もう6年近く前に、本当に唐突に小説を書き始めたんですが、
最初に書いたのがこの話で、その時は「狼少年の初恋」ってタイトルでした。
小説を読むのがとても好きで、20代の前半くらいまでは本当にアホみたいに大量に読んでいたんだけど、仕事がハードで読めなくなって結構経っていたんですよね。
むかーしむかし、TRPGが大好きな頃に一度自分で書いてみようって思ったことがあって、だけどその時は「無理」って思ったんです。他人に理解できる文章になってないって、すごく思ったんで。
グラフィックの仕事をしているのもあって、自分には文章で誰かになにかを伝えるのは違うとも思ってしまって、それっきりでした。
それから何年も経って、突然ですよ。衝動的に書き始めました。
それも、そもそもは箇条書きだったんですよね。
漫画の原作とか、そういうことができないかと思ったんで。
でも、その箇条書きも「読んでる相手に伝わらない」って思ったんですよ。
読み返してみて、これでわかるのかな?って。
それで詳しく書いたら、なんとなーく小説になった気がしちゃって、ちょっと頑張って、よし、書いてみようって考えて。
それでね、かけた気分になったんですよ。その時はね。
途中まですごい勢いで書いて、でも、それをどうするかは考えてなくて。
ただ、とにかく自分ひとりでやっていたら、最後までいけないだろうなって感じていました。
自分だけのために書くのは楽しいけど、いつ途切れても平気だし、頭の中で考えるだけならどんなパターンでも自由だし、どんどん都合のいい感じになっていってしまう。
そうなればますます、文章にする理由がなくなっちゃうんだろうなと。
それで、どうにかならないか調べていたら、小説家になろうを見つけたんです。
少し覗いてみたら、投稿されたものが読みやすくて、こんな風にまとまっていたら楽しいだろうなって思って、アカウントを作りました。
で、好き勝手にどんどん投稿して。
ちょっとだけど読んでくれる人もいて、それで最後まで書ききることができました。
ところが、私にはあんまり学がないし、小説を読まなくなって久しいし。
仕事でも文章なんて作らなかったんですよね。
企画書なんかは作ったけど、小説とはまったく違うわけでして。
だからもう、すんごいひどかったんです。
自分で「お、結構いいじゃん!」って当時思っていたものは。
内容も重苦しいし、いろいろ反省点が多すぎて。
もちろんこれがあったから、その次ができたんですけど。
私は本当に運が良くて、親切な人がアドバイスをくれたんですよね。
文章作法なんかについて、こういうもんなんですよ、って。
読んでくれる人が最初からいて、指導ってほどじゃないけど、アドバイスしてくれる人がいたんですから。
その方とは別に、相互お気に入りになったりとか、そういう展開もありませんでした。
本当にたまたま見つけて、親切に声をかけてもらっただけでね。
あの親切がなかったら、続かなかったと思います。
そういう意味で、私は本当に運がいい。
なので「狼少年の初恋」は大事な作品だったんですけども、そのあまりの出来の悪さにたまに耐えられないこともありました。
ほかにもいろいろ長編、短編を書いて、作品欄がごちゃごちゃしてきたのもよくなかった。
人生いろいろあって、なんか知らないけど意味もなくののしられたり、WEB特有の変なこともあったりして、で、結局、消しちゃったんです。残しておいてもよかったのにね。
そういう後悔をしていたところに、去年なぜか同じような時期に立て続けに、
再掲載してください、ってメッセージをもらったんです。
じゃあ、そのままじゃなくて、ちゃんと書き直そうって思ったんです。
文章力はそこそこ止まりの私ですが、あのころよりはまだマシになったはずだから。
タイトルを変更したのは、もともとこうしようと考えていたからです。
あのころ、同じタイトルがないか心配で検索したら、
かなり近いものが見つかったんですよね。連載中のものが。
なので遠慮したんですが、もう時間もだいぶたって状況も変わったんで。
初恋ってダサくないかなと思っていたので、変更しました。
で、文章だけ直そうと思ったら、結構あれこれ変わったところもあって。
再掲載してくださいとか、してくれてうれしいですって声はいくつかあったんだけど
そういう方々からの反応ってここまでほぼないんですw
