忍者ブログ

2019-02-05(Tue)

ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ

ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ

かれこれ30年以上続いている探偵もの、神宮寺三郎シリーズの最新作だそーで。
とはいえこの神宮寺、最初に制作していた会社はもうなくて、
その後権利が移動すること2回、ということだそうです。

アドベンチャーとか推理ものが好きな家族がワクワクで発売日に買って、
何日かしてから力なく言うんですよ。

クソだった……と。

そもそもこちらのソフトは、新宿で探偵業を営んでいる神宮寺の若き日々、
というか探偵になろうなんて思ってもいなかった学生時代のエピソードらしく、
インターフェイスや操作感など刷新した意欲作。
なにかうまくいっていなかったのかな?なんて問いかけても、
いいからやってごらんよ、という返事がかえってくるばかり。

なのでやってみることにしたのですが、
感想はこの家族とまったく同じになりました。
最初のプレイでは20分くらいでギブアップ。チュートリアル終わるくらいかな。
なんともいえないモッサリ感に耐えられず。
それでプレイした人たちのレビューを見てみると、
まあ大体書いてあることは同じなんですけど
2章以降はかなりいいよ、なんて意見もあって、
せっかくこの世に生まれたゲームなんだから、
クリアしてやろうじゃないかと頑張ってプレイしてみました。
その感想を書いておこうと思います。

ネタバレしかける部分も多々あると思いますし、
これからプレイしたい方は気分を害するかもしれないので、
自分もやった、クソだった!って感じた方だけ。
同意が欲しい方だけ読むといいのではないかと思います。



〇セーブの仕様クソすぎ問題

まず、一番問題視されているであろうセーブの仕様について。
本作はオートセーブに対応していますって最初に表示されますが、
これは嘘で、オートセーブしかしません、という意味でした。
チャプターセレクトとかいるかなあ、って思うんです。
ちゃんとトロフィー全部取りたい人にはいるのかな?
だって2周しようなんて気力わかないんだもん……。
でもとにかく、この時代にその場その場から以外認めないって潔すぎて
手を抜いてるなあー!としか思えない仕様なのは間違いないかな。


〇操作モッサリしすぎ問題

360度周囲を見渡せるシステムなのは、まあいいと思います。
個人的には、上下に視線を動かした時に魚眼レンズみたいになって人物が歪むので
水平だけで良かったんじゃないの?って思うかな。
ダンガンロンパみたいに「俺たち2Dだからよろしく!」って潔さがなくて
半端に動くし気持ち悪いから全然好きになれませんでした。

で、この360度見渡せるシステムにした結果生まれたのがたぶん、
操作もっさり問題だと思うんだよね。
回りを見て、なにか気が付いたらまた視線を動かしてその場にいる人物に聞く、
みたいな流れができたのかなと。

ただこのゲーム、驚くほど調べられる場所が少ない。
少ない上に、90%くらいが「必須」で、調べないと進めない仕様。
だから、なにかに気が付いたらその場で全部話しかけて解決すればいいのに、
三郎はいちいちなにかに気が付くたびに「〇〇に聞いてみよう」とか考えて、
目の前にいる人に話しかけて、どれについて尋ねるか考えるのです。
とにかく、テンポが悪い。ひとつひとつの行動に鍵がついているみたいな、
ベルトで固定された赤ちゃんのお世話みたいな操作を求められるのです。

場所の移動をするときも、「よし、ここから出よう」といって暗転するのに、
その場から再スタートするのがもー腹が立って腹が立って。

次の目的地に行くとか、目的の人物に話しかけるまでに、
3~5回くらい選択しないといけない。
スピード感はゼロどころかマイナスで、
なんでこんなことにしたんだかさっぱりわかりませんでした。


〇度が過ぎた秘密主義


操作とかセーブの仕様なんかは、まあいいんです。
システムがいまいちでも、アドベンチャーですから。
シナリオが良ければいいんです。
ところがどっこい、このシナリオがキツイ。
全部クリアしてみると、ああなるほどね……
と思わなくはない話ではあるんですが、問題はプレイ中。

まず最初に、神宮寺三郎は祖父が殺されたと聞いてニューヨークへ向かいます。
空港で幼馴染の三人に会って、現場にいってじいちゃんをしのび、
そして幼馴染が予約してくれていたお店でなかよしランチ♡

この辺でかなりの違和感がありますが、
その後、この三人との出会いに思いをはせ、タイムスリップ!

小学生だった三人は同じサマーキャンプに参加して出会い、
そこで世話役だった大学生のお姉さんがいないことに気がついて探し始める。


このいなくなった大学生のお姉さんなんですが、確かに姿は見えないものの
そもそも、いなくなったかどうかわからない状態。
幼馴染三人のうちのひとり、ベンがこのお姉さんに好意を寄せていて、
ところが彼女にプレゼントしたはずの人形が森の入り口に落ちている。

エマ(お姉さん)になにかあったんだ!大変だ!探さなきゃ!
とベンが騒ぐので仕方なく探すんですが、
まー、見つからない。
途中からきっとなにかあったに違いない!って話になるんですけども、
なにかあった証拠がない。
三郎、つまりプレイヤーはエマの顔すら知らないので、どうも気持ちが盛り上がらない。

