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2016-04-12(Tue)

「タンゴ・リブレ 君を想う」

「タンゴ・リブレ 君を想う」

2012年、どこの映画かなこれ。ベルギー?
舞台がどこなのかもちょっと把握しづらい、
不思議な恋愛というか、遅れてきた青春映画のような空気でした。

主人公は刑務所の看守をやっているJ.C.
とても静かでまじめそうな男なんですが
彼の唯一の趣味がタンゴ。
教室にいって静かに踊っていると、とある女性が入ってくるんです。
それが、アリス。
40手前くらいの色気のあるアリスにJ.C.は惹かれるんですが、
ある日、刑務所で仕事中に気がついちゃうんですよね。
夫がいて、自分の働く刑務所で服役しているって。

そこから少しずつ変わり始める、
硬いばっかりのJ.C.の人生……みたいな話。
恋愛は成就しません。だからこれは恋愛映画というよりは、
恋愛をとおして人生を変えた男の話、です。

看守としては、受刑者の近親者と交流をもったらダメなんですが
どうしてもアリスが気になって、J.C.はそっと
アリスと教室で踊ったり、来なくなってしまったアリスを気にかけ
電話をかけてみたりするんですが
どーにもこうにもこの男は純情すぎて、
見ていてキューンと切なくなってしまうっていう。

ところでヒロインのアリスなんですが、
15歳の息子がいて、受刑者の夫フェルナンがいるんですが
もう一人、受刑者のドミニクって男とも親しいのです。
親しいを通り越して、もう一人の夫みたいなの。
この辺が最初理解できなくて、あれ、お父さんなのかな?
っておもったら愛人っていうね……。
愛人というか、なんというか、ちょっと奔放なのかな……みたいな。

そんな複雑な男女が刑務所で入り乱れて、
夫には「看守とタンゴを踊るなんて」と嫉妬され、
ドミニクには「あと20年もこの中なんて耐えられねえ」と自殺未遂をはかり、
自分が実は父親ではなく、仲良しのオッサンの子供だったと知った息子が
ちょっとグレかかったりなどなど

アリスとその周辺の奔放さに振り回されて、
それでも彼女がいとおしくて、
J.C.は最後に、アリスとその息子の力になりたいあまり、
思いっきり大きな一線を踏み越える。いや、飛び越える、かな。

嫉妬しながらも、アルゼンチン人にタンゴを習うフェルナンとか、
ムショ内で教えてくれるアルゼンチン人たちの
タンゴの見事さとかね。

女を落とすための踊りだと言いながら、
まずは男同士で練習するんだとか、
刑務所の中なんで、基本的には殺伐としながら
時には踊り、時には笑い、人間は生きていくんだなあ……みたいな。

ちょっと不思議な映画なんですよね。
J.C.の変化は非常に大きいんだけど、
見た目的にはすごく控えめにしか変わってなくて。

最後のシーンのあと、どうなるのかなあ、彼らはって
心配になっちゃうような終わり方なんですけどね。

だけど、さわやかな風が吹いてきたような
すがすがしさの漂うラストで、
なんか、ちょっといいもの見たなって気分になれる映画でした。

囚人のタンゴが見事で、
ついでに囚人のタンゴって響きで「シカゴ」が見たくなりました。
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2016-01-17(Sun)

「人生に乾杯!」

「人生に乾杯!」

2007年ハンガリー映画。

はるか昔、戦争中なのかな。
大きな屋敷に男たちが踏み込んでいるシーンからスタート。
下っ端らしき若い男は屋根裏の捜索を命じられて、
隠れていたうら若い少女を発見。
そっとイヤリングを差し出してきた美しい娘を思わずかばって、
そして時は流れて……

二人は80歳と71歳の老夫婦に。
年金でほそぼそと暮らしているけれど、お金は足りない。
好きなことをして暮らせなくて、息苦しい。
家賃も滞納し、電気も止められそう。
そしてある日、取り立て人にとうとう大切にとっていたダイヤのイヤリングを取られてしまい、爺さんは車に入れっぱなしになっていた銃を片手に郵便局へ。
紳士的に強盗をして、お金を手に入れ、愛車で逃げて、そして妻を迎えに行ってどこまでも。

という話。
貧しさゆえに、やむにやまれず強盗を繰り返していく……
そんでもって夫婦の愛は強いきずなで結ばれていて、ふわっとした映画でした。

映画なのであんまりリアリティ云々いうのはおかしいんですが
警察もめちゃめちゃうっかりしています。
これがハンガリー流なのかなあっていうのが正直な感想でした。
東寄りのヨーロッパらしい。リトアニアの強奪避航と近いかな。

夫婦の望みは、多分普通に暮らしていたら叶わなかったのだろうなーと思います。
古い車を甘く見てたら思わぬ性能を発揮していたり
(後部座席がめっちゃ広くてなんかすごくいい感じ)
最後の方の主役の二人は、初々しい出会ったばかりの恋人同士のようでもあり。

