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2017-02-02(Thu)

「ドーンオブザデッド」「ギャラクシー・クエスト」

ハリウッド映画を2本。

「ドーンオブザデッド」
2004年の作品。ハイスピードゾンビサバイバル映画。
もともとは1970年代につくられた「ゾンビ」のリメイクということですが
ゾンビパワーアップしすぎでしょ、ってところでしょうか。

ある日唐突に現れたゾンビに襲われて、
人々はあっという間に死に絶えていく世界。
運よく生き残った人たちがショッピングモールに立てこもり、
そこからちょっとずつ、希望と絶望を得ていく物語。
ゾンビがとにかく足が速いんですよ。
生きた人間に気が付いたらソッコーで全員集合して追ってくる。
ゾンビが出現してすぐの頃にはまだテレビの放送があって
そこに映った保安官の発言はかなりソリッド。
普通に頭を撃ってぶち殺すしかない、あとは焼いてしまえ、みたいな。

モールに集った生き残りたちは途中でゾンビになる原因を特定します。
噛まれてしまってはダメなんだと。
せっかく生き残った人々も少しずつ減っていき、
待望の赤ちゃんが生まれようとしている夫婦も、
せっかく逃げ延びたと思っていた父親と娘も、容赦ない別れを強いられていきます。

モールの中で安全を確保したあとの享楽的な過ごし方とか、
もしもこんな世界で生きることになったのなら……という
人間の描き方はとてもリアルだったなあと思います。

モールから離れたところで一人たてこもっていた武器屋のアンディ救出作戦から
物語は一気にクライマックスへ進んでいき、
なんとか新天地を目指そうとしていた人々は
仲間を失いながらも船に乗り航海へ……。

でも行きついた先も結局は地獄でした、という救いのなさすぎる終わり。
悲しいよねー。あれがアメリカだけでのことでしたー!
とかならまだいいんでしょうが。
とにかくゾンビがパワフルでして、
倒し方も超パワフルなので見ててイヤッホーな部分もありましたが
あんな世界の到来はいやだなあと心底思いました。




「ギャラクシー・クエスト」
こちらは1999年の作品。

20年ほど前に放送されていたSFドラマ「ギャラクシー・クエスト」。
そのキャストがSF大会でファンにもみくちゃにされているところから物語はスタート。
演じていた役者たちは今はそんなに仕事もなくて、
熱烈なファンたちと比べてとってもクールで落ち込んでいる。
お互いの仕事量やファンの数など、嫉妬したり見下したり。
とはいえ、結局は売れない役者でしかない彼らは空虚な日々を過ごしているんだけど
この日はファンの中になんだかちょっと妙な集団が混じっていた。

彼らは正真正銘の宇宙人で、「ギャラクシー・クエスト」を
勇敢に宇宙を旅したクルーたちの物語として、お手本として見ていたという設定。
サーミアンという名の彼らは悪徳宇宙人サリスに困っており、
クルーを招いて導いてほしいと願う。
そこからうっかり、宇宙をまたにかけた旅が始まってしまうのであった……。

という話で、これはとっても面白かった。
今のCGで作り直してほしいなってくらい楽しかったw
最初のSF大会の様子とか、こういうの日本でも特撮会とかであるんだろうなあと。
役の中でいやいや言っていたセリフも、
真剣なサーミアンたちの姿に打たれて本物に変わっていく。
そういうアツイ部分もあって、いや、名作でした。

ひさびさに軽やかな楽しい映画を見たかもしれません。
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2017-01-17(Tue)

「SPY TIME」

「SPY TIME」

2015年スペインの映画。
最近私の中で急上昇中のクレイジー株、スペイン産の映画です。
「スガラムルディの魔女」でも思いましたけど、
スペインも笑いのセンスが独特よな、って。
イタリアともフランスとも違う、なんとも言えない無常感。

荒涼とした岩山を行くタキシード姿の男。
彼は「失敗しない」スパイ・アナクレトで、
囚人の移送をしようとしているところ。
ところが計画は漏れており、車はバズーカで破壊され、移送は大失敗。
それどころか「お前の息子ボッコボコにしてやっかんな」と宣言され、
アナクレトは大慌て。
彼の息子、アドルフォはすごく普通の社会人で、
ちょうど彼女にフラれてしまったところ。
なんとかヨリを戻そうとしていたら、突然ヘンテコな武術使いみたいなやつが襲ってきて……。

