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2016-04-09(Sat)

「ベアリー・リーサル」

ベアリー・リーサル

2015年アメリカ作品。

あらすじというか、設定がいいんですよ。
孤児の女の子をこっそり集めて、完全無欠の諜報員として育てているという設定がね。
可愛い幼い女の子に銃器の扱い方、戦闘技術、車の運転なんかを仕込んで、ターゲットのもとへ送り込むっていう設定にロマンがある。

映画の最初に可愛い女の子たちが訓練しているシーンがあるんですが、これがね。いいのね。
でもそこがクライマックスだったかもw

主人公のメーガンは訓練施設じゃナンバーワンの実力の持ち主なんですが、
殺伐とした施設育ちのわりに愛にあふれた女の子でして。
使命を受けて外界へ出た後、「普通の女の子」目指して頑張っちゃうんです。
アメリカの青春映画だのドラマだのを見まくり、ティーン向けの雑誌を読み漁って、
心だけはなんちゃって女子高生に。
任務で軽くしくじったのを機に普通の高校へまんまと潜入するも、
教官から追いかけられ、ライバルからの嫉妬攻撃にもあい、
伝説のナンバーワンだったジェシカ・アルバに狙われちゃうっていう……。


で、設定はかなりいい感じなんですけども
なんかもう、全体的にすごく緩いんだよね……。
すごい戦闘マシーン、凄腕諜報員っぽい雰囲気を出し切れてなくて
高校デビューに失敗したり、逆にみんなに見直されたりなどなど
どっちの要素も緩くて見ていて失笑しちゃうというか。

ほほえましい、と言い換えることもできるかも?
どっちかだけでもとがっていてくれたら……!と思わずにいられない。
せめてヒット・ガールくらいやってくれたら(無理かな)
という印象。惜しい映画でした。

女の子たちの戦闘訓練がみたい人は、ぜひ。
序盤だけだけどね!
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2016-04-08(Fri)

「八日目」

「八日目」

1996年フランス映画。

タイトルの八日目は、聖書からきたもの。
神が世界を作るのに、七日かけるんですよね。
「光あれ」から始まって、大地と海と、人間を作って、七日目はお休み。
だから一週間は七日で、日曜日は安息日なんですが、
タイトルの「八日目」で作られたのは本作の主人公というか
なんでしょうね。人生における「不幸」をさすのかな。

神に作られた最初の人間であるアダムと、
その妻であるイブは、言いつけを破ったせいで
エデンの園を追われます。
満ち足りた楽園から追い出され、そこからは
ありとあらゆる苦難が二人を待っているぞと。


この映画の主人公は二人。
妻と娘に出て行かれた仕事人間のアリーと、
ダウン症の青年ジョルジュです。

アリーは娘たちと妻を愛しているのに、
うまくやれなくて、仕事に追われすぎて、
とうとう愛想をつかされ「来ないでくれ」と言われたところ。

ジョルジュは、窮屈で自由がなくて楽しくない施設がイヤで、
大好きなママのところに帰ろうと飛び出してしまったところ。

行き詰ったアリーは休暇をとろうと車を走らせていて、
うっかりジョルジュの犬を轢いてしまう。
車に乗せて、目的地へ送ろうとするも、
ジョルジュはちょっとばかり頑固でいうことを聞かない。
そこから始まる、二人の不思議な旅の話です。



この映画ほど、見る人によって印象が違うものもないんじゃないかな。
まず、ダウン症の家族がいる人は、辛いと思います。
なんらかの障害を抱える家族がいる人も辛いかと。

それから、ダウン症についての知識があるかないか。

障害を抱える人の描き方も結構容赦がなくて
そのあたりをどう感じるかも相当違うんじゃないかな。

作中では「蒙古症」と表現されていましたが、
これはダウン症の古い呼び方で、
ジョルジュがモンゴルに思いをはせるシーンがあるので
そのまま使われているんだなと理解しました。
ダウン症の人は外見がみな同じ風になるので(個人差はあるけど)
こんな風に呼ばれた時代があったのでしょう。

