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2016-04-03(Sun)

「ピッチ・パーフェクト」

「ピッチ・パーフェクト」

ミュージカルも青春映画も好きなので見てみることに。
2012年作品なのに、日本上映はなぜか去年だったやつ。
主演はアナ・ケンドリックで、
「ハッピーボイス・キラー」にも出てました!
ついでにいうと「ライフ・アフター・ベス」でも見た!

ちょっとクセのある、どこかで見た顔だなあと思ってたら
トム・クルーズに似てるのかな。

マイ・インターンでデ・ニーロの同期だったバイトくんがいたり、
ヘアスプレーでアンバーを演じていたブリタニー・スノウがいたり
さりげなくクリストファー・ミンツ・プラッセが混じっていたり。
ついでにいうと、ファットエイミー役の人、
ニッキー・ブロンスキーかと思ってしまった。
トレーシーいつの間にこんなに大きく……みたいな。
違ってたけどね。むしろ、「天使にラブソングを……」に出ていた
メアリー・パトリックに似てたか。

というのはとにかくおいといて、物語は
主役のベッカが大学に入学したところからスタート。
家から離れて一人でいたい。ついでに群れないでいたいと
思っていそうなベッカなんだけど、
伝統あるアカペラクラブにスカウトされてしまう。
部長は去年全国大会で激しく嘔吐するという大失敗をやらかしていて
クラブにはもう親友一人しか残っていない。
だけど結局去年の盛大な失敗が尾を引いたのか、
クラブにはちょっとヘンテコなやつらしか集まらない。

同じ大学にある男子のアカペラグループはめちゃめちゃイケてて大人気。
一方的にライバル視をしている部長は、
伝統と代々受け継いできたやり方にこだわりすぎていて、
ちょっとダサい歌とパフォーマンスを強いてくるんだけど……

みたいな話でした。
最終的には、DJ志望のベッカが曲を担当して
かっこよく歌って締めるんだけどね。

歌はすごく良くて、話も面白かったです。

だけど下ネタがなあ。下世話でなあw
あと、部長の嘔吐がひどすぎる。
たぶんアメリカだと鉄板なネタなんだろうと思うんだけど、
アカペラ大会の解説の二人も正直コメントがいただけないゲスさ。

その辺受け入れられる人にはサイコーなんじゃないかな。
個人的にはちょっとヤダなってポイントがちょいちょい。

なのでちょっと惜しい!
面白いけど、惜しかったっす!
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2016-03-30(Wed)

「BIUTIFUL」

「BIUTIFUL」

2012年、メキシコの作品。
舞台はスペイン、主演はハビエル・バルデムで
監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
「バードマン あるいは」の関連作として
WOWOWでやっていたのでみてみることに。

映画の筋書きそのものよりも、
その背景にある事情がものすごく多くて複雑な作品でした。

ハビエル・バルデムはうまいね!
ノー・カントリーの時はこんな人類が存在していいのか
と思うほどヤバかったのに。


映画の舞台になっているのはスペインのバルセロナなんですが
その中でも貧しい人々、不法移民なんかが暮らしている
スラムのような地域での話でした。

主人公ウスバルの見ている、夢のような景色から物語はスタート。
ウスバルと話している男の正体は、途中でわかります。

ウスバルは二人のこどもを育てているシングルファーザーなんですが
どうも最近体調がよろしくない。
それで病院に行ってみたら、前立腺のガンに侵されていて、
しかももうあっちこっちに転移していて
化学療法をしながらだったらあと二か月、と余命を宣告されてしまうんです。

まだ幼い二人のこどもをどうするのか、ウスバルは苦悩します。
こどもたちの母親であるマランブラは、
双極性障害(いわゆる躁うつ病)を患っていて
子供に愛情はあるんだけど育てるのは難しい状態。

ウスバルの仕事は、いわゆる裏社会絡みで、
不法移民に仕事をあげたり守ったりしつつ、
そのアガリで暮らしているような状態なんですよね。
彼の生い立ちはあまり豊かなものではなくて、
父親の顔も知らず、母親も幼いころに失っていて、
兄はいるけどやっぱりあやしげなクラブでヤクを売りさばいていたり、
ほめられたもんじゃありません。