というコメディ映画。
アクションは若干緩めかな?
アナクレトはバリバリのスパイであるのに対し、息子はぼんくら……
かと思いきや、日々の遊びの中でめっちゃ鍛えてましたから
みたいな感じで才能が開花していき、
最後は親子二人でラスボスに立ち向かうという。

フランス映画を見ていても思いますが、
親子間でのセクシャルな話題の許容量がいまいちわかりません。
わからないので、笑いどころなのかどうかがつかめないっていうね。

そしてこれはとてもわかりやすいコテコテのコメディなのに
たまにすんごいゴア表現差し込んでくるので油断が出来ないっていう。

もうちょっとアクションがキレてたらよかったかなあ。
父ちゃんの飄々とした雰囲気はいい感じで、
ハリウッドでリメイクすると失われちゃう部分かと思うので
全体的にスピード感が出ればもっともっと楽しかったかなって。

スペイン特有の地獄感が背後にちらほらと垣間見えたので
そういう意味ではとても満足です。

2017-01-17(Tue)

「ハッピーエンドの選び方」

ハッピーエンドの選び方

2015年イスラエルの映画。

いやー公式サイトの明るい作りは一体なんなんだろう。
煽り文句もだけど、こういう映画ではありません。
正直言って、デッドマン・ウォーキング以来の重たさですよ。
邦題も詐欺レベルかと思います。
確かに、自分の死に方くらい自分で選びたいと思うのは自然なことですし
それが老年、長く生きたあとならなおさら。
もう完治したところで元気に生きていけるはずがない、
認知症になるかもしれないという恐怖が迫りくる、
友人たちが少しずつ違うひとになっていく姿を目の当たりにする、
などなど、長く生きた後に起きる出来事は一種のホラーみたいなもので、
いわゆる「尊厳死」を望むのは当たり前の心理だと思うんです。

これはそういう映画なんです。
年老いた友人が願うことはただひとつ。
自分が壊れてしまう前に、機械に繋がれてただ生かされている状況になる前に
幸せを抱いたまま死にたい。
それを、主人公は叶えてしまい、それが周囲に知れ渡って、
主人公たちは何人もの友人を天国へ帰していくんですが、
それが自分の妻相手となると……
そして仲間の一人が実は金をとっていたと判明し……

とまあ、人間の悲しみ、葛藤、苦しみが存分に詰め込まれた映画なんです。
本当に若い人は見ない方がいいし、
年老いた人にも見せたくはない。
見るべきは、30~50代くらいの、まだ終わりには少し遠いくらいの人かな。

老いの訪れとはこういうものだとここまで容赦なく描くかなあと。
イスラエルの言葉はあまり聞いたことのない響きですし、
映像の色合いもひたすらに暗いです。
だからポスター、公式サイトの明るさがものすごくむなしく見えるという。

残される側からすれば、なんにしても自殺なわけですから、
もう少し一緒にいたかったと思われている場合は
すごくつらい展開だなあと思ったり。
しかし病を患っていたり、痛みがあったりする人には
生き続けることそのものが辛いわけでして、
人間とはなぜこんな仕組みの中で生きているのだろうか
なんて考えてしまう映画です。

安楽死、尊厳死というものはあっていい、って思っていたんですけどね。
無駄な延命なんていらない、と考える人は増えていると思うんですけど、
それでも最後、娘へのメッセージビデオを撮影しているシーンを見て、
残される側の辛さも相当だなって感じてしまって……。

こう考えられるのは、とてもリアルな物語だったからでしょう。
こんな作品に出演された俳優さんたち、すごいです。ほんと。
胸に刺さる映画でした。

2017-01-11(Wed)

「オデッセイ」

オデッセイ
2015年、ハリウッド映画。

とうとう見ましたよ、映画館に行きたかったけど行けなかった火星残酷物語!
リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演。
ここんとこみていなかった超メジャー級エンタテイメント作品でした。

主人公のマーク・ワトニーは植物学者で、
火星の調査チームの一員をしてただいま火星で作業中。
ところが作業中に大きな嵐が来てしまい、
マークは一人吹っ飛ばされてしまう。
宇宙服が破損したとアナウンスが流れ、
視界が奪われた他のクルーたちはやむなくマーク捜索を断念。
計画を途中で中断させ、地球へと戻っていきます。

