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2016-03-08(Tue)

「デッドライジング ウォッチタワー」

先週末から急に体調が悪くなったので、景気づけにゾンビ映画。

「デッドライジング ウォッチタワー」

2014か2015あたりのハリウッド制作。
原作はカプコンから発売されたゾンビわらわらサバイバルゲーム。

主人公はジャーナリストで、ショッピングモールにゾンビ大量発生中取り残されて、事件の真相をおいつつスクープ写真を撮る、みたいなゲームだったと思う。
その場にあるアイテムを武器にして、ゾンビを倒す。派手にぶちかましている写真が撮れたら高得点みたいな内容だった気がする。

そんな映画を下敷きにした今作。
冒頭からゾンビに追いつめられる主人公。
ゾンビのメイクはいい感じ。ピエロゾンビすげえ怖い。
主人公大ピンチからの、時間さかのぼり。
なんだかゾンビがいるらしいという現場に取材に来て、それからどうなった?
みたいな展開に。

この世界ではゾンビウイルスの大規模感染がすでに複数回あって、
前にみた「リターンド」同様、抗ゾンビウイルス剤的なものを使えば
発症せず人間のままでいられるという設定らしい。
というわけで、大きなホールでは予防接種のための行列ができている。
打てば大丈夫!のはずのゾンブレックス……ところが注射したそばから
二人がいきなり発症。ゾンビ化、大惨事!

主人公のチェイスは一人町の中に取り残され、町は封鎖。
空気感染するからという理由でバリゲードが作られ、
生き残ったゾンビじゃない人たちまで撃ち殺される異常事態に。

主人公のチェイスは封鎖された町の中で、
相棒のジョーダンは軍や製薬会社の関係者たちの中で動いて
真相に近づいていく……。

みたいな話でした。
どうせゾンビしかいねえんだ、ヒャッハー!みたいな世紀末的バイク軍団、
娘がゾンビ化し、ひとり生き残ってしまった母ちゃん、
なにやら訳ありの美女なんかと一緒に行動したり、戦ったりしながら
最後は「えーそういう終わりなのー」ってな締め方をします。

真相はわかるんだけど、解決はできない、みたいな。
これは、ゲームが原作で、どんなゲームなのか知ってないと
あんまり楽しめないかなーという気がします。

だけど、よくみたら主人公が、デス妻の庭師のジョンだったり、
軍の責任者が「24」のパーマー大統領だったりしてほんと楽しいっていうね。
パーマー大統領じゃん!ってなりましたよ。見ててよかった24。

ゾンビものってたくさんあるけど、ゾンビの特殊メイクが全然なってないのって
みかけないですね。どうしてなのかな?作りやすいんだろうか。

ちなみに、残酷表現を抑えようとしているのか、カメラワークが多彩で面白い。
うまい、とまでは言わないけど、気をつかっているんだなって。そんな印象。

にしても、ピエロのゾンビ怖すぎ。
トラウマになるかもしれないから、気の弱い方はみない方がいいです。
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2016-03-04(Fri)

「ラストベガス」

ラストベガス

じいさん祭り。2013年、ハリウッド作品。

60年来友人をやってきた四人のじいちゃんたち。
そのうちの一人が若い女の子と結婚するということで、
じゃあ独身最後の日パーティをラスベガスでやろうぜ!
と、ベガスへGOGOする話。

若い女の子と再婚しようとしているビリーを、マイケル・ダグラスが。
ビリーとは昔恋敵だった上、ある一件から恨んでいるパディがロバート・デ・ニーロ。
大病をしたせいで息子に心配されてしまい、家に閉じ込められているアーチーをモーガン・フリーマン。
ベガスに行くってことは女遊びしたいんでしょうからって、奥さんに「浮気してもいいけど詳細は教えないでね」ってコンドームと一緒に送り出されるサムを、ケヴィン・クラインが演じている。
年配のスター勢揃いの一作。ちょい役のゲストたちも豪華。

話はとてもよくまとまっているコメディで、
ビリーとパディの諍いも、アーチーの行き過ぎた親子愛も、浮かれすぎたサムもみんな、収まるべきところにきれいに収まります。美しい。
四人はかなりイケてるじいさん軍団で、なにげにギャンブルの才能があったアーチーが大金を稼ぎだし、ホテルからはVIP待遇を受け、水着コンテストで審査員をやったり、マフィアの大物のふりをして若者をだましたり、最後は長年のわだかまりがとけて更に仲良くなって……。みたいな感じ。

幼馴染からずっと付き合いを大事にして、多少モメていたとしてもお互いに声をかけあい、心配しあえる間柄ってすごいなと思います。そんな友達、一人でも素敵なのにね。

デ・ニーロの偏屈そうなへの字口がとても愛おしいw
というかみんなかっこよすぎる。ドレスアップした姿はダンディでイカしてました。
モーガン・フリーマンの飄々とした様子が和むし、ケヴィン・クラインは普通に美爺だね。
ハンチング帽がこんなに似合うダンディいる? みたいな。

というわけで、じいさん好きには天国のような映画。
この年代になってもシャッキリした四人に敬意を表したい。いいもの見ました。

2016-02-29(Mon)

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」

2005年、アメリカの作品。
もともとは舞台用の作品だったのかな?

