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2017-06-29(Thu)

「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」

「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」

TOKIOの長瀬君と、神木隆之介くんのW主演の邦画。
バスの転落事故で死んでしまった高校生が、
好きな女の子のために生き返ろうとするんだけど、
地獄からの転生って思っていたのと違う上、
地獄バンド「地獄図(ヘルズ)」のボーカルが、
生前通っていたスタジオの従業員で彼の切なる願いを聞き入れたくなっちゃって……。

というファンタスティック地獄コメディ。
バスの事故があったせいで公開が延期になったりしましたが、
これは延期にして正解だなと思いました。
コメディなので描写がちょっと軽いんですよね。
事故にあったことがある人、身内に経験がある人が見たら
たぶん胸がギューッとなるのではないかと思いました。


内容はとにかく明るく軽く、それでいてセンシティブだったり
アホだったり勢いが良かったりで、
宮藤官九郎らしさ全開の話でした。
地獄の設定って突き詰めたらこうなるのね、という部分と
そうじゃないパロディ部分がざっくりぐるぐる混ぜてあって
ついでに若々しい下ネタも存分にぶっこまれているので、
あんまり深く考えずに見た方がよさそうな話でした。

基本的に面白いんだけど、
なんだかとっても舞台っぽいつくりの映画で、
見ていて不思議な気分になったりして。

結構いろんな人が出てくるんだけど、
地獄で出てくると特殊メイクがジャマすぎて
一体だれがだれなのか確信がまったくもてませんでした。
ジュンコが誰なのかすごく悩んで(途中でわかりました)
で、最後のエンドロールで、この人出てた?ってなる。
中村獅童の役柄はすんごいビックリしましたよ。
よくそんな役やったなw ってな感じで。

結構楽しかったんですけども、
主人公の大介が結構な軽薄さ(アホというか)なのと、
最後の天国の描写がちょっと好みじゃなかったかなあ。
クドカン好きなら間違いない内容だと思います。
神木くんは素敵な成長をしていて、これからますます楽しみですね。


あと、テラフォーマーズをみました。
こちらは感想はとくにないかな……。
なんというか、全力出してない感じが漂っているように感じられて
それがちょっと残念でした。
役者は全力なんだけど、全体の作りがなんかね。
私はそんな風に感じましたとさ。おわり。
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2017-06-18(Sun)

「ジュリエットからの手紙」

「ジュリエットからの手紙」

2010年の映画。
舞台はイタリア。
主人公のソフィーは婚約者と二人でイタリアへ旅行へやってくる。
料理人の彼氏はワインやパスタ、トリュフに夢中。
それよりも二人で観光したいのに……と一人でソフィーが歩いていると、
街角には不思議な光景が広がっている。
たくさんの女性たちが、手紙を壁に貼り付けており、
そのうち一人の女性が手紙を回収してどこかへ去っていく。

気になってあとをつけてみると、とある民家では
何人かの女性がテーブルの上に手紙を広げている。

たくさんの手紙が書かれていたのは、
ロミオとジュリエットの、ジュリエットのおうち。
恋愛についての悩みを書いて送る風習があって、
ジュリエットの秘書たちがそれに返事を書いてくれるのだそう。
各言語にも対応し、悩み別に担当も決まっているという徹底ぶり。

ソフィーはその仕事に興味津々になり、
婚約者がグルメフィーバー中でほったらかしなのもあって、
秘書たちの仕事に少し混ぜてもらうことに。
もともとライター志望でもあるので、このエピソードを書こうと思っていたら
ジュリエットのおうちの壁の中から一通の古い手紙を見つける。
駆け落ちしようと約束していたのに、勇気が出なくて行けなかった。
50年も前に書かれた手紙にやけに心を打たれて
返事を出してみようと決めたソフィー。
悩みに悩んで、言葉を選んで、返事を出すと
その手紙を書いた女性、クレアが孫とともにイギリスからやってくる。
返事に心を動かされ、婚約者に会ってみたいと思って。
そう告げられて、ソフィーはクレアの旅についていくことに。

というお話。
とてもロマンティックなラブストーリーであると同時に、
とてもリアルなラブストーリーでもあるという。
50年の時を経て、かつての恋人ロレンツォを探すクレアの旅は結構過酷。
同性同名のロレンツォを端からあたっていくものの
なかなか見つからないし、イタリア人男性は情熱的なのか
全然別人のくせになんかオレがそうだよ!みたいな感じで出迎えてくるし。

