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2017-10-10(Tue)

「ストリート・オーケストラ」

ストリート・オーケストラ

2015年ブラジルの映画。
実話がもとになっている作品。

かつては神童と称えられた一人のバイオリニストが、
楽団のオーディションに落ち、失意の中、しかたなく就いたNGOの仕事。
スラム街にある学校で、子供たちに教えることになったんだけど、
彼らの日常は、せわしなく、暴力と貧困に圧迫されていて……。

みたいな感じ。
「天使にラブソングを……」の2作目みたいな?
って思っていたんですけどね、途中までは。
だけどやっぱり、同じように貧しい場所で暮らすガラの悪い子供ったって、
アメリカとブラジルじゃあ違うんですよ!って話でした。


大人たちにこき使われ、実入りのいい仕事をしたいなら犯罪に手を染めるしかない、
バイクは盗難車、女の子は、望んだものかそうではないかわからないけど妊娠中。
ちょっとしたことで諍いを起こし、希望も安心も、静寂もない暮らしの中にいる子供たちに
本当の音楽を教えるのは大変なことなんです。
だってお金にならないからね。
大人が「豊かな心をはぐくむために音楽をやらせよう」なんて考える世界じゃないんですよ。

才能豊かなサムエルの演奏と熱意に心を動かされ、
主人公ラエルチは一生懸命指導をします。
それでやっと少しずつこどもたちも、音楽を楽しむようになるのに……。

もうねえ。
悲しいったらないんです。

誰もが健康で、清潔な家があって、ご飯が食べられて、毎日学校へ行って、友達がいて。
そりゃ日本のこどもたちにも、悩み深いことはいろいろあるとは思いますが、
それって、安全・安心、守られている立場が当たり前だから、なんですよね。


その後に彼らにあるのは、ただ音楽だけ。
それだけでいいと、彼らは思ったんだと思います。
暴力や恫喝、貧困、争い、不信は彼らにとって当たり前でね。
それに文句を言うのではなく、音楽を愛する者として毅然として立つという。

あまり多くを語る作品ではないんですけども、
最後じゃあじゃあ涙が出ちゃったのは、
彼らの覚悟のようなものを感じ取ったからだと思います。

当たり前の平穏に感謝しようと思える映画でした。見て良かった。




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