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2017-05-13(Sat)

「グッド・ネイバー」

「グッド・ネイバー」

2016年の作品。
事の顛末、監視カメラ映像、法廷の3か所で物語が進んでいく作り。
主人公はイーサンとショーン、2人の高校生。
かつて行われたある実験を下敷きに、自分たちもとある試みをしているところです。

向かいの家に住んでいる偏屈ジジイにイタズラを仕掛け
その様子を6週間観察し続ける。
ポルターガイストのような現象を起こし続けていって、
幽霊を信じるようになるかどうか……試したいのです。

向かいに住む頑固じいさんは通行人を口汚く罵ったりするし、
妻を毒殺したなんて噂もある人物。
なので少々のお仕置きくらいいいじゃない?
ってノリで、まずは留守中に家中に監視カメラを仕掛ける。
監視はところどころに穴があるものの、じいさんの日常は丸裸に。

ところが、ドアを荒々しく開閉しても、
暖房が勝手に切れて家の中が寒くなっても、
窓がいきなり割れても、じいさんはなんだか平常心のまま。

監視を続ける二人は、じいさんがたびたび入り浸る地下室が気になってくるのですが、
そこまで入り込むのは不可能で……。


というお話。

最初に二人の口から説明されるとある実験に関する見解、
「人は見たいものを見る」
これそのまんまのお話でした。

仕掛ける側の二人組のうち、イーサンは爺さんにちょっとした恨みがあるんです。
それが物語が進むうちに明かされていく。
私怨があっての実験だったとわかって、ショーンは怒り、打ち切ろうとするも
イーサンはどうしても「自分の見たい現実」を捨てられず、
思い切った行動に出てしまって、
途中でわかりますが、最終的には死者が出る、という悲しい結末を迎えます。
それが一体誰なのか。最後にわかって、しかも理由がハッキリとして
なんてこった……!
ってなって終わり。

ものすごく皮肉な展開なんですよね。
幽霊を信じさせようなんて、ちゃんちゃらおかしい目的だったね、とか
最悪の結末ではあったけれど、爺さんにとってはひょっとしたらよかったのかも……とか、

でもとにかく、個人の勝手な思い込み、勝手な印象で他人を判断してはならないよ
って話なんだと思います。はい。
どんなに明るくても心に暗いものを抱えていたり、
どんなに陰気でも、いざという時にはとても頼りになる賢者だったりなんて
たくさんある話なんですもんね。

人は見たいものを見る

思い込みこそが現実の一番の敵なのかもしれません。




あとは「ソムニア 悪夢の少年」と「ディアボロス/悪魔の扉」を細切れで。
「ソムニア」はルームで名演技を披露していた少年が
夢みたものを現実のものにしてしまう力を持っているものの、
彼のママを食べてしまった悪霊「キャンカーマン」まで呼び寄せてしまうというもの。
キャンカーマンは結構おっかない風貌なんですけど、
その正体や現れた理由は結構悲しいもので
ホラーなんだけど静かでドリーミィな感じでした。

「ディアボロス」はまたキアヌ主演で、敏腕弁護士役。
無敗のままやり手街道を突っ走るために、明らかに悪い依頼人を守るため
セクハラされた女学生にかなりの嫌がらせをかましてしまう。
そんな彼を超一流の弁護士事務所がスカウトして、
お金ザックザクの超リッチ生活が始まったものの
妻は精神に異常をきたすし、
所長が実はお父さんだったり、正体が悪魔だったりでもう大変。

アル・パチーノが悪魔、っていうのはものすごくハマってて
なるほど感が素晴らしかった。
正義の道を行きたかったはずの若きやり手弁護士役がキアヌにもあってて
でもそれよりなにより奥さん役のシャーリーズ・セロンがかわいいのなんの。
あんなかわいい美女に甘えられるのサイコーじゃないのって思った分
彼女のたどる運命がかわいそうでならないっていう。

シャーリーズ・セロン最強伝説がまた1ページ刻まれたなあって思いました。
全体的には、ちょっと長かったかなあって感じ。

どれもなかなか良かったです。
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2017-05-09(Tue)

「スラムドッグ$ミリオネア」

「スラムドッグ$ミリオネア」

2008年のイギリス映画。
アカデミー賞をいくつかとっていたなあ、って印象しかないまま見たら
ものすごくドラマチックな作品でした。

舞台はインド。主人公はムンバイで育った青年のジャマール。
彼はインド版の「クイズミリオネア」に出場し、
最後の一問まで正解し続けたところで警察に捕まってしまった……
というところからスタート。

なぜクイズ番組に出場したのか、
学のない貧しい育ちの彼がどうしてクイズに正解し続けたのか?
最初に出される四択の答えが
見ているうちにだんだんわかっていく
とても面白い作りだったと思います。


ジャマールの人生はハッピーとは縁遠いもので、
母を失い、兄に裏切られ、恋する少女も同じような不幸にからめとられてしまった
波乱に満ちたものでした。

だけど、大切な少女であるところのラティカを一途に思い、
力強く生き抜いていくうちに、
それまでにたどってきた運命の糸が力強い縄になって
彼の人生を空へ引き上げる力になった……

