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2017-01-04(Wed)

「トゥルー・ストーリー」「ドリームホーム 99%を操る男たち」

「トゥルー・ストーリー」

2015年の、アメリカの作品。
ジョナ・ヒルとジェームス・フランコってことで
ドあほな話かと思ってたら違ってたというか別の作品と勘違いしておりました。

ジョナ・ヒル演じる主人公のフィンケルはニューヨーク・タイムズの記者だったんだけど
内容をよりドラマチックにしたいという思いからか、記事を捏造してしまう。
それはすぐにバレて失職。
なんとか復活しようとネタを探していると、
自分の名を語ったという殺人犯の話が舞い込んでくる。

妻と三人の子供たちを殺したというロンゴと接見し、
心を通わせていくフィンケル。
自分たちは似ている、真に通じあえている。
無実を信じ、彼の物語を書き上げよう……なんて思っていたら
ロンゴの話はなにが真実でなにがウソなのかわからなくなっていって、

という話。

あけましておめでとう映画にしては重たかったなーって印象。
邦画だったら「凶悪」、洋画だったら「カポーティ」を彷彿とさせる作品でした。
詳しく話を聞いて、自分だけに打ち明けてくれているんだと感じたり、
すべてを世間に公表しなければ、それができるのは自分だけなんだと
特別な使命感に駆られていくうちに精神的に危うくなる、
っていうのは万国共通の話なのかもしれません。

共感というのは人間に必要な力かもしれませんが、
自分に起きた出来事だってなにもかもが真実なのかどうかわからないくらいなのにね、
他人の話が全部本当だなんて、というかそもそも、
すべての事象に正解があるかどうかなんてわかりゃしないのがこの世界ですから
思い入れが強くなればなるほどバランスは崩れていって
とてもあてにできないものになってしまうのだなあなんて思いましたよ。

だけど、なんとか記者として蘇りたいフィンケルは
その気持ちを利用され、翻弄されてしまいます。
そんな考え方をする男なんだと記事から見抜かれちゃっていたのかも。
悪意を持て余した男の、気まぐれな遊び。
そんな人間がこの世にいるんだっていう、恐ろしい話でした。実話だし。

その後記事を書けなくなったというのは、カポーティとおなじ。
信頼できなくなったんだろうなあって思います。
言葉も会話も、自分の思いが直接、間違いなく伝わることはありません。
受け取り手によってすべて違う。
その場で消えてしまう声は、訂正がきかないし、
その後まで残り続けてしまう文字は、なかったことにはできないし。

伝えるって勇気のいる仕事だよね……。と、しみじみしました。


あとは、書き忘れていたけど「ドリームホーム 99%を操る男たち」も見ました。

こちらはアメリカの住宅事情、特にリーマン・ショック後に起きた
住宅ローンを支払えずに家を差し押さえられた人たち続出現象について。
とてもシビアな追い出され方をされるという悲劇と
本当にお金を持っている一部の人たちだけが甘い汁を吸っていたんだよ
っていうとても厳しい現実を描いたサスペンスでした。

会社をクビになった時なんかもすんごいシビアな印象のアメリカですが
(外資の会社なら日本国内でも大変そうなんだけど)
家を追い出されるときはもっと厳しい。警官が来て追い出されちゃうし。
日本って優しいのな……って思いました(本当に図々しい人相手にはやきもきしますけど)。

結局この世は金と知恵……みたいな無常観漂う映画。
アメリカの経済、ローン、住宅事情も知っていればもっとこの無常を味わえるかも。

次はそろそろ「オデッセイ」みようかな!
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2016-12-29(Thu)

「二重逃亡」

「二重逃亡」

2016年アメリカ映画。
原題は「Term Life」で、主人公は犯罪計画を作って売っているというニック。
裁判所に保管されている多額の現金を奪うプランを売り渡してみると、
計画はうまくいったのに逃亡先で実行犯たちが殺されてしまう。
それが実は麻薬王の息子で、ニックに殺されたと勘違いされて逃亡スタート。
ところが敵は一人じゃないんです。
離婚した元妻に育てられていた一人娘のケイトを連れて、
親子でぶつかりあいながらの逃亡劇が始まる……!というお話。