ジョルジュは実際にダウン症の方が演じられていて、
すごく説得力のある映像に仕上がったなとまずは感心しました。

でね、よくある、配慮とか、悪く描かないでおこう、
美談にしようという意識が薄く、
逆に心配になるほどリアルな描かれ方でした。

ちゃんと会話もでき、ユーモアも理解し、歌い踊り、
やさしさもある。けど、ごく普通とはいかない。
生まれつきの病を抱えた苦悩がこれ以上なくストレートに描かれていてね。
本当になんかもう、人間ってどうしてこんなに不完全なのかなと。

エデンの園を追われるほどの罪を犯したとして、
それでもこんなに辛い運命を用意されなきゃならんかなと
神の無情さを思わずにはいられません。

「チョコレート・ドーナツ」でも実際にダウン症の俳優が演じて
最後に本当に辛い運命を辿って、映画だっていうのに悲しくてたまらなかったけど、
この「八日目」も本当に辛い。


仕事人間のアリーは、ジョルジュに振り回されながらも、
人間らしさとはなんなのかを彼を通じて見出していきます。
最後には自分を縛っていた鎖をといて、
妻と娘のもとへ帰っていけるんですがね。

一方のジョルジュは、会いたかったママが既に亡くなっていて、
一番の望みである暖かい家庭を手にできないんです。
姉もいるけれど、彼女にはもう彼女の家庭がある。
夫と二人の子供がいて、ジョルジュの世話まではできない。
ジョルジュは色々とできる男ではあるんだけど、
時々衝動を抑えられず、我慢ができないと床に倒れて暴れてしまう。

この辺は、知的な障害のある人間がどうやって育てられたか、
適切な療育を受けたか、どのくらい成長できたか
非常に個人差がある部分で、
ダウン症の人がみんなああいう風だとは思わないでほしいけど、
だけど、あんな風にキレちゃうタイプになってしまう場合もあって、
人生はままならぬものだってことなんですよね。

病を抱えているからという理由で親がかわいがりすぎて、
そのせいでほかの兄弟の扱いが悪くなったりすることは現実にあって、
ジョルジュのお姉さんもそれについて少し訴えます。

ジョルジュは悪くないけど、お姉さんも悪くない。
お母さんの気持ちもわかる。でもやりきれない思いは消えない。

障碍者を取り巻く事情がリアルでね。本当にね。
私もそんなに詳しいわけではないんですが、
ちょいちょい支援の必要なこどもとその家庭を見てきて、
親の行動が行き過ぎていたり、逆に足りなかったり、
どの程度受け止め、受け入れ、守ろうとするかは
本当にみんな違っていて、全員が完璧にはなれないんです。

仕方ないし、理解できるし、やりきれない。
家族という名の鎖の重さがね。
幸せばっかりじゃなくて、不幸もあって、
それをどう受け止めるかはその人次第だし、
キャパもみんな違うしって話でね。
本当に辛いんだよね。


ジョルジュは自分によくしてくれるアリーに希望を見出すけれど、
自分の心と対話している間に気がついてしまう。
彼と暮らしたら楽しいと思うけど、はっきりとOKをもらっていないと。

アリーも、自分のこどもすら幸せにできないのに、
ジョルジュの人生まで受け止められないよと答える。

あくまでも他人として、友人としてなら付き合えるけれど、
ジョルジュの孤独のすべてまでは引き受けられないわけです。

その思いを全部理解して、
きれいな女性が好きで、幸せな結婚をしたいけど、
その辺にいる「普通の」男と自分は違うともはっきり理解して、

だったら自分が一番幸せになるにはどうしたらいいのか?
ジョルジュはかなり思い切った決断をします。


最後に流れる優しい歌は、ジョルジュの夢なんだろうなって。
先日みた「ハッピーボイス・キラー」とかなり近い話でした。

人生はどうしてこんなにうまくいかないのかなって
最後はじゃあーっと涙が出てきてまいりました。

だけどアリーは自分が感じた「人間らしさ」を手に入れて
幸せに向かって歩き始めて、ほんとそれが救いになったな。

あなたはどう感じますか?って
映画に試されている気分になりました。

なんにもできないんだけどね。
実際、障害のある人にいきなり抱きつかれたら
間違いなく逃げると思うし。

罪悪感と、当たり前と、やさしさと、厳しさと。
生きるのって本当に難しい。
そんなことを思いました。重たい映画だった。


2016-04-03(Sun)