同行している孫のチャーリーは、
50年も経っているし、こんな旅をするのはどうなの?
と最初から反対ムード。
おばあちゃんが傷つくところは見たくない……と文句たらたら。
ソフィーとはたびたびぶつかりあうけれど、
でも結局旅を共にしていくうちに、
なんだかんだ理解しあえるようになって、
ソフィーは自分と婚約者の仲についてしっかり向き合うようになり。

クレアのロマンチックな愛の物語も、
ソフィーの現在進行形の恋愛についても、
途中で波乱を含みながらも最後は美しく決着がつく、
とてもよくできた美しいラブストーリーでした。
ジュリエットに恋愛相談をする女性が世界中にいて、
それに返事が戻ってくるという話も面白かった。
ちなみに、日本語で手紙を送ると、ちゃんと日本語で返事が返ってくるそうです。

いい映画でした。
イタリアの風景もいいし、ソフィーが本当にチャーミングでね。
クレアは目指すべき上品な老婦人の姿だと思いました。みてよかった。

2017-06-12(Mon)

「ロンドン・ロード ある殺人に関する証言」

「ロンドン・ロード ある殺人に関する証言」

2015年のイギリス映画。ミュージカル(ダンスなし)です。

イプスウィッチという町で起きた連続殺人事件。
売春婦がつぎつぎと、短期間のうちに5人も殺されて、
街のイメージはすっかりガタ落ちに。
犯人は逮捕され、ちゃんと真犯人であることがわかるんだけど、
解決とは別に街の印象をちゃんとよくしようと
街の人たちが団結してステキなロンドン・ロードを作ろうね

って頑張るというお話。
実話をもとにしたミュージカル、舞台になったものを映画化、
ということでして、
歌詞、セリフになっているのは実際に事件があって
取材を受けたひとびとが語ったものがもとになっているというリアリティ。
だけどそれだけになっちゃっているかな。

事件が起きて、町がくらーくなっちゃって、警察が来て、
容疑者が起訴され、裁判が続く中、
街の人たちは戸惑い、落ち込み、このままではイカンと立ち上がる。
淡々とそう描写されるだけで、盛り上がりがないんですよね。
ドキュメンタリーを歌ってみました
みたいな話になっちゃってて、ちょっと残念でした。
現実って確かにミュージカルみたいなドラマティックな展開ないんですけど
だったら歌わなければよかったのでは……くらいの半端さでした。
話そのものはいいんですけどね。
あと、トム・ハーディがオマケすぎて。
セリフが意味深すぎて、最後までハラハラしたんだけどなにもないという。

ミュージカル好きとしては残念かなあ。
もう一声欲しかったです。はい。

2017-06-06(Tue)

「レイチェルの結婚」

「レイチェルの結婚」

2008年の作品。アン・ハサウェイ主演。
いや、できるよねアン・ハサウェイって思わされる出来でした。

主人公の女の子の名前はキムで、どうやらなんらかの施設から出てきたところ。
担当医やら同じ施設にいたであろう男の子と会話を交わして、
迎えに来てくれたお父さんと一緒に帰宅。
結婚式を目前に控えた家の中はとても賑やかで、
結婚するのはレイチェル、キムのお姉さんなんです。

学問に勤しみごくごくマトモな常識人であるところのお姉さんは
キムをやさしく迎え入れてくれるけれど、
施設帰りなだけあってなにかあるんでしょう、
姉のお友達はちょっぴり棘のある態度。
ドレスを試着している場所でタバコを吸い、
消せと言われてもなかなか消さない、
というか消さずにトイレでスパスパしちゃうあたり、
この主人公曲者なんだろな……という気配が充満し始める。

姉の結婚にあわせて施設を出たわけではなくて、
施設を出たタイミングがちょうど結婚式直前だったのがわかり始める。
キムを助けたいと願う父と、
結婚式の準備に追われる姉、
家を出て、離れたところで暮らしている母。
一家とその周辺の人たちとの交流の合間に、
キムの抱えている事情と、そして、家族を引き裂く大きなヒビとなった
過去の大きな大きな事件がわかっていくんですけどね。


こういう家族っているだろうなあっていうリアルさが充満する中、
なんだか不思議なカメラワークなんですよ。

キムは一生懸命ダメな自分と向き合おうとしているんですが、
どうしてもね、弱い子でね……。
過去についたどうでもいいウソがバレてしまって、
自分がかわいそう、自分を認めて、自分はがんばってる!と
自分自分自分、な態度が顰蹙を買っちゃう。
姉はなんとか争いにならないよう頑張るけれど、でもどうしても無理。
父はなんとか娘を認めようと思うけど、バランスが取れない。
責められてやるせなくなったキムは母のもとへ向かうけれど、
そこでとうとう、自分の犯した罪と向かいあうことになるんです。
向かいあうだけで、乗り越えられなくて、そして自暴自棄になり。

