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2017-04-13(Thu)

「ルーム」

ルーム

2015年、カナダとアイルランドの制作。
アカデミー賞の主演女優賞を取ったということですが
納得のいく内容でした。
というか息子役の彼に素晴らしいで賞をあげたい。上手すぎ。


5歳の男の子のジャックは、ママと二人だけ、狭い部屋で暮らしている。
彼の世界はただただそこだけ。
なぜなら、ママはある日突然拉致・監禁され、
オールド・ニックという名の男に閉じ込められたままだから。

ジャックの5歳の誕生日の日に、運命は動き出す。
テレビを通じていろいろと知っているものの、
ジャックの世界は小さな小さな納屋の中で完結している。
成長した息子に、母はとうとう脱出するための計画を持ち掛け、
命を賭けて実行し、そして解放されるのだが……。

という話。

前に見た「マーサ、あるいはマーシー・メイ」って映画もでしたが、
監禁されている、洗脳されている、って話じゃないんですよね。
特殊な状況下で縛られていた人間が自由な世界へ出たら……
って話なのです。

かつては自由に暮らし、帰る家があるママと、
外の世界を一切知らないジャック。
すぐにでも家に、家族のもとに帰りたいママの意向で
入院を切り上げて実家に戻るんですけどね。

やっぱり普通じゃない状況で暮らしていたのは、
大きな鎖になって二人を縛っておりまして。

広すぎる世界、ママと、時々姿を現すオールド・ニック以外の人々。
対応しきれずに戸惑い、普通のこどもにジャックはなれない。

帰る場所が少しばかり変わっていて、
肩身が狭かったり、ジャックの特殊さを思い知らされ、
そして自分に降りかかった不幸の大きさを改めて突き付けられ
心が壊れそうになってしまうママ。

どちらも、そして突然娘を奪われた家族も、みんなかわいそうでね。
詰めかけてくる興味津々の住民たちとか、
生活費のために受けた取材、インタビューで突き付けられる
鋭すぎる言葉のナイフとかね。
ただただ普通に暮らしていただけの人が、
唐突にむちゃくちゃな悪意を向けられて、
人生を破壊されてしまうことって、
現実にあるのよなあってしみじみ。

日本でも時々起きる、監禁事件ですが
その被害者に向けられる言葉、非情だよね。
なにも知らないのに、もしかしたら、ひょっとして、なんて
簡単な「自分の常識」ではじき出した意見を
好き勝手にぶつけ、語る部外者のなんと多いことか……。

SNSの普及によって、無責任な発言が世の中にあふれるようになりました。
全部にちゃんと「個人の感想です」って書いておかないとね。

想像を絶する不幸を、同じように体験することはできませんから、
だからなおさら、自分の言葉に責任持つようにしないといけないなとか、
そんなことまで考えてしまいました。


にしても、ジャック役の子がかわいくて……。
しゃべり方はあえてあんなに拙くしているのかな?
アカデミー賞に出席していましたが、かっこよかったもんね。
彼の演技が素晴らしかったからこそ、作品も映えたのだろうなあと思います。
ブリー・ラーソンもすごかった。いい作品でした。
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2017-02-14(Tue)

「たかが、世界の終わり」「Mommy」

たかが、世界の終わり

先週から公開されたので見てきました。
カナダ映画ですが、全編フランス語なのであんまカナダ感ないかも。
というか、私の中でカナダといえばデッドプールになりすぎているだけか。

まだまだお若いグザヴィエ・ドラン監督の作品。
前に見た「トム・アット・ザ・ファーム」が結構心に残ってまして
あの監督の作品ならば見なければならない、となぜか決心。
上映している映画館が少ないので、初めて新宿武蔵野館へ。
改装したばかりということでとってもきれいで、
だけどスクリーンは小さいし前後の傾斜もほとんどなくて
なんだかとっても新鮮な気分に。