「ピッチ・パーフェクト」

「ピッチ・パーフェクト」

ミュージカルも青春映画も好きなので見てみることに。
2012年作品なのに、日本上映はなぜか去年だったやつ。
主演はアナ・ケンドリックで、
「ハッピーボイス・キラー」にも出てました!
ついでにいうと「ライフ・アフター・ベス」でも見た!

ちょっとクセのある、どこかで見た顔だなあと思ってたら
トム・クルーズに似てるのかな。

マイ・インターンでデ・ニーロの同期だったバイトくんがいたり、
ヘアスプレーでアンバーを演じていたブリタニー・スノウがいたり
さりげなくクリストファー・ミンツ・プラッセが混じっていたり。
ついでにいうと、ファットエイミー役の人、
ニッキー・ブロンスキーかと思ってしまった。
トレーシーいつの間にこんなに大きく……みたいな。
違ってたけどね。むしろ、「天使にラブソングを……」に出ていた
メアリー・パトリックに似てたか。

というのはとにかくおいといて、物語は
主役のベッカが大学に入学したところからスタート。
家から離れて一人でいたい。ついでに群れないでいたいと
思っていそうなベッカなんだけど、
伝統あるアカペラクラブにスカウトされてしまう。
部長は去年全国大会で激しく嘔吐するという大失敗をやらかしていて
クラブにはもう親友一人しか残っていない。
だけど結局去年の盛大な失敗が尾を引いたのか、
クラブにはちょっとヘンテコなやつらしか集まらない。

同じ大学にある男子のアカペラグループはめちゃめちゃイケてて大人気。
一方的にライバル視をしている部長は、
伝統と代々受け継いできたやり方にこだわりすぎていて、
ちょっとダサい歌とパフォーマンスを強いてくるんだけど……

みたいな話でした。
最終的には、DJ志望のベッカが曲を担当して
かっこよく歌って締めるんだけどね。

歌はすごく良くて、話も面白かったです。

だけど下ネタがなあ。下世話でなあw
あと、部長の嘔吐がひどすぎる。
たぶんアメリカだと鉄板なネタなんだろうと思うんだけど、
アカペラ大会の解説の二人も正直コメントがいただけないゲスさ。

その辺受け入れられる人にはサイコーなんじゃないかな。
個人的にはちょっとヤダなってポイントがちょいちょい。

なのでちょっと惜しい!
面白いけど、惜しかったっす!

2016-03-30(Wed)

「BIUTIFUL」

「BIUTIFUL」

2012年、メキシコの作品。
舞台はスペイン、主演はハビエル・バルデムで
監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
「バードマン あるいは」の関連作として
WOWOWでやっていたのでみてみることに。

映画の筋書きそのものよりも、
その背景にある事情がものすごく多くて複雑な作品でした。

ハビエル・バルデムはうまいね!
ノー・カントリーの時はこんな人類が存在していいのか
と思うほどヤバかったのに。


映画の舞台になっているのはスペインのバルセロナなんですが
その中でも貧しい人々、不法移民なんかが暮らしている
スラムのような地域での話でした。

主人公ウスバルの見ている、夢のような景色から物語はスタート。
ウスバルと話している男の正体は、途中でわかります。

ウスバルは二人のこどもを育てているシングルファーザーなんですが
どうも最近体調がよろしくない。
それで病院に行ってみたら、前立腺のガンに侵されていて、
しかももうあっちこっちに転移していて
化学療法をしながらだったらあと二か月、と余命を宣告されてしまうんです。

まだ幼い二人のこどもをどうするのか、ウスバルは苦悩します。
こどもたちの母親であるマランブラは、
双極性障害(いわゆる躁うつ病)を患っていて
子供に愛情はあるんだけど育てるのは難しい状態。