ところがマークの宇宙服は穴が開いていたものの、
破片がうまいこと刺さった上、血で塞がっていた。
ということで、生きていたんですがそこはたった一人、
宇宙服がなければ息もできないし、夜が来ればバリバリ氷点下になる環境。
食料は6人分あるけれど、順調に次の探査船が来るまではとても持たない。

まずは自分の傷をなんとか治療して、おっしゃおっしゃと気合を入れるマーク。
植物学者なめんなよ、ってな感じで、4年間を生き抜くための日々を始めるのです。


見てなによりも思ったのは、知性というものの大切さですね。
宇宙の厳しさというのは「グラヴィティ」でめちゃめちゃ見せつけられたんですけど、
それでも生き抜けたのはマークの知識のたまものです。
ずーっと昔に送られた探査機を掘り起こして再利用し、
ありとあらゆる修理をやってのけ、イモの栽培をこなしていく。
隊長の残していった音楽と一緒に生き抜いていく姿は素晴らしいの一言。
そして、ほんのかすかな痕跡から、マークの生存を確認しコンタクトをとったNASA。
火星という世界の果てで使えるものをフルに利用して、
コミュニケーションをとるっていうのがものすごくロマン。
最後までハラハラ、彼は無事に生きて戻れるのか……と楽しく見ましたよ。


ただ、引っかかるのはあの絶対的な孤独に対して、
たまにちょっとキレるだけですんじゃうマークのあまりのタフさが正直
リアルじゃないなってとこですかね。
あの環境で正常な精神保てるとかどういうことだよ……って。
グラヴィティのサンドラ・ブロックは宇宙船爆発→地球への帰還だけで
相当追い詰められてましたけど(当たり前なんだけどさ)
マークすごすぎない?ってなりました。
エンタメ映画なんだからそんなこと言わなくていいんだけど、
そういう点も含めて、ザ・アメリカって感じの映画だなと思いました(悪い意味ではなくて)。

あと、思い出したのは手塚治虫の「火の鳥」ですね。
宇宙を舞台にした作品が多くて、コールドスリープとか、惑星探索とか、
ああいう物語が無理のない実写で見られるんだなってしみじみ思いました。
CGすごいなあって単純に、楽しめる作品なんじゃないですかね。

*グラヴィティは邦題が「ゼロ・グラヴィティ」だったんですけど
 映画の内容的にむしろ原題そのまま「グラヴィティ」にしなきゃダメだろ
 って強く憤ったので「グラヴィティ」と表記してます。
 3Dで見ると最強の映画でした。

2017-01-08(Sun)

恋のはじまりはレモン色

ビッグコミックスピリッツを愛読してきてずいぶん長いのですが
これまでにあったイカした連載漫画の中でも相当上位にきていた
原克玄先生の連載が終わってしまいました!(結構前に)

みんな生きてるから始まって、るみちゃんの事象、恋鰹、
スピリッツに掲載されている短編、不条理ギャグ系は
結構粒揃いだと思うんですけど(くまプーとか江戸むらさきあたりから)
原先生のは本当に素晴らしい破壊力、常識のなさ、
ラインの引き方が天才的だったのではと思っています。
下ネタもほんと、どーしよーもねえなあ!って笑える範囲でして。

で、恋鰹の最終巻もそろそろ出ているだろうかと思ったら
出てましたー。新しいやつ。それが「恋のはじまりはレモン色」。

これまでにヤバイキャラクターは山ほどいましたが、
イケメンが、っていうのはなかったよねということで、新境地。

男子高校生が本格的にヤバイとこうなるんだって、
割とリアルにつきつめたのかなあと思います。
残念イケメンどころの話ではなく、
神谷君についていくかえでちゃんは本当に素晴らしい。
つっこみながらもついつい愛してしまうっていう。

つくづく、笑いは才能だと思います。
原先生は神に愛されてますよね。
で、あの絵柄ですけど、たぶんイケメンなんじゃないかと勝手に思っています。

るみちゃんの事象、るみちゃんの恋鰹、
みんな生きてる、かばやし、ブラザー 全部おすすめです。
個人的には「みんな生きてる」を推したいけど、
るみちゃんの事象でたまに出てくるスポーツ解説の二人組も最高。

原先生のAmazon作者ページはこちらです。愛してる。