主人公は人気作家のルイ。
彼が、12年ぶりに故郷に帰るお話です。
ルイは実は余命いくばくもない状態でして、
自分はもうすぐ死ぬのだと、家族に告げに帰るんです。

待っていたのはちょっと陽気な母と、
小生意気だけどルイにあこがれていた妹、
そっけない兄と、その妻の四人。

空港からタクシーで実家を訪れたルイを、
この四人が迎えてくれるんですが、
そのシーンだけでもう家族の関係性がズバっと浮き彫りになって。

開始5分でもういたたまれないんです。本当に。
妹はあまり一緒に暮らしたことのなかった素敵なお兄さんと近づきたいけど、
そこに長兄の横やりが入りまくってしまう。
母はちょっとズレたテンポで兄弟の溝を埋めようとするも、むしろ逆効果。
そこに、初対面の兄嫁がいることでさらに事態は寒々しくなっている。
初めてだし、どう接したらいいかわからないし、
夫である長兄からは冷たくあしらわれるし、義理の母のテンションも意味不明だし。

ルイはただ静かに微笑み、一言二言返すだけ。
家族の歴史が少しずつ語られますが、
ルイがどうして12年もの間離れていたのか、わかっていきます。

自分に死期が迫っているのだと伝えたくて。
いくらあんまりうまくいかない家族だとしても、
知らないなんてあんまりだから。

ルイはそう考えて、決意してかえってきたと思うんです。
だけどね、だけど、家族はそんな話だなんて想像つかない。
想像つかないのは当たり前なんだけど、
だけどね、聞かないんです。
ルイだけが息苦しい家族の鎖から外れて、自由だって思いこんでいるから。

兄はよくできる弟が妬ましくてたまらなくて、
それであんなモラハラ野郎になってしまったんだろうなあ、とか。

あまりよく知らない素敵なお兄様にあこがれすぎて、妹は空回り。
ルイのように自由になりたくて、だけど一人で飛び立つのは怖くてできない。

母は陽気なふりをして兄弟の溝を埋めようとするけど、うまくできない。
こどもたちを平等に愛しているけど、そう思っているのは自分だけで、
こどもたちからするとひどく歪な三角形が出来上がっている。

そんな不協和音の中にさらされて、兄嫁は困惑するばかり。
夫をたてたい、不機嫌にさせたくない、争いが起きてほしくない、
夫の家族とはいえ、じぶんだけが他人で、どう立ち回ればいいのかわからない……。

ぎこちないまま家族はお互いの心をぶつけあって、
お互いに摩耗していくばっかりなんです。
ずっと、きっと、こうだった。
だからルイは家を出た。たぶん耐えられなかったんじゃないかな。
だけどいなかったことで、家族は余計に遠くなってしまって、後悔は募るばかりで。

どんなに反りが合わなくても、どんなに理解しあえなくても、
血のつながりは切れない。それがどれだけ残酷なことなのか、
最後の最後、ルイが自分のことを話そうとした瞬間のあのシーンで
いやってほど思い知らされてしまいます。

家族ってあったかくって、仲良しで。
そういう家庭の人もいるでしょう。
むしろそんな家庭ばっかりだったらしい。
もしも家族が酷いひとならば、縁を切って当然だって言ってもらえるくらい
本当にひどい連中だったほうがまだ救いがあります。

誰も悪くない。悪気なんかない。だって仕方がない。
うまれもったものが違うから。一人で去る勇気がないんだから。
仕方がないから、性質が悪い。

お母さんの「次は大丈夫」って言葉がキツイ。
美しくて、先進的で、才能があって、素晴らしい人間なんだから。
だからあなたが、我慢しなさい。我慢できる人間が我慢しなさい。
きっとあんなにも重たい告白をする旅でなければ、耐えられたでしょう。
だけど、ルイを待ち受けているのは永遠だから。
家族にこれ以上の別れを突き付けられずに、彼は母の望んだとおりの言葉を口にするしかなくて。

なんて悲しい話なんだろうって、心がカラカラに乾いてしまったような気分になりました。

そんなにも悲しい話なのに、最後まで目が離せないんだよね。
それは、監督の力なんだと思います。本当に。
素晴らしいよね、ドラン監督は。


で、これを見る前にチェックしておかなきゃってことで、
Mommy」も見たんです。

こちらは、ADHDの息子を持ったシングルマザーのお話。
夫が3年前に亡くなってシングルマザーになったダイアンのもとに、
手に負えないからという理由で、発達障害の息子が送り返されてくる。
スティーヴはADHDに加えて、愛着障害も見られる。
一度キレると手に負えない。いくつもの施設で預かられたけど、
どこも匙を投げてしまって、母親のもとに帰ってくるんだけど……。