ウスバルの仕事は、いわゆる裏社会絡みで、
不法移民に仕事をあげたり守ったりしつつ、
そのアガリで暮らしているような状態なんですよね。
彼の生い立ちはあまり豊かなものではなくて、
父親の顔も知らず、母親も幼いころに失っていて、
兄はいるけどやっぱりあやしげなクラブでヤクを売りさばいていたり、
ほめられたもんじゃありません。

とはいえ、ウスバルは情に厚い男で、
移民から搾取はしているけれど、
いろいろ気にかけたり、仲よくしたりもしているんです。

移民に対する警察の取り締まりが厳しくなり、
友人である警官におめこぼしを頼んだけどダメだったり、
寒い地下室で雑魚寝している中国人たちのためにストーブを買うけど
粗悪品だったせいで全員ガス中毒で死んでしまったり、
その始末がうまくいかなかったり
子供を託したくてマランブラとよりを戻そうとしたのに
病状が悪化して結局病院に戻らなきゃならなかったり。

死にたくないと望んでいるのに、ウスバルはどんどん弱っていくわけです。
頑張っているのに裏目裏目に出てしまって、
愛する子供たちを守る手立てがどうしても見つからない。

自分の、社会の片隅の暗いところで生きてきたから
周囲も、社会の片隅の暗いところで生きてきた人間ばっかりなんだよね。
だからうまくいかなくて、
だけどどうにかちゃんとしたくて、
自分のせいで死んだひとびとに申し訳なくて。


こういった状況に陥った話なんだけど、
ウスバルにはある力があるんです。
それは、死者の声を聴くというもの。
死んだ人間が見えるし、彼らの声を聴いて伝える仕事もしている。

この映画にこの設定があるのはすごく不思議なことに思える。
なぜなら、そんなにしょっちゅう生かされていないから。
時々仕事をして、時々死者を見るくらいなんです。

だけど、この力があったからこそ、
ウスバルは道を踏み外さなかったんだろうなとも思うんだよね。
彼らは死者の声を聴いて、たくさんの後悔や感謝、恨み言を聞いただろうから。
幼い子供の告白や、愛する妻への伝言なんかをね。
それに、死者がずっとそばにいる暮らしをしていたからこそ、
自身の死というものに対する思いが人とは違うというか。


こっから下はネタバレ全開になっちゃったから、
見たい人は読まないほうがいい。



で、ウルバルの人生は最後の最後で本当にうまくいかないわけです。
仲よくしていたセネガルからの移民エクウェメを守れず
彼は送還されてしまうんですが、
その妻イヘはスペインに残っていて、
ウスバルはせめてもの償いに、自分の家に招くわけです。

イヘと、彼女の赤ちゃんはウスバルにとって最後の希望というか
チャンスだったのかなって。
ウスバルの仕事は決してほめられたもんじゃないんだけど、
やさしさとか思いやりがちゃんとあって、
ただの労働力としか思っていないような非道な奴じゃない。

なんとか助けてあげたいとか、力になりたいとか。
だから、自分の力になってほしいとも願うんだよね。

なに書いてるかわかんなくなってきたけど、
とにかくウスバルを取り巻く世界の脆さに
見ていて涙が止まらなくって。

明るくて、清潔で、豊かな暮らしとは無縁なんだよね。
社会は彼らを守ってくれない。どんなに苦しくてもダメ。

だから自分たちでなんとかしなきゃいけないのに、
みんな苦しいから。だから、絶対的な信頼が存在しないの。


最後の最後、子供たちを頼むとイヘは大金を渡されます。
家賃は先払いしておくから、自分の子供たちもなんとか頼むと。
だけど彼女は愛する夫のもとに帰りたい。
お金がたまればセネガルに帰るとはっきり言っています。

なぜスペインに残っているかというと、
子供はスペイン国籍を持っているから。
貧しい祖国では仕事もないし、満足な教育も受けられない。
エクウェメは、息子に明るい未来を用意してあげたいんです。
だけどイヘは、異国の地に自分たちの居場所がないと感じている。

