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2015-10-19(Mon)

「ロストID」

「ロストID」

2012年のオランダ映画。
オランダやデンマークのあたりが作っている映画は割とクレイジーな印象が強いような、そんな昨今ですが、こちらは割とノーマルなサスペンスだったような。

主人公は敏腕コンサルタントで、
記者会見の台詞とか考えてるような仕事。
妻とは離婚、息子は愛しているものの別居中でなかなか会えない。

そんなある日、事故を起こして川の中に沈んでいる車を発見。
中で死んでいたのが自分の顧客で、警察に通報すると、
なぜか車は自分のものというデータが出てきて、容疑者にされてしまう。

すべての情報が一点に集まっていると(マイナンバー的なやつ)、
悪意のある人間に書き換えられた場合ものすごく困ることになるよね、
という話がど真ん中にまずある。
いちいち違う機関が証書を発行してくれるっていうのは面倒なんだけど、
ひょっとしたらすごく安心なことなのかもしれません。

主人公のデータは次々に書き換えられて、
買ってもいない家のローンが滞納していると告げられたり、
銀行口座からは金を動かされ、散々な目にあってしまう。

誰を信じたらいいのか、どうやって信じてもらえばいいのか。
自分の基本になる情報をでたらめにされた主人公は必死になって戦うのですが、
敵の正体が割と強大だし、開き直られちゃうしでまったくもっていいのかソレって気分に。
面白くなくはないけど、ちょっと気の利かない作りだったかな。
でも、市井の人間がこういう事件に巻き込まれた場合、
こんな風にわーっと葬り去られてしまう可能性は高いのかもしれません……。

でも最後に頑張り屋のリシャールが爆殺されるのは頂けないかな。
細かい部分がざっくりしすぎていて、もうちょっとなんか欲しかったかも。
でもこの乱暴に投げるようなオチの付け方はオランダ的というか、
これがまたいいような気がしている自分がこわい。
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2015-06-22(Mon)

「武器人間」

武器人間

予告が卑怯だったのでついつい見てしまった。

仲間からのSOS信号を追って怪しげな教会に辿り着いたソ連軍。
地下に潜ってみたらそりゃーもう奇怪な実験施設があって大変だあ!

という話でした。
全体的に「バイオハザード4」を思い出させるビジュアルで、
言語の聞き慣れなさもあるのかな。
おっぱいのベロベロソースが脳裏に蘇って思わずふふって。

タイトルまんまだし作品のキモなので書いてしまうけれど
ナチスのマッドなサイエンティストが
死体と兵器を合体させて最強の戦士を作るぜバリバリ
ってなことをしており、うっかり入り込んだ普通の兵士たちは絶望の谷へまっさかさま。

他にも色々と話はあるんだけども、
基本的には細かい設定とか「そーだったのか」的な展開はどうでもいいというかw

記録係が行軍しながら撮っているビデオ映像、という設定なせいで、
いろんな武器人間が出てくるもののよく見えない。
移動していないシーンに、しょっちゅうグロ映像が出てくるので
苦手な人は本当に見てはいけない作りでした。


メニュー画面の警告は本当にわかりやすくて親切でした!

血がどばーっと出るくらいならばともかく、
内臓がしょっちゅう出てくるのでさすがにうへーとなりましたよ。
特に頭はちょっとね……。頭は勘弁かなって。
造り物だとわかっていてもイヤなもんです。

残虐表現もあんまりしつこくなく、あっさり&軽めなんだけれども
最後の方は改造手術をじっくり見せてくるの注意が必要だと思いました。

面白かったかと言われると、微妙。
ただ、オランダとかデンマークの辺りは本当にクレイジーだなって最近思うし、
その思いは更に深まった感。

2015-02-02(Mon)

「オンリー・ゴッド」

オンリー・ゴッド

現代は「ONLY GOD FORGIVEN」。
フランスとデンマークの共同制作で、舞台はタイのバンコク。

「復讐劇」と言われるとなんだかこう、ムズムズしてしまう感じ。
いや、全編通して、見ている間も観終わった後も、ものすごくムズムズする
非常に痒い映画でした。

物語のあらすじとしては、主人公はアメリカ人のジュリアン。
兄が殺され、母がやって来て、兄を殺したヤツを見つけて殺せと命じてくる。
それで、なんだかんだ。です。


結論からいうと、ものすごく良かった。
こんな映画なかなか撮れないし、作れないと思う。
でも説明は難しい。

この話は、
母親にぎゅうぎゅうに縛られて生きていた男が、解放される
っていう話。だと、思う。基本的に。

出てくる人物は全員狂っていると考えて良い。
ジュリアンとマイは違うかな。
最初に死ぬ兄も、悪でだけ構成されたような母親も、簡単に言うとクズ。
バンコクに舞い降りた復讐の天使であるところの、元警官のチャンも狂っている。
映像はずっとゆっくり、極彩色で、現実なのか夢幻なのかわからないシーンが多く
残酷表現も盛りだくさん。

でも、とても美しく撮られていて、芸術的。
誰も彼もまったくブレない、チャンの制裁もそう。全員がやり過ぎで、どストレート。
なので、最後は妙な爽快感すら覚える。

狂った世界の中でジュリアンと、マイだけがまとも。
警官の皆さんも、元警官で私的な制裁を加えるチャンを応援しているし、
一仕事終えた後のカラオケにも付き合っているあたり、
チャンさんさぞかし伝説があるんでしょうね……ってな感じで
誰も彼も嫌いにはなれなかった。クズなんだけど、芯が通ってるから。

どんでん返しの類がなく、強い者が強く、弱い者は全員屠られる世界の
非常に濃厚な90分で、これは評価が分かれてもやむなし。
でも、私は好きでした。
ぐさーっと刺さった一本だった。でも他人には薦めない。デンマークヤバい。