こちらももう、おそろしくディープな作りでしてね。
リアルなんだと思います。発達障害ってなんだろなってなった時に調べてみると
いろいろありすぎてなにがなんだかってなってしまうんですけど、
スティーヴはたぶん一番大変な部類に入るんじゃないでしょうか。

行動は、普通のこどもと同じでなんでもできちゃう。
どこへでも行けるし、会話だってできる。
だけど歯止めが利かないし、相手の立場にたって考えることができない。
共感とか、ブレーキとか、欠けているものがたくさんあって、
社会生活を送るのはとても大変なんです。

ダイアンは本当によく頑張って、仕事もするんだけどね。
でも、スティーヴはキレると盗みもするし、暴力も振るってしまう。
薬は飲みたくない、施設なんかに入りたくない。
もちろん、母だって思いは同じ。
ユーモアを持って息子を受け入れ、付き合っていく。
だけど、現実は親子の愛だけじゃ乗り切れるものではなくてね。

新しく引っ越した先で出会った吃音に悩んでいるカイラの協力を得て
親子は少しずつ頑張っていく。
この出会いは休職中のカイラにも変化をもたらして、
いいこともあれこれあったんですけど、でも、最後はね……。

途中いろいろあって、スティーヴに「僕を愛してる?」って聞かれてね。
ダイアンはこう答えるんです。
私たちにはそれしかないでしょ、って。

どれだけ大変でも、どんなにつらくても。
母は子を愛すっていう。


思うことは、たくさんあります。
こんなにも深く考えさせられるってだけで
ドラン監督の作品は素晴らしいです。

まだ見てない作品も見てみようかなと思います。はい。

2016-10-27(Thu)

「白い沈黙」

昨日ツイッターを見ていたら、

#絶対オススメの映画10本思いついた順で
というタグが流れてきたんです。
個人的に好きなフォロワーの人があげていた映画には
一個も賛同できねーなとか思いつつ、
思いついた順かーと書き連ねてみたら

SUPER!
アバウト・シュミット
カポーティ
ハッピー・ボイス・キラー
薔薇の名前
アメリカン・ビューティ
マッチスティック・メン
テルマ&ルイーズ
ペイン&ゲイン
アルゴ

となりました。でも、あとからあとから出てくるんだねこういうのって。
追加で

オンリー・ゴッド
THE・レイド
BIUTIFUL
ブルージャスミン
フライドグリーントマト
セッション
ショート・ターム
チャッピー
エデンの東
潜水服は蝶の夢を見る
西遊記 はじまりのはじまり
裏切りの獣たち

でもまだあったなーって。
キング・オブ・コメディとかさ。あと、ヒートとか。
デ・ニーロが一番かっこいい映画ってヒートだよね的な。
あとは、レナードの朝とか。

デッドプールとか、キック・アス、スコットピルグリムとか
21ジャンプストリートとか

きりがないので終わり。



白い沈黙

2014年、カナダの作品。主演はライアン・レイノルズ。

なにも考えずに物語だけを追っていると
「ナンダコレ」ってなっちゃいそうな映画でした。

9歳の少女が忽然と姿を消し、8年後、いまだ探し続ける両親のもとに
成長した娘が「生きている」と思わせる証拠がちらほらと顔を出す。
最初は容疑者として疑われ、さんざん警察を恨んできた父親が
必死になって娘の影を追いかけ、取り戻すという話なんですが
物語の核は単純に「話の概要通り」ではなくて、
悪意を持ち続けることが普通の状態であるひとびとによって
善良な人たちの暮らしが簡単に破られ
取り乱したり悲しんだり怒ったりする残された家族の姿をみて
娯楽にしちゃってるような吐き気のする邪悪が
この世には存在する/できるんだよってことだと思いました。違うかもしれないけど。

この作品の監督、アダム・エゴヤンという方ですが
去年見た「デビルズ・ノット」を撮った方でした。
あれも、作品を通して「人間の悪意」だとか
人の悲しみ、怒り、それにもたらされる歪みについて
感じ取ってねみたいな雰囲気だったかなと。