とはいえ、ウスバルは情に厚い男で、
移民から搾取はしているけれど、
いろいろ気にかけたり、仲よくしたりもしているんです。

移民に対する警察の取り締まりが厳しくなり、
友人である警官におめこぼしを頼んだけどダメだったり、
寒い地下室で雑魚寝している中国人たちのためにストーブを買うけど
粗悪品だったせいで全員ガス中毒で死んでしまったり、
その始末がうまくいかなかったり
子供を託したくてマランブラとよりを戻そうとしたのに
病状が悪化して結局病院に戻らなきゃならなかったり。

死にたくないと望んでいるのに、ウスバルはどんどん弱っていくわけです。
頑張っているのに裏目裏目に出てしまって、
愛する子供たちを守る手立てがどうしても見つからない。

自分の、社会の片隅の暗いところで生きてきたから
周囲も、社会の片隅の暗いところで生きてきた人間ばっかりなんだよね。
だからうまくいかなくて、
だけどどうにかちゃんとしたくて、
自分のせいで死んだひとびとに申し訳なくて。


こういった状況に陥った話なんだけど、
ウスバルにはある力があるんです。
それは、死者の声を聴くというもの。
死んだ人間が見えるし、彼らの声を聴いて伝える仕事もしている。

この映画にこの設定があるのはすごく不思議なことに思える。
なぜなら、そんなにしょっちゅう生かされていないから。
時々仕事をして、時々死者を見るくらいなんです。

だけど、この力があったからこそ、
ウスバルは道を踏み外さなかったんだろうなとも思うんだよね。
彼らは死者の声を聴いて、たくさんの後悔や感謝、恨み言を聞いただろうから。
幼い子供の告白や、愛する妻への伝言なんかをね。
それに、死者がずっとそばにいる暮らしをしていたからこそ、
自身の死というものに対する思いが人とは違うというか。


こっから下はネタバレ全開になっちゃったから、
見たい人は読まないほうがいい。



で、ウルバルの人生は最後の最後で本当にうまくいかないわけです。
仲よくしていたセネガルからの移民エクウェメを守れず
彼は送還されてしまうんですが、
その妻イヘはスペインに残っていて、
ウスバルはせめてもの償いに、自分の家に招くわけです。

イヘと、彼女の赤ちゃんはウスバルにとって最後の希望というか
チャンスだったのかなって。
ウスバルの仕事は決してほめられたもんじゃないんだけど、
やさしさとか思いやりがちゃんとあって、
ただの労働力としか思っていないような非道な奴じゃない。

なんとか助けてあげたいとか、力になりたいとか。
だから、自分の力になってほしいとも願うんだよね。

なに書いてるかわかんなくなってきたけど、
とにかくウスバルを取り巻く世界の脆さに
見ていて涙が止まらなくって。

明るくて、清潔で、豊かな暮らしとは無縁なんだよね。
社会は彼らを守ってくれない。どんなに苦しくてもダメ。

だから自分たちでなんとかしなきゃいけないのに、
みんな苦しいから。だから、絶対的な信頼が存在しないの。


最後の最後、子供たちを頼むとイヘは大金を渡されます。
家賃は先払いしておくから、自分の子供たちもなんとか頼むと。
だけど彼女は愛する夫のもとに帰りたい。
お金がたまればセネガルに帰るとはっきり言っています。

なぜスペインに残っているかというと、
子供はスペイン国籍を持っているから。
貧しい祖国では仕事もないし、満足な教育も受けられない。
エクウェメは、息子に明るい未来を用意してあげたいんです。
だけどイヘは、異国の地に自分たちの居場所がないと感じている。

この辺の、貧しさに関する問題も深刻に描かれていて
ずーんと重たいんだよね。
エクウェメの願いも、イヘの望みもよくわかる。
彼らの思いを、ウスバルもよくわかっていたと思うんだけど、
それでもほかに頼れる人がいなくて、
お金を託した……。

彼女は荷物をまとめて駅に向かう。
裏切られるのかと思ったら、最後には戻ってきてくれて。


それで、ウスバルは目を閉じるんです。
永遠の安泰じゃないんだけど。
それでも安心して、目を閉じたんじゃないかな。
自分のしてきたことにようやく意味があったと感じて
世の中捨てたもんじゃないと思いながら
静かに目を閉じ、亡き父と森の中で話すんです。