まずはニックが「犯罪計画プランナー」っていうのがなかなか面白い。
実行には移さないけど、完璧なプランを作って売るという。
侵入ルートから使う道具まで全部セットで売ってくれるのでなかなか親切。

ニックが頼れるのは仲間のおっちゃんただ一人。
彼を追うのはクレイジー麻薬王と、超ブラックな悪徳警官なんです。
しかも組織でやってくるので非常に性質が悪い。
警察が堂々と悪事に手を染めて敵として立ちはだかるってかなりの悪夢だね。

とはいえニックは非常に観察眼の鋭い男で、的確に立ち回って難を逃れていきます。
最初はサイアクだった親子仲もじわじわと改善していき、
裏社会で生きるためのヒントを教えているうちにケイトも父を助けようと頑張りだすっていう。


全体的に緊張感があってなかなか面白かったです。ちょっと地味だけど。


あとは、ちょっと古いけど「ディスクロージャー」を見ました。
マイケル・ダグラス主演、元カノのデミ・ムーアが上司としてやってきて
セクハラをかまされるも、逆に「あいつにレイプされた!」って大騒ぎされる悪夢のような話。

男性から女性、だけではないはずなんだけど、
どうしても体のつくりが違いますゆえ、
女性から男性へのセクハラっていうのは難しいもんだなあと思います。
ましてや元カノの若い美女ときたら、事態はますます厄介だよね。
奥様にすべてを聞かれる事情聴取も針のむしろ感がすさまじく、
(ちょっとだけ応じちゃったりしてるもんだから余計に)
いやはや、女性の悪いところだけを抽出したかのような元カノ上司に
すっかりブルーになってしまいました。

でも、女性の敵のような扱いになった主人公を救ったのもやっぱり女性でして。
男女の平等ってむつかしい問題だよなあって思います。
これまでの歴史の積み重ねもあるしね。
お互いによく認め合い、努力しあえる仲になれるといいなーってしみじみ考えましたとさ。

2016-12-28(Wed)

POP TO THE WORLD

去年に引き続き、さかいゆうさんのライブに行ってきました。
いやーやっぱりいいよね。上手なんだもん。
去年も12月に同じ中野サンプラザで、この時はじめてライブに行ったけど
去年よりもずっと前の方で、姿もばっちり見られました。良かった。
これでライブは3回目。冬、夏、冬。
ライブハウスなんかだとなかなか行けないので大きいホールでだけ。


去年はシングルで出した「ジャスミン」をツアーのタイトルにしていて、
今回も最新がまたシングルで、再燃SHOWですが、
これがいい曲でねー。燃え尽きかけた中年にはふさわしい曲です。
一緒に収録されいている「But It's OK」もとてもいい。
この2曲のお陰で最近元気です。

彼のことを勝手にゆうちゃんと呼んでいるんですけど、
ゆうちゃんの曲はとにかく全然飽きないし、耳が気持ちいい。
何度聞いても沁みるし、邪魔にならない。
ポップスなのかR&Bなのか、本人も仰っておりましたが
ジャンルがなんなのかよくわからない、説明し辛いメロディなんだけど、
聞いているだけで「歌えるっていいな」「ピアノできるっていいな」
「真面目にこなしていくのって大事だな」「何歳からでもやればいいんだな」と
とにかく前向きになれるという素晴らしい仕様。

これまでいろんな歌手を好きになりましたし、いろんな歌を好きになってきました。
その時の年齢とか、精神状態で惹かれるものも変わりますよね。
もっと若かったら、私にゆうちゃんの歌は響いただろうか?と思います。
だけど今、ちょっとくたびれてきた私に一番ぴったり寄り添えるのは
ただ一人だけ、さかいゆうなんじゃないかなって感じています。
そういう存在に気が付けたことは、とても素敵だなとも思いますね。