逆に「年金暮らしだけじゃキツイ」とか、「模倣犯現る」とか、
若い世代へのインタビュー映像はいれなくても良かったんじゃないかな。
なぜだかうまいことやってる老夫婦がいて、
それをみんなが応援しちゃっているという単純な構図にした方が
心の中にモヤが残らなくて良かったかも……ね。
強盗あった人のインタビューもちょっとのんびりしすぎだろーって思います。


最後もふんわり。
二人はきっと寄り添いあいながら海を眺めているのでしょう。
深く考えずに、優しい気持ちでみるとよし。かな。と思いました。

2015-12-10(Thu)

「ラビリンス 4つの暗号とトランプの迷宮」「ネイバーズ」

中途半端に時間があいたので、短めの映画を二本。

ラビリンス 4つの暗号とトランプの迷宮

WOWOWの紹介ページはこちら。
オランダ・ベルギー作品だそうです。オランダ!やった!

割と子供向けの内容だったかな。
ごく普通の少年フリッケ(そばかす美少年)はある日、自転車に乗った男の落とし物を拾い、
リュックの中から不思議な箱を見つける。
更に入っていたUSBを読み込むと、なんだか素敵な感じのゲームがスタート。
取り説を印刷して遊んでみると、箱はカメラで、写真を撮ってアップロードすると
それがゲームの中に取り込まれるという仕組みだとわかる。
おもしれーと思っていたら、写真に撮られたものはどうやら命を吸い取られた状態になってしまうと気が付いて……。

みたいな話。ゲームゲームしたビジュアルはなかなか面白いけど、
黒幕がわかりやすすぎるというかw
子供向けならこれでいいのかもしれません。
色々とピンチや出会いがあるんだけど、そこまで盛り上がりもせず。
つまり、ビミョーでした。犬がめっちゃ賢いです。


「ネイバーズ」

Amazonの商品紹介ページはこちら(アフィリエイトじゃないよ)。
原題は「Bad Neighbors」で、つまり「悪い隣人」です。

あ、セス・ローゲンだ!っていうのが最初の感想。
これはバカ映画の予感がする、と思ったら案の定とんでもない内容でした。
R15+版と銘打ってあるだけあって、お下劣でしたよ。

主演がセス・ローゲンで、共演はザック・エフロン。
ヘアスプレーのころに比べて、まー大人になりました。
いつものメンツの中では、クリストファー・ミンツ・プラッセもいるよ。
ほっぺがちょっとほっそりしたかな。

子供が生まれて閑静な住宅街に引っ越してきた主人公マックとケリーの夫婦。
愛娘ステラは本当に愛らしく、第二の人生の始まりだ!なんて思っていたら
空き家だったお隣が、大学の社交クラブのクラブハウスになってしまう。
朝から晩までパーティだぜ!ってな感じの超ヤンチャ集団と
仲良くやりたいけど、やっぱりやかましい。
クスリ、酒、女、なんでもありのクラブハウスは子供に悪影響、と
耐えかねて警察に通報したのが運の尽き。
マックVS社交クラブ「デルタ・サイ」の仁義なき戦いが始まる!


みたいな話。
アメリカの映画を見ていると、彼らの(特に若い世代の)
パーティにかける情熱ってなんなんだろうって思わされます。
その最たるものが「プロジェクトX」だったと思いますが
今回もまたすごいw
隣人を煽りに煽りまくるデ・ニーロの物まねのシーンとか、
笑ったり呆れたり忙しい映画でしたが、
日本人の感覚からするとなんでこれで警察に怒られんの、
って思うだろうなーみたいな感じですよね。

大学とのやり取りも、なんというか、
訴訟社会よのう……って気分になったり。
でも最後は夫婦を応援しちゃうし、ラストシーンは無駄に爽やかで
やっぱザック・エフロンは男前だな、で終了です。

あんなのが日本にも大量に沸いたら、その時はおしまいだなって
異文化を楽しめるいいコメディでした!

2015-12-01(Tue)

「APP:アプリ」

「APP:アプリ」 WOWOWの作品紹介ページはこちら

オランダ映画。
突如としてインストールされた謎のアプリのせいで、
女子大生がヒャーンとなる話。オランダ映画。

イギリス・イタリア・フランス・ドイツあたりとは一味違う、
オランダ・デンマークおよび北欧の映画勢に最近ちょっとワクワクしてるんすけど。

今回は、スマートフォンの便利さにおぼれてやいませんか、みなさん

みたいな作品だったと思います。

多分だけど、映画館でみたらアプリの連動があってもっと怖かったのかな。

冒頭で、一人の女性が呆然としながら線路に侵入するところからスタート。

そして、主人公のアナ。
友人とルームシェアしながら、大学に通っている女の子。
弟が事故にあって、今は一生懸命リハビリ中。
片時もスマートフォンを離さない生活をしているんだけど、
新入り(元カレだった)の開催したパーティに参加した次の日の朝、
唐突に妙なアプリがインストールされる。
それが、やたらと話しかけてくるわ削除できないわで、じわじわ追いつめられるんですが。