世界は公平じゃないんですよ。
日本では最近貧困って言葉が流行ってるけど
国に守ってもらえるいいところだと思うんすよね。
本当の貧しさや不平等さっていうものを見て、
人のために生き、愛情を注ぐ尊さについて
よく考えたらいいんじゃないかなって。

そんな風に思いました。はい。

2016-03-25(Fri)

「マイ・インターン」

マイ・インターン

2015年ハリウッドの作品。

ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイが主演の、ハートフルな人情物語。

アン・ハサウェイ演じる、ファッション通販サイトを経営する女社長ジュールズのもとに、シニア・インターンとしてデ・ニーロ演じる70歳のベンがやってくる。
シニアのインターンなんて聞いてたっけ?くらいでまったく採用に乗り気じゃなく、仕事がなければいなくなるだろう……と放置しているジュールズだったが、若い人材ばかりの会社で、ベンの細かな気遣いやアドバイスは、少しずつ力を発揮していって……。という話。


まずはとにかく、アン・ハサウェイがかわいい!
出てきたばかりの頃は目と口が大きすぎてなんだかどうしようって印象だったんですが、年をとって落ち着いたのかな。それでも、なんともいえないプリンセス感があって、可愛いんですよ。にじみ出る可愛さ。
今作では気の強い女社長というキャラクターでしたけど、魅力がすごくてね。
ちょっと弱いところも見せるようになって、応援したくなるといいますか。


そして、非常に紳士的で毒のない役を演じたデ・ニーロ。
デ・ニーロのただものではない感が抑えられていて、それがすごいと思いました。
大体はやべーだろこの爺さんってオーラがにじみ出てるんですけど、こんな「普通の円満退職後のやもめ」もやれるんだなって。

70歳のベンは最初、なんもわかんないんでしょ、爺さん、みたいな扱いなんですけども、パソコンの使い方を素直に習い、わからないことは聞き、困っている人がいれば話を聞いてやり、ジュールズの心配や懸念を感じ取って、でしゃばりすぎない程度に解消してくれるんですよね。
ほんの数日で、いつの間にやら長年付き添ってきた執事のような信頼を得る。

目ざとすぎる、と一度は遠ざけられるんですけど、いなくなったらとたんに不便だし、ベンに比べればほかの人間は気が利かないし、能力が低く感じられちゃって。
それでジュールズはベンを信頼し、少しばかり頼ろうと決めます。

年を取った人間にしかできないこともあるし、若い人にしか越えられない山もある。
お互いを尊重して、敬意をもって接していけば、いいことがあるよねって。その一番の理想形を見せてもらったなあって。そんな感じの気持ちのいい映画でした。
なぜジュールズの会社へ来たのか、その理由もなかなかよかった。
すぐにベラベラしゃべらないところも、本当にいい。

ベンみたいな紳士はあんまりいないと思うんだけどね。

自分を律することを知る人間の美しさも、テーマの一つかなと思います。
スーツをきっちり着こなすこと、車のドアを開けておくこと、言われた通りになんでもこなすこと、なんでも勝手にはやらず、一言相手に確認してから実行することなどなど。
イライラすることも多い世の中だけど、まずは心の中でぐっと抑えて行動することで、相手の信頼を得る、みたいな。

とにかく、いやな気分にならない一本。
いや、ママ友間の空気はアレだったけどw
アメリカも似たようなもんなんすねえ……。

2016-03-24(Thu)

「ハッピーボイス・キラー」

ハッピーボイス・キラー

2014年アメリカの作品。

キュートでポップで首ちょんぱとか言ってますが、見た目だけ。
中身は全然違います。こんなに悲しい映画久しぶりだ。

主演はライアン・レイノルズ。初めて見ましたけど、上手でした。

主人公は、アメリカの片田舎の工場で働くジェリー。
一見人当たりのいい青年なんだけど、
非常に深い孤独にとらわれているし、
飼っている犬や猫と会話するし、
精神に重大な問題を抱えているのです。

主人公ジェリーの尋常じゃない心の壊れ方を、
重苦しくない映像で描き切っているのがまずはすごい。
コメディとして見られるようになっているのが非常にすごいと思いました。