天才的な数学者の父が亡くなり、娘が一人残されるところから物語は始まる。
キャサリンは父親同様数学の才能を持っているけれど、
それだけではなく、うちにこもる傾向も受け継いでいる。
精神の均衡を崩してしまった気難しい父親を施設に入れず、
自分の家で好きなように過ごさせてあげたい。
そう思って、五年にわたって介護をし、父が亡くなる。

父の教え子であるハルがやってきて、なんだかんだで少し親しくなって。
父の死に伴い、葬儀とパーティ、NYで働く社交的な姉もやってくる。

そこからちょっと、すったもんだします。
父の残した大きな家は売って、一緒にNYで暮らしましょうと姉はいう。
キャサリンは精神的に不安定だから、心配だよと。
そばにはいなかったけれど、家のローンを払い続けたのは姉の労働からで、
父に寄り添い、みとった妹とは意見がずっと平行線。

ハルの探していた博士の研究も、大発見だったんだけど、
実はそれはキャサリンが解いたもので。
だけどそんなわけないじゃないって信じてもらえなくて。

キャサリンの苦悩は非常に深いんです。
彼女はひとつのことに深く没頭するタイプで、不器用で、不機嫌で、扱いにくい女性だから。

信じてもらえない、共感してもらえない、自分の考えを優先してもらえない。
君は不器用だから、精神的に安定していないから、生活力がないから、お父さんはもういないんだから……。

そういう包囲網があって、息苦しくて、だけどキャサリンは逆切れみたいに叫ぶしかできないんですよね。
人間って不完全なんだなあって、思います。
本当はみんな優しくてね、思いやって言ってるはずなんだけど。
ほんの少しのズレが全部悪い方向に出ちゃうこともあるよねって。

この映画はとても重苦しくて、見せ方もたぶん、わざと小難しくしているんだと思います。
これこそが、主人公と父親の世界なんだろうと思うんだよね。
他人からあまり理解してもらえない。すごいんだけど、ちょっとねって、敬遠される感じ。

楽しい映画かと言われると、NOなんだけど。
だけど、現実にいる「付き合いにくい人」の世界が少しわかるような気がするし
ほんのちょっと、時間を置いて待ってあげるだけで、
無言で黙って横にいてあげるだけで、解決するのかもしれないよ、って。
そんなヒントがもらえる話かもしれないなって思いました。

でも、余裕のある精神状態でみないとつらいかもしれないなー。
演技はみなさんピカいち。だから、その分重く感じる。

2016-02-26(Fri)

「ある神父の希望と絶望の7日間」

「ある神父の希望と絶望の7日間」

2014年、アイルランド/イギリス制作作品。

寒々しいアイルランドのある村にある教会に、懺悔にやってきた一人の男。
彼は幼い頃、司祭にレイプされ続けたと告白し、無関係なジェームズ神父を一週間後に殺すと予告して去っていく。
自分を傷つけた司祭は既に亡くなっており、彼ではなく、善良で罪のない司祭を殺すことに意味があるのだという。

その日から、次の日曜日まで。
さびれた村に暮らすジェームス神父の、息苦しい七日間の話です。

なぜかジャンルがコメディになっているけど、ブラックユーモアというには少し重い気が。

主人公のジェームズ神父は少し変わっていて、結婚の経験があり、娘もいる。
妻を病で亡くしてから神に仕える道を選び、神父になったという経緯らしい。
(カトリックの神父は結婚できない)

非常に重たい告白をされ、さらには殺害予告までされてしまってさすがに神父といえど動揺は隠せない。
懺悔室でされた告解は他人に漏らしてはならないものなので(それが犯罪行為の打ち明けだったとしてもダメ)、神父は悩む。
内容を少しぼかして他の司祭に相談したところ、そんなの懺悔じゃないじゃん、と警察へ相談したらどうかと言われてしまってさらに悩む。