「白い沈黙」はエンタメ的な見せ方を放棄している映画で、
(と、私は感じました)
なにがどーなって、どういう理由でなにをしたのか、という点、
誘拐・犯罪映画における重要な核の部分についての詳しい説明はなく、
最後に悪が裁かれるとか、そういったカタルシスもありません。

いや、裁かれるんだけどね。

最後そこで終わりなのかと言いたくなるはず。
どうやら日本版では追加されているようですが、
事件解決のために尽力してくれた女刑事さんは
海外版では見つからないまま終わるそうです。辛い。


解明されていない部分が多くて、細かい部分は推測になってしまいます。
警察だけの力では事件を解決できなかったし、
主役である父ちゃんは娘への愛はあるものの、
本当に奇跡的に犯人と遭遇できたから解決に至ったものの、
自分の力でどうのこうのっていう流れではないんだよね。

一歩間違えれば未解決のままであったという悲しみとか、
娘が犯人の隙をつくってやろうと頑張っていたりとか、
娘がいなくなってしまった原因についていつまでもなじり、
だけどかえってくると信じているからこそ離婚もできずに
お互い歩み寄れなくなってしまった両親とか、

実際に悪知恵の働く犯人に子供を誘拐されたら
こうなっちゃうんだろうなって様子が描かれていくんです、淡々と。
だから面白いかと言われたら、面白くはないです。しんどいばかりで。

とにかく犯人たちの思惑がわかんないんだよね。はっきり描かれないので。
単純に、チキンレースというか、家族をもてあそんで楽しんでやろう
他人が絶望する様子が好きなんでしょう。
派手に行動はしないで、他人を利用して自分たちはセーフティゾーンでニヤつくという
とてつもなく胸糞の悪い犯人が描かれておりますので、
映画を見てあれこれ考えるのが好きな人にはいいんじゃないかと思います、はい。


ところでライアン・レイノルズの顔って
そこまでイケメンすぎないところが見やすいのかなって
そんな風に今日は考えました。結構好きだな。

2016-07-31(Sun)

「タイム・チェイサー」「ファイナル・ゲーム」

短めのを2本。

「タイム・チェイサー」

2013年カナダの制作した映画。
ハーレイ・ジョエル・オスメント君が主演です。

主人公がまだ少年だったある日、父親が突然失踪してしまうところから物語はスタート。
父を深く愛していた母は落ち込みながらも息子を育てたけれど、
ほんの些細な言い合いを引き金にとうとうタガが外れて自殺。
母方の父であるところの祖父はタイムマシンの研究をしており、
母の死をきっかけに主人公へ手伝うように言います。
お前のお父さんは、タイムトラベルした先でうっかり死んでしまって戻って来られなかったんだよと。

主人公は最終的に、タイムマシンを完成させて、父にすぐ戻るように伝えるという話なんですが
絶妙なところにピントが合わせてあって、そのせいでそんなに面白くはないという。

主人公も彼女がいて、しかも妊娠させちゃうんですよね。
お父さんを助けに過去へ行きたいけど、
でもそんなことしたら、今生きている自分たちがどう変わるかわからないでしょ、って。
そういう葛藤も、ある事件を境に吹っ切れちゃってね。
家族が大事っていうのがテーマなのかもしれないけど、
微妙にスッキリしないのは、タイムマシンの急拵え具合とか、
過去に行ったはずなのに電柱とかそのまんま現代すぎるとか、
細かいところにあんまり気を遣ってない感じが前面に出すぎているのかなと。

タイムパラドックスに関してもあんまり深くは考えていないようですし、
父親を引き留めるための方法もかなり思い切ってて、
あとはそうだな、あの両親から、ハーレイ君みたいな顔の子は生まれないのでは……
みたいな印象もちょっとあるかも。というわけでそこまでよくはなかったです。


「ファイナル・ゲーム」

2014年スペイン映画。
サッカーのアメリカ代表チームが華麗に勝利したあと
乗った飛行機が爆発炎上そして墜落。
落ちた先は無人島で、チームメイトたちは意見が合わなくてまっぷたつになっちゃう……
という話なんだけど。