ちょっとね、ハンパないんですよ。ジェリーは普通ではないんです。
悲しい生い立ちがあって、心が壊れたまま大人になってしまって、
なんとか自立して暮らしたいと願いながらカウンセリングにかかっているんだけど
薬で安定がもたらされると、普段見ないようにしている孤独が容赦なく目の前に突き付けられすぎてしまって、
それが辛くて、自分の世界に逃げて、悲劇を重ねてしまう。

そういう物語でした。

原題は「THE VOICE」。映画そのままを現したいい題名だけど、これを「ハッピーボイス・キラー」にしたのはお見事。珍しくいい感じの邦題だなって。


ジェリーの世界は、ごく普通に生きている大勢の感覚からすると壊れきっていて、彼だけに都合のいい危険極まりないものなんです。
彼が生きていくために必要な、すごい補正が入ってるんです。
彼が見ている光景や匂いですら問題なくなるほどの強い補正がね。
世界のバランスをぐーっと自分の方にたくさんたくさん引き寄せないと生きていけない、本当にかわいそうな男なんです。

子供のころに受けた傷が深すぎて、健全な精神がはぐくまれなかったら、その責任は本人が負うべきでしょうか?
ジェリーが通っているカウンセラーの先生はそれをわかっていて「傷つけないでくれ」と願いますが、だけどそれも、ごくノーマルに暮らしたいだけの人間にはとんでもない話でしかなくて。

同情はできるけど、許容はできない。
これは当たり前で、罪悪感を覚えるたぐいのものじゃないんですけど、それでもジェリーの人生はどうしようもなく悲しくて、あまりにも満たされていなくてかわいそうなの。


この映画から感じるのは、虐待の罪深さとか、幼少期に与えられる愛情の尊さだけじゃなくてね。

人の心は、世界に対応するために絶えずその人なりの補正がかかっているってことなんじゃないかなと。
嬉しいとか楽しいとか、幸せな時はいいんです。
だけど辛くてたまらない時、寂しくて耐えられない時、苦しくて逃げだしたい時に、心をなんとかするために、これは仕方がないんだとか、嵐はいつか過ぎ去っていくとか、自分の心にあきらめをつけさせるもんだと思うんです。そうやって、人間は理不尽や苦痛、試練なんかを、乗り越えるエネルギーにしたり、なんとかやり過ごしているんだなって。
そういうことを再確認したのが一つ。

あとは、世間で起きる理不尽な事件の犯人がいたとして、「心の闇」なんて表現を昨今ではしますけれども、そういうものに「理由なんかない」だろうなって。

彼らは自然に生きていくために、ただ必要なことをしているだけで。
最終的には「人を殺してみたかった」なんて言葉でまとめられますが、そこに至るまでの精神の道のりは、他人にはわかりっこないんだろうと思います。

そういう理屈じゃない世界をわかりやすく見せてくれた映画でした。

主人公のジェリーは、善悪の判断がつく男なんですよね。
自分を傷つけた人間も、傷ついて壊れた原因も全部わかっていて、
それでなんとかしたくて、ちゃんとカウンセリングにもいって、
仕事もして、恋もするんです。
なにか悪い流れになりそうな時には、善の心が囁いてくれる。

だけど、ただ自分が我慢するだけでは生きていけなくなっちゃって、人生は崩壊。
そこに至るまでに随分多くの犠牲者がでてしまって、
本当にやるせなくてたまらない話なんですけど。

ジェリーはある程度まともなので、同情が多く湧き出してくるんだよね。
飼い犬の言葉は彼の内なる善。猫の囁きは、無意識に抱えている怒りや恨みからくる、邪悪な願望なのかな。
一生懸命善の心に従おうとするのに、壊れたジェリーには無理。
死んだ母親から最後に与えられた教えが、ジェリーの不幸に拍車をかけているっていう本当に悲しい展開でなあ。なんかもう、どう受け止めたらいいのかわからないくらい悲しかった。

最後の最後に、ジェリーはすべてを許されます。
それも、彼が望んだからだと思いました。

誰もかれもが自分を肯定し許される、光に包まれたとても明るく楽しい世界へたどり着く。
やっと、自分を苛んできた「孤独」という名の牢獄から解放されるんです。

こんな運命を辿らなければ得られなかったであろう明るすぎる世界がね。
虚しくて悲しくて、だけど、良かったねっていう気分もあって。

生きていく上で人が抱える、たくさんの思考と無意識がもたらすものについて、深く考えさせられる作品でした。
こういう話なのに、見やすいっていうのがいい。
なんも考えずに見られるところもいいです。
なんにも考えずにみるとすっごい楽だし、人によっては「面白い!」っていうんじゃないかな。