みたいな感じなのかなあ。
クイズが進んでいくたびに、ジャマールは人生を振り返っていきます。
あの日、あの時に起きた、あの出来事。
辛いことばかりだけれど、乗り越え、耐え抜いたジャマールには
大切な経験、知識になって助けになるわけです。

インドと日本じゃ全然違いますけどね、いろんなことが。
だけどやっぱり、つらいとか、苦しい経験も
人間を育てる大事な糧だよなあって思います。

最後はとても幸せでお茶目な終わり方で
顔がふわーっと笑ってしまいました。
いやー、いい映画だった。

ただ、ミリオネアのシステムを知らないと楽しめないかも。
日本での放送もずいぶん前に終わっちゃったので
ご存じない方は仕組みくらいは調べてから見るのがよさそう。

2017-05-06(Sat)

「スウィート17モンスター」

スウィート17モンスター

現在公開中の作品。新聞で紹介されていて、こりゃ見なくては!と
病院へ面会へ行った帰りに映画館へ。
新宿のシネマカリテ、初めて行ったんですけども
朝のうちにもう夕方までの上映が売り切れちゃってて。
少し遅い時間のチケットを予約していきました。
武蔵野館と同じ小さな劇場で、スクリーンも小さい。
なんというか、濃い映画好きが集ってる感じがあって面白かったです。


主人公は17歳の高校生ネイディーン。
イケてなくて周りにちっとも溶け込めないイタタな女子高生には
イケてる兄貴が一人と、生涯で唯一の友人クリスタがいる。
その辺の適当な高校生なんかクソ食らえスタイルのネイディーンなんだけど
ママが留守の間にクリスタと盛り上がっていると
兄貴も友達を連れてきてパーティを開始。
ふてくされ、酔いつぶれてトイレで寝ていたら
その間にいつの間にか兄貴と親友ができあがっていて……。

というお話。
唯一無二の親友が、にくたらしい兄貴によってリア充の世界の住人になっていき、
寂しいわ悔しいわ腹立たしいわで怒り心頭のネイディーン。

だったらアタシだって、アタシだって……!
って思ったけど、全部が全部空回りしちゃう、という
暗黒青春アイタタムービーでした。

ほんの少しだけね、まあいいか、って思えたら
ネイディーンの世界はだいぶ快適になるはずなんですよ。
だけどそこで「うん!」って言えないのがヒネクレ者のつらいところで。
っていうのがものすごくわかるわかる、ああ、超わかるってなって
正直もう突き刺さって痛くて、その上で本当にこの主人公かわいい!
ってなる映画でした。本当に、ただいま人生の暗黒部分を全力疾走中で、
全然半端なところもなくて、やりきった感のある素晴らしい一本。

ネイディーンは足も長いし本当はかわいいんだけど、
世界に迎合すんのが嫌なんだよね。
そういう、妙なプライドが生まれつき備わったタイプで、
いろいろと心当たりがある自分にはものすごくストライクで
今の年齢だから楽しいとかかわいいと思える映画よなあってしみじみ。
もうちょっと若かったら直視できなかっただろうと思います。

学校の先生役のハレルソンがものすごくいい味を出していて、
ハマってましたね。
クリスタはちょっと17歳にしては完成度が高すぎるというか
声の落ち着きっぷりが40代くらいに思えて
それがまたネイディーンを包むのにちょうどよかったのかなあとか。

にしても、あのあと変な噂とか流されなかっただろうか
ちょっと心配になってしまう。がんばれよ、ネイディーン。

とにもかくにもいとおしい映画でした。

2017-05-01(Mon)

通院生活

身内が手術を受けて入院しているので、付き添いで泊まり込んだり通院したりしております。
持病があって、それでちょいちょい病院のお世話にはなっていたんですが、
手術はいつものところでは受けられず、引き受けてくれるところを探すのにまず一苦労。
無事いいところが見つかったのはいいけれど、家からはちょっと遠いんですな。

最初の一週間は付き添いで泊まり込みだったので、
PCを持ち込んでなにか書いていこう、と思ってたんです。
そのためにわざわざPCを替えたというのに!
持ち運びやすいだろうとsurfaceに変えたっていうのに、
いざ入院生活が始まったら結構忙しくって触るヒマがなく、
結局開く時間は一秒たりともなかったという……。
単純に1キロくらい荷物を重くしただけで、
ようやく付き添い入院は終わったものの、
あれやこれや決めたり洗い物を運んだりしなきゃいけなくて
結局バタバタしっぱなし。PCはあけてもメールみるだけくらいしかできなくて
移動時間もボヤーっとするばかりで自分のことはなにひとつできてない今日この頃です。

家にいてできるのも家事くらいしかなくて、
洗濯物を畳んだり、アイロンをかけている間だけが自由時間。
そんな中映画を何本か見たのでオマケに小さく感想をメモしておく。



