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2016-02-13(Sat)

「トラッシュ! -この町が輝く日までー」

「トラッシュ! -この町が輝く日までー」

イギリス制作。舞台はブラジル。タイトルから受ける印象とはだいぶ違うかな。
とりあえず「!」はいらないのでは。

原題はただの「Trash」でして、いわゆるゴミ、クズ、くだらないものを指す言葉です。

主人公は14歳の少年3人組。
ビデオに撮られた彼らのメッセージが再生され、これを見ている人がいるなら、僕はもう死んでいるだろう……なんて物騒なセリフが少年の口から飛び出してくる。
一方で、一人の追われている青年の登場。彼は警察に追われ、追い詰められて、自身の財布をゴミ収集車に向けて投げ込む。

彼は拷問の末死に至り、ゴミ捨て場では大勢がなにかいいものがないか漁っている真っ最中。

これが多分、彼らの日常なんだろうというのがすぐにわかる。
ゴミの山はトラックの積んできた廃棄物で埋まっており、老若男女、大勢が山を登ってはお宝探しにいそしんでいる。

冒頭のビデオに出てきた少年、ラファエロもその一人。
ともだちのガルドと一緒にゴミ山を漁り、青年の投げ入れた財布を見つける。
中身を確認して、現金をわけあって。あとはもう捨ててしまえば?と言われるけれど、面白そうだからと手放さない。

そしてやってきた警察官たち。彼らが捜しているものが、自分の拾った財布だと気が付くラファエロ。
警察は信用できない。ましてや、見つけた者に謝礼を出すとなれば、相当に大事なもの。

二人は財布を隠そうと決めるけれど、景気よく鶏肉を買ってきたガルドのせいで目をつけられてしまう。
なんとか隠し通さなければと、ゴミの城の奥の奥に暮らすラットのもとへ二人は向かい、そして財布に隠された秘密を探り当てていく……

という話なんですが。
この少年たちの置かれた状況に、まずは圧倒されると思います。
彼らは痩せていて、汚れていて、だけど生きていくための知恵はしっかり持っていて。
それでいて、ただの少年で無力なんだけど、財布に隠されていた青年の無念を感じ取って、情報を集め、それぞれの些細な能力を使って権力者たちの悪事を突き止めていくんですけどね。

警察は子供にも全然容赦がないんです。
ゴミの山で暮らす人々は、ゴミ同然の扱いをされてしまう。
住人たちもそれを理解していて、子供たちが頼りにしている神父はちゃんと行動はするものの、これ以上は無理ってラインを引いてあきらめてしまっている。

ラファエロたちはたくましく、そのラインを越えて、警察に追われ死の危険に迫られながらも、小さな財布に潜んでいた秘密を突き止めるために走り抜けていくんです。

途中で親切な誰かとの出会いはあるけれど、どれもささやかなものでして。
もう彼らは死んでしまったんだろうと何度もあきらめられてしまう。
刑務所に面会に行ったり、聖書に隠された暗号を解いたり。

財布をゴミ収集車に投げ込んだジョゼは幸運だったのだなと最後に思いました。
あれを拾ってくれたのが、ラファエロでよかった。
ラファエロにいい友人がいてくれてよかった。
彼らに協力してくれる大人が、少しでもいてくれてよかったと。

子供は守られるものだというのは幻想で、世界中のあちこちでただただ搾取されたり、売られたり、暴力にさらされたりしているものなんだ……と改めて。
日本は平和ですよね。あの神父やボランティアの女性のように、できることならしてあげるけれど、命をかけてまではちょっと……というのが大概の大人の考え方でしょう。

それでいいんだけれど、それでもこの映画の描いた世界の裏側の現実は重たい。

最後の最後、少年たちの行きついた場所はとても美しくてね。
だけどいつまでもあのままではないんじゃないかなとか。
深刻な貧困を抱える世界と、そういう場所での権力の在り方とか、訴えるものがとても多い作品でした。
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2016-02-12(Fri)

「マキシマム・ブラッド」

マキシマム・ブラッド

2014年カナダ制作。主演はジャン=クロード・ヴァン・ダム。
いやー……なんだかいいものを見たなーって気分です。
先に大きな感想を書いておきたい気分になる一本でした。