見やすいと言ってますが、グロテスクな表現もいっぱいありますよ。
公式のキャッチフレーズが首ちょんぱなので、そういう事件は起こります。苦手な人には勧められないです、はい。
ただ、直接的なグロじゃないので。見せ方に工夫があるので、見やすいと表現してみました。


もうちょっとむちゃくちゃな話だと思ってたので、驚きましたが、非常にいいものを見たなって満足です。はい。
あと、レンタルで借りようとしたらDVDしかなかったのでDVDで見ましたが、画面の雰囲気的にブルーレイよりDVDの方がいいんじゃないかなって思いました。

2016-03-22(Tue)

「ジョン・ウィック」

ジョン・ウィック

キアヌ・リーブス主演で去年とにかく見に行きたかった一本。
だけど映画館に行けなくて、
というかかなり近所に映画館があるんだけど
地域柄なのか家族向けばっかりのひよったラインナップなんだよね。
こういうバイオレンスなものはやらないんす。
それで見に行く機会を逃したのでウキウキでレンタル。

物語はとにかくシンプルで、
伝説の殺し屋であるところのジョン・ウィックが
人生を捧げてもよいと思える女性と出会って結婚
殺し屋は引退して普通の暮らしをしていたんだけど
幸せな生活は短く、妻は病死してしまう。
悲しみに暮れるジョンのもとに、ある日愛らしい子犬が届く。
妻からの最後の贈り物とともに立ち直ろうとするが
ある日「いい車に乗ってるじゃん」と絡まれ
無視したら深夜に襲撃を受けてしまう。
車は奪われ、賢い子犬は無残に殺される。

で、伝説の殺し屋が再び目覚めちゃう。

そういう話です。ただもう、この野郎俺の子犬をこの野郎、です。


敵は、かつてジョンが所属していたロシアンマフィアでして、
一番の標的になるのはマフィアのドンの息子。

ジョンはドン・ヴィゴの息子を狙うためになりふり構わないんですが
それがねえ、もうかっこいいんですよ。
真正面から徒歩で行くからね。

で、凄腕だった過去があるので、裏社会の大勢と知り合いなわけです。
みんながみんな彼に一目置いていて、
味方になってくれたり、逆らわなかったり、あえて狙ったり、いろいろなんですが
この「俺の考えた最強にかっこいい殺し屋の世界」がね、
一本筋が通っていてとてもいい感じ。

裏社会のみなさん専用のルールがあるホテルとか、
そこで使われる専用の金貨とかね。

ジョンの親友をやっているウィレム・デフォーもかなりいい。
っていうかヴィゴも渋くて素敵だし、
マフィアのみなさんみんなスーツで決めてて、
というかジョン・ウィックも仕事の時はドレスアップしていて
キメキメなので見ていてものすごく楽しいし
私好みのダンディがそこら中にちりばめてあってウキウキしましたよ。

この映画はグラスホッパーの須田剛一さんも非常にほめていて
私としては「なるほど」でした。
Killer7のダン・スミスってこんなイメージかもって
もうちょっと若いかな。ジョン・ウィックが若くてもう少し荒々しかったら
暴君ダン・スミスになると思いました。はい。
Killer7は大好きなゲームで、世界観はあんまり頭で考えると
くるくるぱーになってしまいそうな感じなんだけど、
それでも「かっこよさ」や「空気」にはしびれてしまう
良さを感じるべきものなんですが、
ジョン・ウィックもそうで、
一本筋の通った美学あふれる作品を
あまり考えずに楽しんだらいいものなんじゃないかと思いました。
こういうものを作りたい、と考えて、
その通りのものを作った、みたいな。
そういう熱が伝わってくる作品、いいよね。

キアヌのどこの国の人にも見える容貌に
伝説の殺し屋っていうキャラクターはよくあっていますな。


ホテルのフロントの人とか、気の利くバーテンの女性とか、
雰囲気をよく出せていてとにかく良かったです。
目で楽しむ作品としてかなりいい一本。満足満足。