このさびれた寒村はなぜか問題児が多いようで、夫以外の男と遊びまくる人妻とか、恋人ができないからと女性を殺しまくりたいと言い出す童貞などなど、へんてこな人が神父に絡みまくります。
この辺がたぶん、コメディになっている所以だろうし、神が軽んじられる時代になった、信仰が薄くなったなどなど、キリスト教という大きな地盤の揺らぎを表しているのだろうなあ。
神父は守秘義務があるし、どんな相手の話も聞くから、逆にへんてこな奴がいっぱい寄ってきて大変なのかもしれないとも思いましたが……。

唯一、旅行の途中で夫を失った女性だけがマトモでね。

最後は割と衝撃というか、救いのない展開で、たぶん邦題がセンスないんだと思いますが。
原題は「Calvary」で、ゴルゴダの丘、キリストが磔にされたことを意味する単語です。こっちはストンと心に落ちてくるけど、あんまりキリスト教と縁のない人が多い日本では通らないかな。仕方なくこのタイトルなのかもしれません。

思っていた以上に宗教色の強い、少し諦めの気配が濃い映画でした。
映像から漂ってくるうすら寒さは非常にいい感じだけど、元気は出ないかなw
物思いに耽りたい時には、いいかもしれません。

2016-02-25(Thu)

「サイモン・バーチ」「ワールド・オブ・ライズ」

「サイモン・バーチ」

1998年アメリカ作品。
ジム・キャリーが出てると思ってみたら、ジムの出番はほぼナシでした。

小さな小さな体で生まれた少年と、父のいないジョーの友情物語。
サイモンの病名は明かされませんが、生まれた時から体が小さく、
合併症も予想されるために長くは生きられないだろうと思われていた。
ところが元気にすくすくと、ほかの子供よりは小さく育ち、
外見も普通とはいかなかったため両親からは疎まれながら生きております。
一方、友人のジョーは私生児で、それが理由でいじめられている。
ジョーは母親は明るく朗らかな優しい女性で、ジョーとサイモンを優しく包み込み、愛情いっぱいに育てているのですが……。

ジョーのお母さんが突然なくなり、理由も理由なので二人の少年の心に大きく影を落とします。
サイモンは体は小さいものの非常に賢く、機転の利く少年で、悩み苦しむジョーの救いにならんと頑張り、最後はひとのため、自分よりも幼い者のために身を投げ出すっていう話なんですが。

血のつながりというのは、強いきずなでありながら、時には冷たい鎖にもなります。
思春期にさしかかれば猶更。
病気はとても不幸で、外見にも影響が出るとなればそれは一層重たい足かせになるんですけどね。
サイモンがその冷たくて重たいすべてをものともせずに生きていて、それがジョーにとって素晴らしい福音になる。そういう物語だったと思います。
本当の友情に出会えるのは、一生で一番素晴らしいことなんじゃないでしょうか。

サイモンがいてくれたから、最後のささやかな幸せがやってくるんだよね。
人は弱いし、とても強くもなれる。見せ方は結構ベタな作りですが、ストレートに教えてくれるいい映画だったと思いました。


ワールド・オブ・ライズ

リドリー・スコット監督、レオナルド・ディカプリオ主演作品。
鉄板のタッグっすね!2008年、ハリウッド作品です。原作は小説。
原題は「Body of Lies」で、直訳すると「嘘の量」になります。
たしかに嘘だらけのだましあいだったな……。

主人公はCIAの諜報員フェリスで、世界中を飛び回ってはテロ組織の諜報活動をしている。
イスラム系のテロ組織の首謀者を見つけ、彼らをせん滅させるために飛び回っているんだけど、
詳しく書くと文字数が大変なことになるので割愛。

諜報活動と文字でかけばたった四文字のことが、これ以上ないくらい過酷なんだよね。
現地にいって、情報を提供してくれる誰かを探し、信頼するに足るか見極め、協力を取り付け、相手に見つからないように潜り、戦う。
いかに高次元のバックアップがあったとしても、なかなかうまくいかないのです。
だから世界は平和にならない。

仕事先で出会った美しい看護師と、協力を取り付けた大物と、裏切ってくる後方支援のラッセル・クロウ。もう、太っちゃって!ってな感じ。
世界のあらゆる場所は、この映画のようにピンポイントで監視できちゃうんでしょうねえ。
いつ撃たれて命を落とすかわからない状況の現地捜査員に指示する上司が、子供の運動会に参加している真っ最中だったり。なんとも無常の漂う生臭さがありました。

最後はあやうく拷問されて死ぬとこだったけど。
だましだまされ、ギリなんとかなります。最後ほっとしちゃった。

テロ組織のでっちあげなど、本当にぎりぎりのところで戦っているんだなあとか、
平和な場所で映画楽しんでる自分がもうしわけなくなる一本でした。

リアルに想像すると、エンタメとしては楽しめなくなるね。こういうのは。そんな感じ。