2014年、イギリスの映画。原題は「Pride」ですね。
邦題はとっても柔らかくなっております。
舞台は1984年。イギリスで炭鉱夫たちがストライキを起こした時の物語。
炭鉱が閉鎖されようとしていて、仕事を奪うなって立ち上がるんですよ。
だけど、ストライキを起こすも成果はなかなかでない。
政府が強いんです。強い姿勢で臨む!とサッチャー首相はこぶしを振り上げている。
そこで立ち上がったのが、ロンドンで暮らすゲイやレズビアンたち。
自分たちの権利を訴えるためのパレードをした日に、
参加者の一人であるマークは、炭鉱で働く人たちのために募金活動ができないかと考える。
サッチャー首相と警官は自分たちにとっても敵で、
敵の敵は味方なんじゃない?みたいな発想で。
ところがやっぱり、偏見があるんですよ。
団体名も炭鉱夫を支援するゲイとレズビアンの会、みたいなダイレクトなものにしちゃったので
応援させてくださいと連絡しても電話をすぐに切られちゃうんです。
最初は炭鉱夫たちの組合に連絡していたんだけど、
けんもほろろの対応によっしゃと奮起。
それなら直接どこかの炭鉱町に電話してみようと。
すると受話器の先で対応したのは親切な老婦人で、
炭鉱町ディライスから代表の男がやってくる。
まさかこんな団体だったなんて……と驚く代表のダイだったけど、
(団体名をちゃんと聞き取れておらず、LGSMという略称だけ伝わっていたので)
偏見を持っていない彼はゲイバーでの歓待にもひるまず、
支援に感謝しますと挨拶してくれるんです。
そこから始まる、ディライスとロンドンのレズビアンとゲイたちの交流物語なんですが
もちろん、一筋縄ではいかなくて……。
というお話。
今よりももっともっと理解のなかった、
不況、それから宗教感や、エイズの流行の始まりなどなど
1984年はゲイのみなさんにとって厳しい時代だったんですよね。
ディライスのみなさんは最初こそイロモノを見る目でLGSMのメンバーを見ますが
交流を重ねていくうちに偏見は取れて、
それどころか彼らは信じられないくらいの規模の支援をしてくれるんです。
心ない攻撃に負けず、明るく前向きに突き進んで、
最後にはお互いにはっきりと打ち解けます。
もちろん、問題はいっぱいあるんですよ。
かつての恋人がエイズにかかってしまって、不安に陥る者もいるし、
既にエイズに罹患していて今後が心配な者もいる、
家族にゲイなんだと打ち明けられず、バレて家に監禁されちゃう子もいるし、
乱暴なやつらに殴られて入院させられたりとか、
正直な自分で生きていくことは難しいんだなって思うんだけど
それでも彼らはみんな、困難でもまっすぐに進んでいくんです。
仲間がいて、理解してくれる人がいると知るのは人生をどれだけ豊かにするだろう。
そんな思いが伝わってくるんです。
ところがやっぱり、異端を許せない人というのはどこにでもいて、
強い悪意を持ってLGSMを追い払ってしまうんです。
お前らなんか及びじゃない、出ていけ。
せっかくはぐくんできた信頼を部外者が勝手に打ち破って、
小さな町と小さな自由を求める団体は離れ離れになっちゃうんです。
それでもね。
大切な友人ができて、自分の生きる道をはっきりと知って、
愛する人の隣を歩んでいこうって決めて、
それから、受けた大きな恩に、最後はちゃんと報いようって思うんです、みんな。
次の年のゲイ・パレードには信じられないくらいたくさんの人が参加するんです。
支援に心から感謝した炭鉱夫たちがやってきて、
彼らの権利を認めようって一緒になって歩いて、それでおわり。
これ、実話なんですよね。
人のために生きるっていうのは、なかなか難しいことだと思います。
相手がどのくらい喜んでくれるかわからないし、
自分を犠牲にしてでもって、そう思えるもんじゃないですから。
でも彼らは見知らぬ誰かのために走り回って、
それに救われた人が大勢いたんです。
とてもいい話で、でも全然説教くさくなくて、悲観的でもなくて、さわやかでね。
イギリスはこういう映画よく作りますね。
リトル・ダンサーも同じ時代の話。
フル・モンティとかも不況に苦しむ中ではじける話ですね。
でも一番思い出したのはキンキー・ブーツだな。
なかなかいい映画でございました。
ゲイのみなさんもレズビアンのみなさんもステキで。
ついつい深夜まで見てしまって寝不足になりましたが、良かったです。
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