サブクエストで繰り広げられる小話が似たり寄ったりな上、ひとつひとつが長くて嫌になっちゃったんですが、途中で主人公の選択肢に深い意味がないのだと気付いてからは、連打で乗り越えるようになり、なんとか最後までやれたという感じ。
季節と季節の間に「死季」と呼ばれる、人体に有害で外に出られないわ作物は枯れるわの時期があるという世界観のお話。
誰も外を歩けない死季の中、行き倒れていた主人公。記憶はなく、小さな村のお医者さんに救われ、町はずれの空き家で暮らすことに。
そこから始まる、謎の少女との出会い、仲間たちとの邂逅。
与えられたお家で農作業に勤しみつつ、世界の謎に迫るファンタジーRPG!
って印象ですが、実際にはごりごりのSFでした。
戦闘つきの牧場物語こと、ルーンファクトリーの亜種のようなこの作品。
農作業よりはストーリーに重きを置いてあり、仲間たちとの絆を深めながら進めていく感じ。
グラフィックは美麗で、キャラクターデザインも凝ってる。
世界観は非常に趣味的で、作りこまれており、ファンタジーSFとして頑張ってるなという印象。
仲間との絆が大好物の人には嬉しい内容なんじゃないのかな。
自分はこういうワイスピ仕様の話は好みではないので、ハマりませんでした。
かなり頑張って作っているんだろうけど、問題点もかなり多かったと思います。
四季をテーマにした物語であり、農作業&バトルが土台にあるのはわかるんですけどね。
農作業があるゆえに一日の中で時間の流れがあるのが、第一の問題点。
主人公は夜遅くまで作業していると、眠くなっちゃうし、深夜になると倒れて寝ちゃう。
その仕様が外歩き、ダンジョン探索中にも適用されているので、進んでいる最中に眠くなっちゃうわけです。
どんなにシリアスな雰囲気であっても夜になったら家に帰って寝ちゃう。シリアスな雰囲気ゆえに、これがどうにもひっかかる。
そんな健康的な主人公は家の庭で農作業をするんですが、これが儲からないっていうのが第二の問題点。
戦闘で受けたダメージを回復するのは料理なんだけど、これは外では買えない。基本的に家で自分で作るしかない。
そのために、農業をしている感じが否めない。
農作業は少しずつラクになっていくし、畑のレベルが上がれば儲けは出せるようになるけど、採れた物そのまんまだとあんまり高値で売れないんだよね。
だけど、あれこれパワーアップするにはものっすごいお金がかかる。パワーアップしないと勝てない。勝つためにはクエストをこなしていくしかない。
ここで更に問題になるのが、料理での回復の仕方と、クエストの面倒くささ。
主人公には腹減りメーターみたいなものがついていて、なにも食べずにいるとスタミナが回復しない。なにかしら口にしないと最終的には剣を振ることもできないし、キノコを拾うことすらできなくなる。なので料理を作るんだけど、満腹度も設定されているので、無限に食べることはできない。
なので激しい戦闘になると、大幅に回復する料理は何度も使えないので、かわりにジュースを飲むことになる。
ジュースはなぜか満腹にならないので、何杯でもいける。
なのでこのゲームの戦闘は「敵にやられないようにジュースを飲む」ものと化している。
戦闘のもう一つの問題点として、敵の攻撃を基本的には避けられない、というものがある。
そう。避けられない。避けられる攻撃もあるはあるけど、ほとんど避けられない。
そして、戦闘は二人まで仲間を入れておけるんだけど、敵はものすごい勢いで主人公を狙ってくる。
特に「FEAR」と呼ばれる強敵は主人公しか狙わない。どんなに逃げても追ってくるし、仲間を盾にしようとするとわざわざ回り込んでまで主人公を叩きに来る。
頑張って仲間を盾にして遠距離攻撃しようものなら、どんなに近くにいてもリポップしてなぜか初期状態に戻ってしまう→HP全快になってる→飲んだジュースはすべて無駄になり、やる気がそがれる。
どんなに盾にしても仲間はさほどダメージを受けないのに、主人公はガリガリに削られていく。死ぬと何故か家の前に倒れており、お医者さんに嫌みを言われるっていう。
レベルが上がればダメージは減るけど、防具だの防御スキルだのはなく、とにかくジュースを飲む以外に生き残る手段がなくて、強い敵との戦いは自動的に嫌になってしまう造り。