原題は「POUND OF FLESH」で、「ひどい要求」という意味。
まったくもってその通りですねってタイトルでして。

舞台はフィリピンの首都マニラ。
主人公のディーコンが目を覚ますと、なぜだか氷を張った風呂の中にいた。
真っ赤にそまったバスタブとベッド。部屋に置かれた薬と大金、手紙などなど。
これはなにごとかと思いきや、背中には大きな傷が。

町で男に暴力を振るわれていた女性を助け、ベッドイン……
からの記憶をたどり、鏡を見てビックリ。
なんと腎臓が一個とられちゃってる!

実はこの腎臓、移植しなければもう余命いくばくもない姪っ子に譲る予定だったもの。
姪っ子の父親である弟のジョージと一緒に、自分の腎臓を勝手にとっていった誰かを探しに夜の街に飛び込んでいく……という話です。

アクション!って話じゃあないんだよね。
主人公のディーコンは強いし、敵は手段を選ばない連中だし、死人もぞろぞろ出るんだけど。

いきなり腎臓とられているという理由が明かされていくにつれ、なるほどそういう話だったのか……と。

ディーコンとジョージの兄弟の距離感は、かつて同じ女性を愛したから。
姪のドナーになれた理由や、兄弟二人の信念の差など、
アクションもいいんだけどね!
ディーコンは腎臓とられたてホヤホヤの体で、ぜえぜえいいながら頑張るのですが、そのぜえぜえも最後にきれいに昇華されており、ああ、こういう兄弟間の確執や考えの違い、愛した女性への思い、贖罪と許し……がメインでした。

最後の展開がね、ものすごく無情なんです。タイトル通りなんです。
娘のためにって、信念を曲げた弟ジョージと。
最後の最後の一線だけは守ったディーコンと。

漢の世界、って感じで。いいものみたなーって気分です。

ど派手ではないんですけども。
アクションをみたいんだよ!って人には多分物足りないと思いますが、ナイスミドル作品として捉えればかなりのいい作品ではないでしょうか。

ラストシーンも美しくて良かったな。ああ、そうやって並べてあげるのな……って。
いい作品でございました。

2016-02-08(Mon)

「ブライド・ウェポン」

「ブライド・ウェポン」

前に予告動画を見て気になっていたので。
WOWOWさん放送してくれてありがとう。

父一人娘一人の家庭で育った少女エバ。
父の教えはいたってシンプルで、泣いたら負け。戦って勝ち取れ。それだけ。
悪いやつを皆殺しにしたらぐっすり安眠できるよね……。
そんな子守唄をきいて育って少女は、父が殺された日も泣きませんでした。
悪いやつが襲ってきたけど、もちろん返り討ち。
そんな少女が大きくなって、素敵なダーリンと出会って、結婚して、ハネムーンへ行って。

旅先のドミニカで、旦那さんはうっかり高所から落下。
救急車に乗せられて運ばれていったけど、どの救急病院にもいないの!
警察は腐っているみたいでちっとも協力してくれない。
だったら、自分でなんとかするのみ!
愛する旦那様を助けるため、エバの孤軍奮闘が始まる……

って話なんですが。
これがね、エバが本当に強いんです。強者なんですよ。
色仕掛けなんかしません。だって強いから。
敵が迫ってきたらとりあえず殴りかかります。だって強いから。
旦那様を隠されたら、探しに行きます。だって強いから!

警察に何度袖にされても、裏切られても、エバはあきらめない。
自分が愛し、自分を愛してくれた大切な人を見捨てるなんて、女が廃るから!

みたいな感じで、とにかくエバは猛犬よろしく突っ込んでは陥れられ、
切り抜けてはまた突っ込んで戦いになり、
やられそうになっては腕力で解決していく。

強い女子が見たいならぜひ!

