ギリシャの監督さんの作品。英語の作品です。
あらすじが結構衝撃的なので見たんですけど、
そのまんま衝撃的な作品でした。
ブラックなコメディですけど、
最終的には人間とか愛ってなんなんだろうって考えちゃう系の内容。
舞台はヨーロッパのどこか(多分)。
主人公は妻に捨てられて、とあるホテルに連れてこられます。
近いのか遠いのか、とにかく地球の未来のいずれかに存在するかもしれないこの世界では
独身でいることが罪になり、一人になった者はこのホテルに連れてこられます。
そこで45日以内にパートナーを見つけられなかったら動物にされてしまう。
この動物、何になりたいか選ばせてもらえるのが唯一の良心かな。
それ以外はもう、なんというか、味のない乾いたなにかを無理やり口に入れられているような
荒涼としたたまらん世界なんですよ。
主人公のデヴィッドは妻に捨てられて傷心の中ホテルにやってくるのですが、
連れている犬は実のお兄さん。
ホテルでは与えられたものだけを利用、身に着けてよく、
私物の持ち込みは厳禁。
期限内にパートナーを見つけなきゃならないので、
毎日毎日いかに独身が悪いか、パートナーのいる人生が幸福なのか見せつけられ、
ついでにマスターベーションは禁止、相手のいる幸せを刺激するためなのか、
毎朝メイドさんに股間を刺激され、反応したところで放置されるという
おっそろしい拷問を強いられたりします。
ちなみにセルフでしたのがバレたら、アッツアツのトースターに手を突っ込まれて焼かれ、
更には、滞在期間を延ばすためのボーナスとして、
独身のまま彷徨う誰かを捕まえたら一人につき一日、動物にされるのを先延ばしにできる
そんなゲームが用意されているという恐ろしさ。
デヴィッドは自分の心を偽ってとある女性とパートナーになろうとするも、
ただこの状況から逃れたいという妥協の上にやっぱり愛は存在しなくって
うまくいかなくなり森へ逃げ出します。
森の中にははぐれ独身者が身を寄せ合って暮らし、
追われつつも自由を謳歌しているんですが、
ここはここで、絶対に独身でいることを強いられるという極端な世界。
追われ、隠れて暮らしていくうちに、ある女性に惹かれてしまうデヴィッド。
だけどその愛も、とんでもない横やりが入ってズバッズバに引き裂かれてしまう。
そして最後に、愛に対する覚悟を試されるんですけどもね。
タイトルのロブスターは、もしも動物にされるならなにがいいか
デヴィッドが希望した生き物なんです。
その理由を思い返すと、そうかあ……ってしみじみしちゃうんですけどね。
こんな世界ヤだよ!っていうのがまずひとつ。
人間の感情や愛の不自由さについて考えたりっていうのがもうひとつ。
ほかにもきっとモヤモヤしたものが心に残って、
でも案外イヤじゃないという不思議な作品でした。
世界に無理やり恋愛させられるって、恐ろしいもんです。
極限状態に男女がいればこうなりますけれども、
所詮インスタントな愛なんてこんなもんすよ、
っていう悲しい笑いがあるんだけど、
個人的にはもっともっと湿気の多い愛を信じたい、みたいなこころもち。
にしても、レア・セドゥいいですね。
独身の森のリーダー役でしたが、なんかすごい力のある女優さんで。
この間見た「たかが世界の終わり」では、
田舎から出られない20歳そこそこの妹なんてキャラだったのに
ロブスターではヤバイオーラ満載で。素晴らしいです。
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