この辺の、貧しさに関する問題も深刻に描かれていて
ずーんと重たいんだよね。
エクウェメの願いも、イヘの望みもよくわかる。
彼らの思いを、ウスバルもよくわかっていたと思うんだけど、
それでもほかに頼れる人がいなくて、
お金を託した……。

彼女は荷物をまとめて駅に向かう。
裏切られるのかと思ったら、最後には戻ってきてくれて。


それで、ウスバルは目を閉じるんです。
永遠の安泰じゃないんだけど。
それでも安心して、目を閉じたんじゃないかな。
自分のしてきたことにようやく意味があったと感じて
世の中捨てたもんじゃないと思いながら
静かに目を閉じ、亡き父と森の中で話すんです。



世界は公平じゃないんですよ。
日本では最近貧困って言葉が流行ってるけど
国に守ってもらえるいいところだと思うんすよね。
本当の貧しさや不平等さっていうものを見て、
人のために生き、愛情を注ぐ尊さについて
よく考えたらいいんじゃないかなって。

そんな風に思いました。はい。

2016-03-25(Fri)

「マイ・インターン」

マイ・インターン

2015年ハリウッドの作品。

ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイが主演の、ハートフルな人情物語。

アン・ハサウェイ演じる、ファッション通販サイトを経営する女社長ジュールズのもとに、シニア・インターンとしてデ・ニーロ演じる70歳のベンがやってくる。
シニアのインターンなんて聞いてたっけ?くらいでまったく採用に乗り気じゃなく、仕事がなければいなくなるだろう……と放置しているジュールズだったが、若い人材ばかりの会社で、ベンの細かな気遣いやアドバイスは、少しずつ力を発揮していって……。という話。


まずはとにかく、アン・ハサウェイがかわいい!
出てきたばかりの頃は目と口が大きすぎてなんだかどうしようって印象だったんですが、年をとって落ち着いたのかな。それでも、なんともいえないプリンセス感があって、可愛いんですよ。にじみ出る可愛さ。
今作では気の強い女社長というキャラクターでしたけど、魅力がすごくてね。
ちょっと弱いところも見せるようになって、応援したくなるといいますか。


そして、非常に紳士的で毒のない役を演じたデ・ニーロ。
デ・ニーロのただものではない感が抑えられていて、それがすごいと思いました。
大体はやべーだろこの爺さんってオーラがにじみ出てるんですけど、こんな「普通の円満退職後のやもめ」もやれるんだなって。

70歳のベンは最初、なんもわかんないんでしょ、爺さん、みたいな扱いなんですけども、パソコンの使い方を素直に習い、わからないことは聞き、困っている人がいれば話を聞いてやり、ジュールズの心配や懸念を感じ取って、でしゃばりすぎない程度に解消してくれるんですよね。
ほんの数日で、いつの間にやら長年付き添ってきた執事のような信頼を得る。

目ざとすぎる、と一度は遠ざけられるんですけど、いなくなったらとたんに不便だし、ベンに比べればほかの人間は気が利かないし、能力が低く感じられちゃって。
それでジュールズはベンを信頼し、少しばかり頼ろうと決めます。

年を取った人間にしかできないこともあるし、若い人にしか越えられない山もある。
お互いを尊重して、敬意をもって接していけば、いいことがあるよねって。その一番の理想形を見せてもらったなあって。そんな感じの気持ちのいい映画でした。
なぜジュールズの会社へ来たのか、その理由もなかなかよかった。
すぐにベラベラしゃべらないところも、本当にいい。

ベンみたいな紳士はあんまりいないと思うんだけどね。

自分を律することを知る人間の美しさも、テーマの一つかなと思います。
スーツをきっちり着こなすこと、車のドアを開けておくこと、言われた通りになんでもこなすこと、なんでも勝手にはやらず、一言相手に確認してから実行することなどなど。
イライラすることも多い世の中だけど、まずは心の中でぐっと抑えて行動することで、相手の信頼を得る、みたいな。

とにかく、いやな気分にならない一本。
いや、ママ友間の空気はアレだったけどw
アメリカも似たようなもんなんすねえ……。