今回のライブでは最近やたらと気に入っている「井の頭公園」も聞けてとても幸せ。
年末の大きな予定はこれでおしまいで、とてもいい一年の終わりだなと思います。

2016-12-15(Thu)

「オーケストラ!」

「オーケストラ!」

2009年フランスの映画。

もともとはボリショイ交響楽団の指揮者であったアンドレイ。
30年前にあった政治的な問題がもとでその座を追われ、
今では楽団の清掃員として働いている。
彼だけではなく、方針に従わなかった団員はみな奏者ではない
雑用なんかをしながら、それでも音楽に焦がれながら暮らしているというシーンからスタート。

フランスのある劇場から、演奏の依頼のFAXを勝手に受け取り、
かつての仲間たちとボリショイ交響楽団として演奏しに行こう……

そういうコメディなのかなーなんて思っておりましたが
実際にはもっと強いメッセージ性のある映画でしたね。
ヨーロッパの周辺国が抱えている事情、地続きで国がつながっているというのは
なかなか面倒だったりするんだろうなあって思わされます。

アンドレイはフランスのバイオリニスト、アンヌ=マリーを指名し、
オーケストラと一緒に演奏したいとお願いします。
へんてこな楽団と、アンドレイの語ったチャイコフスキーへの異常なまでの思い、
彼の抱えた重たい過去などにちょっと引かれちゃうんですけども、
彼女はアンドレイたちの大切な仲間の娘で、どうしても一緒に演奏したいんです。

アンヌ=マリーの両親への思いを利用する形で、演奏当日を迎えます。

オーケストラの仲間たちはみんな腐った生活をしていて、最初はグダグダ。
ちゃんと集まるかどうか不安だったものの、
アンヌ=マリーの中にかつての仲間の姿を見出して、
演奏が始まって心を一つに重ねます。

やっぱり役者さんがやっているので、レビューなんかみると
動きがダメとかなってないとか、こうるさい意見が散見されますけども、
そういうところには目を瞑ってみるととても素敵な映画だと思います。本当に。

アンヌ=マリーの演奏が始まった瞬間、
楽団を追われた人たちの心に灯がともって、
本当に音楽を愛していて、ずっと忘れられずに生きてきたんだと、
もう失われてしまった大切な仲間への思いが背中を強く押してきて
すべての音が重なって美しいメロディを作っていくんだと。
音楽がどうしてこの世界にあるのか、ほんの少しだけわかるような気がしました。

人間を動かすのは、やっぱり理屈とか物質じゃないんだろうななんて
ヴァイオリン交響曲の演奏の中で少しだけ見せられる彼らの未来に安堵しながら
考えてしまいました。あんま細かいこと言わない人にはぜひおすすめしたい一本です。

コメディはあんまり合わないけど、フランス映画はいいですね。
あまり感情的にならないというか、冷静な視線で淡々と、
文学的な見せ方をしてくれるのがいいと思います。

2016-12-08(Thu)

最近見た映画のメモ

ポケモン・サンをとりあえずチャンピオンになるところまでプレイ。
島を隅々までめぐるにはまだレベルが足りなさそうであり、
今は図鑑を埋める作業ばっかりしてます。
メレメレ図鑑だけは100%になりました。

プレイしていたら色違いのゴルバットが出てきて、
そいつをクロバットにしたら次の守り神に会いに行こうかな。

今年中に予定されていた大きな用事はあらかた済んだものの
来年度に必要なあれこれがいっぱいあってどうにもこうにも
やっぱり師走は忙しいわい……ってな心持ちの中
映画をながら見したりしてます。

最近見た映画は

ブラック・スキャンダル」 2015年アメリカ。
ジョニー・デップがハゲちらかしてたやつですね。
ベネディクト・カンバーバッチの顔、やっぱり苦手だなって見ながら思いました。