弱くてかわいそうな子を、常識のある人は責められないんですよね。
家族という血でできた鎖で結ばれていると、
突き放せないし、完全な無関係にはなれない。

で、なんだかんだで揉めた結果、お互いの思いが理解しあえて
良かったようなそうでもなかったような……

と思ってたら、不思議なカメラワークの謎が最後にわかってヒーンってなるという。
よくある人間同士の摩擦ドラマだっただけじゃない、
とはいえ、ただただおっかないだけでもなくて、
あれはきっと「好きだったから」なんだよねって最後にちょっと思ってエンド。

アン・ハサウェイが全然かわいくないんですよ。
すんごい擦れたダメ娘を好演しています。
あれ、アンだよね……?って最初になるという。
なかなか面白い映画でございました。

2017-05-31(Wed)

「ロブスター」

ロブスター

ギリシャの監督さんの作品。英語の作品です。
あらすじが結構衝撃的なので見たんですけど、
そのまんま衝撃的な作品でした。
ブラックなコメディですけど、
最終的には人間とか愛ってなんなんだろうって考えちゃう系の内容。


舞台はヨーロッパのどこか(多分)。
主人公は妻に捨てられて、とあるホテルに連れてこられます。
近いのか遠いのか、とにかく地球の未来のいずれかに存在するかもしれないこの世界では
独身でいることが罪になり、一人になった者はこのホテルに連れてこられます。
そこで45日以内にパートナーを見つけられなかったら動物にされてしまう。

この動物、何になりたいか選ばせてもらえるのが唯一の良心かな。
それ以外はもう、なんというか、味のない乾いたなにかを無理やり口に入れられているような
荒涼としたたまらん世界なんですよ。

主人公のデヴィッドは妻に捨てられて傷心の中ホテルにやってくるのですが、
連れている犬は実のお兄さん。
ホテルでは与えられたものだけを利用、身に着けてよく、
私物の持ち込みは厳禁。

期限内にパートナーを見つけなきゃならないので、
毎日毎日いかに独身が悪いか、パートナーのいる人生が幸福なのか見せつけられ、
ついでにマスターベーションは禁止、相手のいる幸せを刺激するためなのか、
毎朝メイドさんに股間を刺激され、反応したところで放置されるという
おっそろしい拷問を強いられたりします。
ちなみにセルフでしたのがバレたら、アッツアツのトースターに手を突っ込まれて焼かれ、
更には、滞在期間を延ばすためのボーナスとして、
独身のまま彷徨う誰かを捕まえたら一人につき一日、動物にされるのを先延ばしにできる
そんなゲームが用意されているという恐ろしさ。

デヴィッドは自分の心を偽ってとある女性とパートナーになろうとするも、
ただこの状況から逃れたいという妥協の上にやっぱり愛は存在しなくって
うまくいかなくなり森へ逃げ出します。

森の中にははぐれ独身者が身を寄せ合って暮らし、
追われつつも自由を謳歌しているんですが、
ここはここで、絶対に独身でいることを強いられるという極端な世界。

追われ、隠れて暮らしていくうちに、ある女性に惹かれてしまうデヴィッド。
だけどその愛も、とんでもない横やりが入ってズバッズバに引き裂かれてしまう。
そして最後に、愛に対する覚悟を試されるんですけどもね。


タイトルのロブスターは、もしも動物にされるならなにがいいか
デヴィッドが希望した生き物なんです。
その理由を思い返すと、そうかあ……ってしみじみしちゃうんですけどね。

こんな世界ヤだよ!っていうのがまずひとつ。
人間の感情や愛の不自由さについて考えたりっていうのがもうひとつ。
ほかにもきっとモヤモヤしたものが心に残って、
でも案外イヤじゃないという不思議な作品でした。
世界に無理やり恋愛させられるって、恐ろしいもんです。
極限状態に男女がいればこうなりますけれども、
所詮インスタントな愛なんてこんなもんすよ、
っていう悲しい笑いがあるんだけど、
個人的にはもっともっと湿気の多い愛を信じたい、みたいなこころもち。


にしても、レア・セドゥいいですね。
独身の森のリーダー役でしたが、なんかすごい力のある女優さんで。
この間見た「たかが世界の終わり」では、
田舎から出られない20歳そこそこの妹なんてキャラだったのに
ロブスターではヤバイオーラ満載で。素晴らしいです。