場所によってはこの強敵まみれになっているし、倒しても再訪するときっちり蘇っているからね。
この仕様はちょっとないんじゃないかなって思う。全然楽しくない。
ダンジョンに向かう時は絶対にジュースを3~40杯持って行かねばならず、ジュースは自分で作るしかないし、後半にならないと量産もできないし。
どうしてこんな仕様にしたのかわかりませんでした。
お金を稼ぐためにはサブクエストをこなすのが必須なんだけど、街の人達の頼みごとがとにかく全部似通ってて飽きてしまうのがもう一つの問題点。
主人公はどうしようもなくいい奴体質らしく、困りごとを聞いたら絶対に助けると決めてしまう。ここで更なる問題点が出てくるのだが、それが、「選択肢に意味がない」問題。
たいていが二択、時々三択で会話に対するアンサーを選ばされるんだけど、内容が全部同じなんだよね。
「一人で無理しないでね」か「いつでも頼ってね」。
「自分で良ければ手伝うよ」か「頑張りすぎないでね」。
と、NOがない。絶対に断れない。相槌のバリエーションに過ぎず、その後の展開に影響なんかカケラもない。面白くねえ。
で、サブクエストがいちいち長いんだよね。みんな、困りごとがあると持ち掛けた後、素直になれなくてこじれるとか、記憶がないまま判断がつかないとか、自分さえ我慢すればいいんだとか、全員やたらめったらグジグジして、主人公を次の場所に呼び出してくる。
ダンジョン内に目的の人物を探しに行くと(具体的にどこにいるかわからないことが多く、見つからない場合かなり探し回る羽目になるパターンが多い)、クエストのマークがついた人物が見つかるんだけど、それがまた別なクエストの始まりだったりすることも多々あった。
モブがみんな似たり寄ったりなので、やっと見つけた!と思ったら別人で、新しい依頼を受ける羽目になり、なんてことも何度もあって、同じようなキャラ劇を見せつけられる羽目に。
この内容が本当に似たり寄ったりなのが、本当に嫌になってしまう原因になった。
キャラクターのモーションのバリエーションが少ないのも影響していて、全員でいっせいに同じ動きされるのがね。シリアスなシナリオに合ってなくて、茶番感がすごいなって。
で、無関係の新たなモブに邪魔されている間に眠くなっちゃってさ。
家に帰ってから農作業して出直ししてさ。
クエストの邪魔になっているのが、街の造りがやけに入り組んでいること。
ダンジョンならばまだ、迷いやすくても構わないんだけど。
街までやたらめったら入り組んでいて、なにがどこにあるのかわかりにくい。
最初の村ですら、入口からもうカーブだし、道を放射状に配置したり、とにかくどことどこが繋がっているのか把握しにくい造りになっている。
マップは表示されているけど、自分の周囲の一定の距離までしか出ていない。全体マップは存在していないので、めちゃくちゃわかりにくい。
どこどこで待ってるよ、って言われたけど、どこにいるんだよ……と途方に暮れることも結構あって、意地悪だなあって思ってしまうっていうね。
そして、メインのシナリオはかなり壮大かつシリアスでハードなSFなんだけど、パーツパーツが大雑把というか。
全員がみんな、主人公はいい奴で大変なお節介焼き、お前の為なら命かけるよ、水臭い!みたいなテンションに勝手になってしまうのも、なんというかね。こういうノリが好きでないとキツイよねっていう。
メインの壮大なシナリオに関しても、とあるキャラクターのイベントで盛大なネタバレというか、大ヒントをかましてくるので、見た人は全然びっくりしないのでは、という感じ。
キャラクターたちとの絆も深めないと主人公が強くならないので、やらなきゃいけないし。
強くなってないとほら、ジュース飲んでも死んじゃうからさ。
とまあ、散々書きましたが、グラフィックとか音楽は良かったのではないかと思います。
音楽は壮大な印象のものが多くて、ちょっとやりすぎかなって気もします。
主張が強すぎていたので、もう少し強弱つけるといいんじゃないかなって感じだけどね。
というわけで「ハーヴェステラ」は、死なないようにジュース飲んで眠くなったら寝に帰るゲームです。
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