勝手に入り込んでくるアプリケーションに対する無防備さとか
日常化から切り離せないゆえに起きるあれこれにうわあって気分に。
おいてきゃいいじゃん!って思うんだけど、アナは決して手放さないんです、スマホ。
ただこの話、スマホが……ってだけの話ではなく、
怨念的なホラー要素もがっつり入ってきて、
最終的には超常現象もいろいろ起きます。


それで結局、アプリは進化しちゃったのかなあ。
お化けの復讐は終わったはずが、最後の最後までウワハハハハ!ってなっちゃって。
前にみた「Offline」でも思いましたが、
全部が全部コンピュータ制御されているっていうのは、
悪意のある誰かの手に落ちた時サイアクだよねっていう
そういう話ですなって感じです。

面白かったかと言われると、そこまででは……って感じかな?
まあまあでした。

2015-11-20(Fri)

「ゾンビ・リミット」「デビルズ・ノット」

「ゾンビ・リミット」

制作はスペイン/カナダになってましたが、言語は英語。
タイトルにゾンビってはっきり入ってますが、原題は「Reterned」。

世界には人をゾンビ化してしまうウイルスがあって、
人類は何度かの危機を経験し、今では感染しても発症を抑える薬を開発しており、
ウイルスに感染してしまったものの、適切な治療で発症を免れている人が
タイトルの通り「リターンド」と呼ばれています。

リターンドはごく普通の人間と同じように生き、生活をしているのですが、
発症を抑える薬が少なくなっていて
(発症しゾンビになった人間の髄液からしか採れないという鬼畜仕様)
処分しろ!と声高に叫ぶ市民も結構大勢いるような世界観。

主人公は過去に父親が発症、母親は父に食べられてしまい、
父親を銃で撃ち殺したという経歴の持ち主。
リターンド専門の医師、研究家であり、恋人までリターンドだったりします。
そんなケイトが、リターンドが襲われる事件が連発し、抑制薬が失われる中、
恋人を救うために必死になる話なんです。

ゾンビはちょっと出てくるんですが、そんなには姿を見せません。
ゾンビ映画と呼ぶのはちょっと憚られるかな。

リターンドはごく普通の人間なんですが、薬がきれれば即発症してしまうし、
その血に触れれば感染してしまう危険な存在です。ゆえに反対派がいるのも仕方ない。
抑制薬に必要なタンパク質は、発症してしまった人からしか採れない。
今は薬で抑制されているので、発症しない→薬のもとがとれない
という悪循環もあって、代替品の開発が進んでいるけどなかなか完成しない。

リターンドが激しく追い立てられる中、ケイトは必死で恋人を守るのですが、
その努力は最終的に実らないんですよね。ラストは本当にかわいそうで、
最後の最後の豹変もやむなし……と思いました。

ゾンビをゾンビとしてではなく、ひとつの病として描くっていうのは新しいかな。
リターンドと人間であんなにイチャイチャするのは大丈夫なのかな?とか
子供が出来たけどそれってどういう感じで生まれるのかな?とか
疑問は色々。全体的にうすぐらーくて静かな雰囲気で、ムードが良かったなーと。思いました。


そして「デビルズ・ノット

アメリカで実際に起きた、子供三人が惨殺された事件。
その犯人を追及した裁判が非常に雑で、冤罪だったのではないかと言われているんですよ
っていうのを映画化した作品。

実際に犯人とされた3人の若者は2011年に条件付きで釈放されたという。
非常に怪しい人物について最後、言及されていますがこれは大丈夫なのかな?

あらすじだけに惹かれてみてみたら、デイン・デハーン様が出てました。
影のある若者やらせたら天下一品ですね。犯人っぽすぎてびっくりですよ。

映画は裁判がいかに不当に行われたかを描いたもので、
あまりの不公平感にイライラしてしまうっていうよくあるタイプです。
こういう裁判が、いかに田舎であっても本当にあったかと思うとクラクラしてしまう。

この映画よりも前に、同じように裁判の問題点について訴える作品があって、
アメリカでは非常にメジャーなのに、すぐに再審に結びつかなかったのは不思議。

自分の大切なこどもがあんな風に惨たらしく殺されて、
証拠らしい証拠が出て来ない茶番のような裁判でその辺の若者が犯人に仕立て上げられて
被害者の家族はどれほど辛かったでしょうね。
とにかくあいつらが怪しい、犯人だ、これでいいんだって人もいたのだという風に
描かれておりますし、真犯人については非常に近い人物が浮上しているみたいで
なんだかもう、やりきれない、本当に悪魔の仕業だなと思います。はい。

事件そのものも恐ろしいし、
こういう無茶苦茶な冤罪が存在するのも恐ろしいし。

で、レストランにやってきた男は一体なんだったの。どうなったの?
デハーン様がやったクリスはなんだったの、などなど
疑問は残ってしまう。事実をそのまま入れたんでしょうけども、
見せ方としては若干うまくない部分もあったかな。

とはいえ、人間の恐ろしさ、弱さが存分に描かれていたとは思います。
こんな事件は世界からなくなればいい。