ただ読めればいいってことなんでしょうけども、
もしかしたら変更点が気に入らなかったのかな……。
だったら申し訳ないので、ここで謝っておきますね。ごめんなさい。
初恋を書き上げたときにもらった感想と、この5年で私自身が変わったのと。
そういう理由で、ちょっとだけ変えてます、設定を。
せっかくだから、ここになにが変わって、どうして変えたのか書いておきます。
・玲二がちょっとバカになった
→いくらなんでも気取りすぎだって思ったからです。
見た目も頭も良くてモテるのに、恋愛ダメって話にしたかったんですけども、
それにしても紅茶と読書が好きで成績も一番とか、やりすぎだったので。
15歳の男の子らしい部分も出そうと、偏差値を少し低くしました。
・良太郎の出番が大幅に減った
→玲二といつき、二人を食っちゃってると思ったんですよね。
万能すぎて使い勝手が良すぎた。だから、削りました。
「初恋」の感想に、玲二と良太郎のBLとして読んだ、ってきたのも一つの原因です。
いつきの存在感を上げるのが「憂鬱」版の使命のひとつでした。
・玲二の母が弱くなった
→お母さんがムカつくっていっぱいいわれちゃってね……。
かわいそうで、つい。
あとは玲二の設定をひとつ際立たせるために、ちょっと弱めにしました。
・龍との絡みが増えた
→前半、玲二の運命の日までの流れはほぼ同じで進んだんだけど、
後半からはかなり内容を変えました。
「初恋」の時、全然書ききれなかったんです。初心者すぎて。
構成もすごく悩んで、これは二人の恋の話なんだから、二人の恋だけを追わなきゃって
そう考えて、こじんまりさせすぎたなと思ったんですよね。
なので「憂鬱」では、人間じゃないんだって部分をクローズアップしてます。
・第三者視点をカットした
→基本的に、玲二といつきの二人が交互に日々を綴るスタイルで書いてたんですが
「初恋」版では玲二の母、ライ、良太郎視点の話も混ぜてました。
でもそれって、ズルじゃないかなーって思ってしまって。なのでカット。
最終話は前の方がスッキリまとまってていいかなという気もしつつ、
最後の最後でブレるのもかっこわるいかなと、いつきで締めました。
一路と迷ったけど、でも主人公はあくまで二人なので。
一方に秘密がある設定なので、一人称交代制で書いたらいいんじゃないかって思ったんですが
一人称って難しいですよね。本当に。これでよかったのかどうかはわかりません。
サブタイトルは時々もとのまま、視点変更のタイミングはズレました。
章のタイトルはイメージソングみたいな感じで、曲名になってます。
前はスピッツの「甘ったれクリーチャー」を脳内テーマソングにしてたんですが
今はさかいゆうさんの「薔薇とローズ」に変わっています。
あの曲と出会ったから、ちゃんと書き直せたんじゃないかと思っております。
とにかくなんにせよ、最後まで書けて良かった。
「初恋」版は、前半が40万字、後半が25万字で合わせて65万字くらいでした。
今回は統合して60万字。ぴったりです。Nコードは9999、完結は7月7日の7時。
数字だけならパーフェクトだ。
最後の方、書いてて思ったのは、これって「ブラックドラゴン」だなあってことです。
「俺のスイートハートは最強のブラックドラゴン」という話がありまして、
私はこれを、狼少年のセルフカバーとして書いてます。
普通の子と、人間じゃない存在との恋愛で、肉体関係が大きなハードルとして立ちふさがってくる。
一見違うように見えますが、中身は同じ、味も一緒です。
世界観も同じ。
具体的に言うと、「狼少年」の10年後の世界が「ブラックドラゴン」です。
あとは、「愛と憎しみのエリィ」ですね。これは「狼少年」の5年後くらいの話かな。
「ブラックドラゴン」には葉山良太郎が、
「愛と憎しみのエリィ」にはカラスが登場します。ちょっとだけね。
世界観考えるのって大変なんですよね。
だからたまに、こんな風にささやかにつなげてみたりしていますよ。
あと、「初恋」にはオマケがあったんですけども、
それはまた後日、用意しようと思ってます。
そのままいけるかなと思ったんだけど、設定変更されたところがあるので修正して。
すっごい下世話な話なんでやめようかと思ったんですけど、約束したのでアップします。
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