったあとに、拉致問題の被害者家族のことを思いました。
なんてつらい思いをされているんだろうか、って。
こんなに悲しいことがあるのかなあってしみじみ考えてしまう。
誰かの悪意や勝手で家族を、ましてや子供を奪われるなんて許されませんです。はい。

2017-10-15(Sun)

「アメリカン・サイコ」

「アメリカン・サイコ」

2000年のアメリカ映画。
1991年に出版された小説が原作で、その映画版。
主演はクリスチャン・ベールで、
ディカプリオを主演にという話もあったそうですが
これはベールで正解だったなー!って感じ。
ディカプリオ大好きなんですけども、
彼が主演だったら相当印象が変わったと思います。
クリスチャン・ベールの端正で誠実な顔立ちが、
そして美しくビルドアップされた体が、
狂気に満ちた主人公にぴったりでした。ホントに。


ウォール街でバリバリに働く主人公パトリック・ベイトマン。
こだわりぬいた美しい部屋。
トレーニングを欠かさず、自身を美しく保つために努力を欠かさない。
と、一見欠点が見当たらないほどのデキる美男子なんですが、
実は超クレイジーなサイコ連続殺人鬼だったんです!

というお話。

かと思いきや、本題はそうではありません。
なんというか、せわしなく競い合いお互いをマウンティングしあう人生の
虚しさというか、その人そのものが「本当の意味で生きているのか?」
と問いかけるような感じの終わり方。


パトリックは、自分がいかに優秀で認められた人間か、
ものすごく気にして生きているように見えます。
ところが、そこまでじゃあない。
なので、特別になるために、他人をまるで虫のように殺していく。

と思いきや、それすらも「実は彼の妄想なのではないか?」
って描き方なんですよね。
所詮、こいつは特別なんかじゃないんですよ。
どんなに心の中に渦を作っていたとしても、
実際には実行できなくて、ノートにこうしてやる!って
書きなぐるしかできないような矮小な人間なんですよ、
みたいなエンドなんです。


「みたいな」エンドでして、
実際がどうなのかは、見た人がどう感じたかに委ねられるという作り。
見終わってからいろいろ考えて、
考察しているサイトなんかも見たんですけど、
大体3つに意見が分かれるみたいですね。


私としては、たぶん連続殺人は彼の妄想だったんだろうと思うんですが、
でもやっぱり、すべては実際にあった、がいいかなって。
その方が、世界の狂いっぷりが際立って刺さるかな、なんて感じました。


にしても、あんなにもグロテスクなベッドシーンが存在するとは、って感じ。
あの女性たちからしたら爆笑だよね。
いや、笑えないかな。本当にヤバいヤツだったなって思うもんね。

クリスチャン・ベールの良さを再確認できる名作でした。
オススメしにくい名作がまたひとつ……。

2017-10-12(Thu)

「キアヌ」

キアヌ

2016年のアメリカ映画。
タイトルが気になっちゃって、ついつい見たんですけど
まー面白可愛かった。
この作品での「キアヌ」とは、子猫の名前。
この子猫が神がかった可愛さなんです。そういう映画でした。


ある日とつぜん家の前にあらわれた超ラブリーな子猫。
キアヌと名前をつけて可愛がっていたら、
ギャングに誘拐されてしまうという恐ろしい事態に。
イケてないいとこ同士、レルとクラレンスは
子猫可愛さにギャングたちの中に潜入することになってしまってさあ大変。

大真面目な二人が、必死に頑張る姿はわりとよくあるコメディなんですけど
そこにキアヌの超絶ラブリーぶりが加わるというね。
猫好きにはたまらん映像ですけども、
そこまでずっと出演してくれるわけでもないので
あんまり期待しすぎてもいけないのかな?

にしても、キアヌの映画風コスプレ写真の出来の良さは素晴らしい。
マッドマックスの写真は私も正直欲しい。

あと、キアヌっていったらリーヴスでしょ!って人も
安心してください。出ます。