最初にまず、アメリカVSどこだったかな。とにかくワールドカップがあるんです。
アメリカがサッカーで優勝すっかなぁ……ってとこからスタートしまして、
なんかちょっと嫌な雰囲気で、これは落ちるに違いないと思ったらまんまと墜落。
しかも機体が空中で爆発しちゃうっていう結構激しい落ち方。

機長や客室乗務員は姿をまったく見せません。
監督、監督夫人は助からず。
落ちた先の無人島に上陸できたのは、監督の娘2人を含む15人。
けが人は2人いて、半分に割れた機体が救護所になってる感じ。

で、そこからね。
最初はとにかくみんな呆然としちゃってて、遺体を埋めるだけ。
食料や水をかき集めて、どのくらいのペースで食べるか決めて、
そのあとは特になんもしないっていう超展開を見せます。
なんにもしないのに(魚とかいますけど)、
2日目に早速、けが人に食わせるくらいならぶっ殺して自分たちで食おうぜと言い出し、
しょっぱなから救助は来ない、絶対来ないってめちゃめちゃあきらめちゃってるの。

ワールドカップで優勝したチームの飛行機が消息を絶ったんだよ?
しかも、アメリカでしょ? 

って思うじゃないですか。
というか、食糧問題でキャプテンであるところのスリム(人情家)が
なんでけが人を見捨てようって提案したのかがまずすごく謎。
彼の賛成で多数決は決まり、けが人が一人死んでしまう。
仲間を見殺しにしてしまった自責の念が拍車をかけたのか、
食料もないここで生きていけないよってトレーナーが自殺してしまう。

そんな島にはかつて誰かが潜んでいたらしく、白骨死体もあるんだけど
近くにこっそり地雷が仕掛けてあったんだよね。
それで一人、足が吹っ飛んじゃうんですけども、なんで地雷があるのかも納得がいかない。

魚は取らないし、水を確保しなきゃって考えはじめるのがとにかく遅い。
そんな中、向かいの島に向かってみんな元気に泳ぐ泳ぐ。
サメがいるよーって言ってたのに、あれは幻だったのか?
そんな塩水しかない環境の中、みんな元気で、とても悲観的で、攻撃的でね。
短期間で人が変わりすぎっていいますか。

極限状態でひとは変わる、というのがテーマなんでしょうけれども、
食料・水、人員はまだ足りているし、島の調査全然してないのに
いきなりウエーイって狂うの早すぎない?っていう感想しか出てきませんで。

オチについても、そのうち間違いなく機体とか遺体の回収にくるでしょうが……って思いました。

2016-06-09(Thu)

「エレファント・ソング」

エレファント・ソング

2014年、カナダの作品。日本での公開は2015年だったのかな。
いや、えらいもの見ちゃったな……というのが正直なところ。

舞台は精神科の病院。
ひとりの医師が失踪し、彼の行方を唯一知っているであろう人物は
入院患者のマイケルだけ。
院長のグリーンは聴取しますが、マイケルに翻弄され続け、
そして最後には衝撃の展開が!

マジで衝撃の展開でやんの……。って思いました。
あらすじを書いてしまうとかなりしょうもないことになると思うので
どんな作品か知りたい方は公式サイトを見て、
興味を惹かれたら見てみたらよろしいのではと思います。

先日見た「トム・アット・ザ・ファーム」を撮った監督が主演。
監督としてもすぐれているのに、どうやら役者としても非凡な才能をお持ちのようです。
感性の鋭い方なんだろうなあって、
早死にしてしまいそうで心配になるほどだよ……。



幼い頃に愛情を与えられなかった人生というものに、
私は特別に興味があるのかもしれません。
題材として興味深いと感じているのではなくてですね。
愛情を与えられなかった人間はどうなってしまうのか
どうしたら救えるのか、知りたいし納得したいのだと思います。


グリーン院長、ダンディでステキでした。
マイケルの壊れた様子と、内に秘めた深い悲しみ。
よく伝わってきて、見ていて辛くなるほどでした。

舞台となる病院の薄暗さと、思い出の映像の美しさのコントラストもいい。
とても重たい内容、テーマの作品ですが、
たまにはこういうのも見て、人間の不完全さに思いを馳せるのもいいんじゃないかなって
そんな風に思うんです。