コップ・カー」 2015年アメリカ。
ケヴィン・ベーコン主演。置き去りのパトカーを子供がいたずらで乗り回してたら
すんごい悪い警官のでもう大変!ってお話。
悪い警官役ちょう似合っててハラハラしちゃった。
パトカーならではの構造のせいで後部座席から出られないとかいろいろハラハラ。
狭いところで銃を撃っては危ない。そんなことも学べる映画。


ソロモンの偽証」 2015年 日本。
前後編続けてみました。宮部みゆき原作の、とある男子中学生の転落死から始まる物語。
警察・学校からは「自殺」と言われても納得がいかず、中学生たちは校内で裁判をします。
なるほど中学生ならではだな……という内容でした。途中ハラハラしすぎると
最後に肩透かしをくらってしまうかもしれません。
事件そのものの解明ではなくて、事件が起きてざわざわする胸のうちや、それまでの経緯、
起きてはならなかった不幸な事故について彼らがどうやって
決着をつけていくか、というのが焦点だったと思いました。
自然なものではない死って、突きつけられるとつらいよね……としみじみ。


「ユニット7 麻薬取締第七班」 2011年 スペイン。
1980年代のスペインの警察、麻薬取締班の活躍を描いた映画。
最近すごく気になるスペイン映画でしたが、
いや、やっぱりこの国のことをちゃんと知らないなあって思い知った感じ。
闘牛、フラメンコくらいしか知らなかったんだなあって。
麻薬が蔓延し、どれだけ頑張っても刑事の仕事が報われない。
時には過剰な暴力で対抗しなきゃいけないほどの修羅の世界で
麻薬取締官たちが頑張る姿を描いている。
物語に山があってオチがあって、ということではなく、
リアルにこういう時代があって、こういう活躍をした人たちがいたのですよ、
っていう話なんだと思います。
日本でもですけど、深く深く犯罪を追う仕事をする人たちってすごいよね。
普通の家庭生活との両立って難しいんだと思います。
だけど胸のうちの正義の炎に突き動かされて、戦ってくれてんだろなって……。


ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」 2014年 アメリカ。
ダスティン・ホフマンも出ている、少年合唱団が舞台の映画。
アル中の母ちゃんと暮らす12歳の少年ステットは正直荒れてて、
学校でも問題ばっかり。だけど彼にはとてもいいところがあって、歌がうまいんです。
校長先生は彼の未来を思いやり、とある合唱団を学校に招いて
入団のための試験を受けさせようとするも逃亡……。
ところがステットの母が事故で亡くなり、父親は別の家庭があるからとステットを
お金の力で全寮制の学校にねじこむのです。

少年たちがソプラノの声で歌えるのは本当に一時期だけのことで、
変声期がくれば違う未来を考えなければならない。
短い合唱団暮らしの中では、男の子同士であっても嫉妬や諍いがあって
あーだこーだともめちゃったりします。
厳しい指導者に鍛えられ、歌の力に気が付き、努力することを学び、
ステットは自分に唯一あった歌の力で最後には家族も手に入れるという
なんとなく日本人好みの映画だな、なんて思いました。


ダメ男に復讐する方法」 2014年 アメリカ。
キャメロン・ディアス主演のラブコメなのかな違うかな。
イケイケの弁護士であるカーリーが最近付き合っているのはマーク・キング。
ずっと独身を貫いてきたけれど、彼とならいいかも……
なんて思っていたらなんと既婚者だったことが判明。
彼の妻に職場を突き止められ、特攻されて、相手をしているうちにちょっとずつ意気投合。
二人であの浮気男をとっちめてやろうぜ、やっぱりやめようか……と揺れているうちに
更にもう一人、ぴっちぴちの爆乳ガールとも浮気していて!

この3人で浮気男に復讐キメる話なんですが、
不誠実な男性にとってこれが一番キツイ展開だろうなって思いました。
妻のケイトはなんかちょっとエキセントリックでヘンテコな女性なんですけどね。
ピュアだし人が良くて、くじけそうになるんですよ。
それを爆乳ガールとキャメロン・ディアスで支えて最後に天誅を食らわせるという
とっても痛快な映画でした。キャメロン・ディアスかわいいね。


こんなところかな。