「スピード」

キアヌ・リーブス主演の有名なやつ。
なんか流行ったわなーってことくらいしか印象になくて申し訳なくなるくらい面白かった。
一定以上のスピードを出すとスイッチが入り、一定のスピード以下に落とすと
爆発する爆弾を仕掛けられたバスをどーにかするぜ、というお話。
シュっとしたキアヌがかっこよかった。
ついでに結構好きなサンドラ・ブロックがかわいくてよかった。
最後は地下鉄も暴走して終わり。
やっぱりエンタメ系の映画はスピード感っすな。

「ノック・ノック」

こちらもキアヌ・リーブス主演の最近のやつ。
妻と子供たちがバカンスに出かけ、一人お留守番するキアヌのもとに、
二人の女の子がやってくる。
豪雨の中タクシーを下ろされて、しかも行きたい場所とは全然違うところに来て
ケータイは水没しちゃうし、行先の住所はわかんないし困ってるのー!
と言われたらついつい助けちゃうでしょう。
助けた女子たちは最初はおとなしかったものの、
シャワーを貸したところから豹変する。
二人がかりで猛烈に誘惑されて、うっかり応じちゃうよいパパよい夫のキアヌ……

その報いは地獄のごとき激しさで彼を襲うのだった!

みたいな話。
もちろん、よくはない。若い女子に誘われたからってヘイヘイ応じちゃダメなんだけど
それにしたってそこまでしなくてもいいじゃない!
って言いたくなるほどの無情、容赦のなさに最後までアワアワしました。
胸糞が悪くなること間違いないなしなので、ドSか浮気者に殺意を抱いている人向け。


「リベンジ・マッチ」

昔ボクサーだった男たちが数十年ぶりに因縁に決着をつける話。
スタローンVSデ・ニーロです。
わりとガチ。
愛した女と息子、孫、との絡みがあって、
単にライバルだった二人、ですまなかったところがよかったかな。
最後の死闘ぶりは本気でやりあってんじゃないか……って思わせる。
その辺がさすがだなって思えますね。


ほかにもみた気がするけど、途中で寝落ちしちゃったのかまったく覚えておらず。
明後日健康診断なんだけど大丈夫かなー。

2017-04-13(Thu)

「ルーム」

ルーム

2015年、カナダとアイルランドの制作。
アカデミー賞の主演女優賞を取ったということですが
納得のいく内容でした。
というか息子役の彼に素晴らしいで賞をあげたい。上手すぎ。


5歳の男の子のジャックは、ママと二人だけ、狭い部屋で暮らしている。
彼の世界はただただそこだけ。
なぜなら、ママはある日突然拉致・監禁され、
オールド・ニックという名の男に閉じ込められたままだから。

ジャックの5歳の誕生日の日に、運命は動き出す。
テレビを通じていろいろと知っているものの、
ジャックの世界は小さな小さな納屋の中で完結している。
成長した息子に、母はとうとう脱出するための計画を持ち掛け、
命を賭けて実行し、そして解放されるのだが……。

という話。

前に見た「マーサ、あるいはマーシー・メイ」って映画もでしたが、
監禁されている、洗脳されている、って話じゃないんですよね。
特殊な状況下で縛られていた人間が自由な世界へ出たら……
って話なのです。

かつては自由に暮らし、帰る家があるママと、
外の世界を一切知らないジャック。
すぐにでも家に、家族のもとに帰りたいママの意向で
入院を切り上げて実家に戻るんですけどね。

やっぱり普通じゃない状況で暮らしていたのは、
大きな鎖になって二人を縛っておりまして。

広すぎる世界、ママと、時々姿を現すオールド・ニック以外の人々。
対応しきれずに戸惑い、普通のこどもにジャックはなれない。

帰る場所が少しばかり変わっていて、
肩身が狭かったり、ジャックの特殊さを思い知らされ、
そして自分に降りかかった不幸の大きさを改めて突き付けられ
心が壊れそうになってしまうママ。

どちらも、そして突然娘を奪われた家族も、みんなかわいそうでね。
詰めかけてくる興味津々の住民たちとか、
生活費のために受けた取材、インタビューで突き付けられる
鋭すぎる言葉のナイフとかね。
ただただ普通に暮らしていただけの人が、
唐突にむちゃくちゃな悪意を向けられて、
人生を破壊されてしまうことって、
現実にあるのよなあってしみじみ。

日本でも時々起きる、監禁事件ですが
その被害者に向けられる言葉、非情だよね。
なにも知らないのに、もしかしたら、ひょっとして、なんて
簡単な「自分の常識」ではじき出した意見を
好き勝手にぶつけ、語る部外者のなんと多いことか……。

SNSの普及によって、無責任な発言が世の中にあふれるようになりました。
全部にちゃんと「個人の感想です」って書いておかないとね。

想像を絶する不幸を、同じように体験することはできませんから、
だからなおさら、自分の言葉に責任持つようにしないといけないなとか、
そんなことまで考えてしまいました。


にしても、ジャック役の子がかわいくて……。
しゃべり方はあえてあんなに拙くしているのかな?
アカデミー賞に出席していましたが、かっこよかったもんね。
彼の演技が素晴らしかったからこそ、作品も映えたのだろうなあと思います。
ブリー・ラーソンもすごかった。いい作品でした。