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2015-02-02(Mon)

「オンリー・ゴッド」

オンリー・ゴッド

現代は「ONLY GOD FORGIVEN」。
フランスとデンマークの共同制作で、舞台はタイのバンコク。

「復讐劇」と言われるとなんだかこう、ムズムズしてしまう感じ。
いや、全編通して、見ている間も観終わった後も、ものすごくムズムズする
非常に痒い映画でした。

物語のあらすじとしては、主人公はアメリカ人のジュリアン。
兄が殺され、母がやって来て、兄を殺したヤツを見つけて殺せと命じてくる。
それで、なんだかんだ。です。


結論からいうと、ものすごく良かった。
こんな映画なかなか撮れないし、作れないと思う。
でも説明は難しい。

この話は、
母親にぎゅうぎゅうに縛られて生きていた男が、解放される
っていう話。だと、思う。基本的に。

出てくる人物は全員狂っていると考えて良い。
ジュリアンとマイは違うかな。
最初に死ぬ兄も、悪でだけ構成されたような母親も、簡単に言うとクズ。
バンコクに舞い降りた復讐の天使であるところの、元警官のチャンも狂っている。
映像はずっとゆっくり、極彩色で、現実なのか夢幻なのかわからないシーンが多く
残酷表現も盛りだくさん。

でも、とても美しく撮られていて、芸術的。
誰も彼もまったくブレない、チャンの制裁もそう。全員がやり過ぎで、どストレート。
なので、最後は妙な爽快感すら覚える。

狂った世界の中でジュリアンと、マイだけがまとも。
警官の皆さんも、元警官で私的な制裁を加えるチャンを応援しているし、
一仕事終えた後のカラオケにも付き合っているあたり、
チャンさんさぞかし伝説があるんでしょうね……ってな感じで
誰も彼も嫌いにはなれなかった。クズなんだけど、芯が通ってるから。

どんでん返しの類がなく、強い者が強く、弱い者は全員屠られる世界の
非常に濃厚な90分で、これは評価が分かれてもやむなし。
でも、私は好きでした。
ぐさーっと刺さった一本だった。でも他人には薦めない。デンマークヤバい。
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