としか言いようのない、シンプルな強女子の映画です。

エバを演じている女優さん、ジーナ・カラーノですが、細身の女性が鍛えました、
とかそういうとってつけた感じは皆無で、すんごいマッスル。
めちゃめちゃ美女かといわれるとそうではなく、完全にメスライオンって感じ。
私の好きな雌豹かと思いきや、もっと体格のいい、戦闘用のボディの持ち主でして。
だから、殴ったら男がカクーンと倒れてもまったく違和感がない。

言葉も半分ほど通じない異国の地で、周りは全部敵。
そんな状況でもまったくめげずに何度でも立ち上がり牙をむくエバは
とにもかくにも美しかったです。はい。

映画そのものは、もうちょっとスピーディでもよかったかなとも思いますが、
それはそれで、エバの戸惑いや少しの落胆を表しているような気も致します。

2016-02-06(Sat)

3年連続

インフルエンザにかかってしまいました……。

4年前までは一度もかかったことなかったんだけどな。
関節に痛みが出るので、やばい気配にはすぐ気が付くようになりました(嬉しくない

先にかかった家族の寝言がすごくて、しかも意味不明で、私も症状が治まったなーと思ったあとのメンタルが妙な感じで、やっぱ頭に影響及ぼしてるよな……って思いました。


ただ、短編企画を月末に設定しているので今のうちにやってよかったなとw
なろうに投稿している話は、なんとか今月中に終わらせたかったけど、いったん休止で。
来月には終わりかな。


ボヤボヤしながら「ソリティ馬」やってみましたが、面白くてビックリしました。
やめどきがわからなくなるからそこそこにしておかないとダメでした。
すごい今更なんだけど。やってみてよかったです。

2016-01-28(Thu)

「キングスマン」

キングスマン

チャッピーと並んでずっと見たかった、マシュー・ボーン監督作品。
これも劇場に足を運べばよかったなあとかなり後悔。大画面だったらもっと楽しかったでしょう。

キングスマンはスパイが主人公の超スタイリッシュアクション映画なのですが、このスパイの立ち位置が絶妙。どこの国にも属さない、ただただ正義のためにうごくだけの集団なのです。
人数はぐっと限られ、リーダーであるアーサーとともにテーブルにつけるのは選ばれし円卓の騎士たちだけ。

主人公はまず、ガラハッドの名を持つハリー・ハート。コリン・ファースが演じております。
普段は高級なスーツの仕立て屋。背広という単語のもとになった、セヴィル・ロウにあるお店の主人として働いている。
かつてともに任務についていた「ランスロット」を死なせてしまったことを悔いており、彼の息子を新しい仲間にできるのではないかとスカウトしに来ます。
そのニューフェイスを演じているのが、タロン・エガートン。上手だった!アクションも演技も、なのにド新人なんだって!衝撃的ー!!

キングスマンの敵は、地球のために人類を皆殺しにしちゃおっと♪と考えている、大富豪のヴァレンタイン。彼のたくらみに気がついたキングスマンだけど、いろいろあってド新人と最終候補から外れたエグジー、後方支援のマーリンだけなの!いやー大変だー!!

まとめるとこんな感じなんですけども、とにかく要所要所にキレのいいアクションが挟まるので、見て楽しんだらよいと思います。
映像のセンスがいいよね。スピードの緩急のつけ方、角度、一番かっこいい見せ方を心得ていらっしゃる。監督は素晴らしい。妥協していないのがよーーーーくわかって、見ていて気持ちがいいしとにかく納得がいきます。

キングスマンたちはみんな紳士で、スーツでビシっと決めているんです。
人生を諦め、投げやりだった主人公エグジー。だけどハリーに才能を見出され、正義を胸に置く男になろうと頑張ります。
登場人物たちはとにかく年齢が高くて、めちゃめちゃかっこいいナイスミドルばっかなんですけど。
若者の育成もしっかり描かれていて、こんなに見ていて幸せな映画があっていいのかと……。

ダンディとスタイリッシュとキレとコク。そして成長。
死人がこれでもかってほど出てきますが、それすらも「エンターテイメント」として見せてくれます。大丈夫、死人は出るけど血は出ない。
ヴァレンタインに配慮してるのかなってくらい。

小ネタも粋なものばっかりで、特に子犬につけた「JB」で笑ってしまった。
ひょっとしたら続編もありかもしれない、とにかく全編気の利いた素晴らしい作品。
ハリウッドはこうじゃなくっちゃね!みたいな気分で大満足でした。