気になっていたんだけど、都合があわなくて映画館でみられなかったやつ。
いや、これ、アカデミー賞獲るでしょうね……っていうのが素直な感想。
主人公であるジャネット=ださい名前だから勝手にジャスミンって名乗ってる
彼女を、完璧に演じあげていると思いました。ケイト・ブランシェット、すごい。
主人公のジャスミン(ジャネットという名前だが勝手にジャスミンを名乗っている)は
リッチ極まりない生活をしていたものの、夫の不法なあれこれがばれて
全財産を奪われ、妹であるジンジャーのもとへ身を寄せる。
夫は自殺、その子供(連れ子でジャスミンの実子ではない)は出て行き、
ついでにいうと妹夫婦が宝くじで当てた金を全部巻き上げて一文無しに
→妹夫婦は離婚、子供二人を抱えて貧乏暮らし
という状況。そこに、お金がないどころか借金がある状態なのに
ジャスミンったらファーストクラスの座席をとって、
ヴィトンのトランクを3つも抱えて転がり込んでくる。
最初っからまったくもってクレイジーな様子が描き出されていく。
たまたま席が隣になった老女に、延々と自分語り(妄想混じり+自慢話満載)
という様子がかなりヤバイ。目がやばい。これがまずすごい出だし。
妹は慎ましく狭いアパートで3人暮らし。
付き合っている彼氏と一緒に暮らそうと約束していたところに、
非常にいけすかない姉が転がり込んでくる。
なので、彼氏は気に入らず、妹から聞いた姉のあれこれをもとに嫌味を炸裂。
それを、「下品で最低な男」と高飛車に応対するジャスミン様。
金がないのはわかっている。
もう裕福な暮らしじゃないのはわかっている。
でも忘れられなくて、妄想に浸り、抗鬱剤と酒に逃げる主人公。
なんとか元通りの暮らしをしたくて、
インテリアコーディネーターになろうとしたり、
リッチな男を捕まえて結婚寸前までこぎつけたりもする。
ジャスミンはとにかく現実というか、ダメージに弱い女性で、
夫の浮気だとか、今自分が置かれている状況に打ちのめされる。
それでも、優雅な暮らしに戻ろうと努力もするし、
どうしようもなくて、紹介された歯医者の受付の仕事をしたり、
パソコン教室に通ったり、頑張る部分もあるんだけど、
その一方で、まるで息をするように嘘をつき、
自分の意に添わない人間を責め、
許せないものは全部ぶち壊して、生きていく。
妹のジンジャーの最後の身の翻し方だとか、
パーティで出会った最低男だとか。
人間って本当、どうしようもないよね!
っていう声が聞こえてくるかのようで、本当に、見終わった後、
うわーすげえものを見てしまったなあー
っていう気分がすごかった。
胸糞悪いし、哀れだし、滑稽でもあり、強いし、弱いし。
なんというか、人間の業の深さをありったけ詰め込んだ、
胸の底にズーンと残る映画でございました。名作。
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