しかしベンがとにかくやかましいので調べていくと、
とにかくね。なんにもないんです。どこに行っても誰もいないし。
どこに行っても周囲を探すことすらできない場所ばっかり。
たまーに誰かに遭遇するも、ちゃんとキャンプに参加しろと怒られてばかり。
手分けして探すようになった後、一人は不参加になっていなくなる。
残りの二人、唯一の女子であるアビーはどこにいったかわからなくなる。
そして言い出しっぺのベンに至っては、何回か合流するたびに
「おなかが痛いよお……」
とトイレで駆け出して消える。
結局、ベンは4~5回トイレに行くだけでそのままいなくなり、
最終的にたまたま見つけた大人とたまたま見つかった森の奥へ行き、
急にあからさまに撒かれた証拠を見つけ、犯人を見つけるんですけども……。

これ1話目なんですが、最後に真犯人はわかります。
ただ、被害者がどうなったのか、犯人の処遇はどうなったか、
ついでにもう一人触法行為をする人物が出てくるけど、
そいつに関してもどうなったのか一文字も語られません。

回想はぶつっと切れて、現在。
「いやーとんでもない事件だったなあ」
みたいな会話すらなくて、じゃあなサブローで解散。


そしてしれーっと始まる2話。

この2話目なんですが、内容がよくわかりません。
現在に戻ってきて、サブローはじいちゃんの愛した街を知りたいとか、
じいちゃんが最後になにを思ったのか知りたいとか言い出して
ぶらぶらと彷徨い始めるんですけどね。

で、ぶっちゃけると2話目は祖父の殺人事件の容疑者に会うだけでなんですよ。
犯人は捕まっていない、容疑者はこういう人物、という情報だけはもらえるものの、
その容疑者が拘留されていないとか、知らないまますすめなきゃいけない。
その場その場で思いついたことをなりゆきで突き詰めていったら
容疑者にたどり着いたってだけでね。

で、2話終わり。

3話目。
2話の終わりで、とある人物から
「呪縛の街に近づくな……!」とかなんとか言われるんです。
ついでに、タイトルでもある「ダイダロス」にもかかわってはならぬ、と。

ほほーなんだそれは?
って普通のアドベンチャーならば思うところ。
だけど3話目の最初、サブローがいきなり幼馴染たちの車に乗せてもらって、
たどり着いたところで「呪縛の街に着いたぞー」とか言い出す。

呪縛の街がどこを指すのか、2話と3話の間で調べ済みなんだよね。勝手に。
サブローはプレイヤーに教えてくれないんです、こういうこと。
しょっちゅう知らないところで一人で調べて行動して隠すんですよ。

新しいよね。

で、呪縛の街に着くんですけど。
なにを調べるの?ってなるんですわ。
よく考えたら、くわしく知りもしない人物がただわーっと叫んだだけの一言で
「ここになにかあるに違いない!」
ってならないでしょ。普通は。

そんなプレイヤーの思いなんかまったく関係なく、話は進みます。
で、20年前に起きたとんでもない事件について調べ始めて、

ちなみにこのゲームを楽しみにしていた家族はこの章で心が折れました。
わかる。
だって意味わかんないんだもの。

まず、図書館のお姉さんに古い新聞用意してもらったら、
4月から7月の分用意しますね!って言ったくせに
なぜか5月の分はない。
6月の記事に「先月起きた殺人事件が……」とか書いてあるのに、
5月の分はなんの理由もなく用意されませんでした。

で、調べていると警官に出会ってちょいちょい話しただけなのに、
その人は実は署長さんで、
「君にならいいと思った」
とか言ってなぜか捜査資料をまるまるプレゼントされちゃうという超展開。

異国から来たただの大学生ですよ。
たいした調査してるわけじゃないし。
そんなのもらえるんだ……ってなる。


とにかく話の都合にあわせてサブローはいきなり寝ちゃう。
「うっ、なぜかものすごく眠い!」って言って本当に寝ちゃう。
で、泊っているモーテルの壁に脅迫のメッセージがデカデカと書いてあるわけ。
そんな状況なのにまた次の日も普通にぐうぐう寝るし、
もらった捜査資料丸出しでベッドサイドに置いてるし、
結構古い年代の話だと思ってたのにモーテルの壁にでっかい薄型テレビかかってるし!

ドアも叩かれたらそっこーオープンしちゃう無防備なサブローちゃんに
イライラが止まらない。

しかも、この章、20年前の事件を追っていたはずなのにね。
最後の謎解き全然20年前の話と関係ないの。
は?そういう話だった??????
ログを読み直しても、話の流れは変わらない。
そして最後の最後、こんな状態で謎解きできるわけなかろ?
って思ったらやっぱりサブロー、やりやがった。
証拠品をすり替えて、いつの間にか鑑識に出してんですよ。

というわけで、プレイヤーには話の流れが見えない。
虫食いみたいな状態でプレイさせられている感じがすごいんです。
神宮寺三郎は天才だから、天才体験するゲームだから、
って開発者インタビューで語られておりましたが、
これはただの不親切でしかないと思います。
知る由もないことが裏で行われていて、サブローすごい、なんでも知ってる!
なんてなるかーアホー!!

一事が万事こういう状態で話は進み、
本当に最悪なことに、最後の最後まで同じです。
最後の最後、一体誰がどこからどんな風に撃たれたのか、
撃たれた人はどうなったのか、撃った側もどうなったのか、
重要参考人になるであろうすさまじい過去を持つ人がどうなったのか、
すべて、1%もわかんないままエンド。そんな話、読む必要ある???


〇調べる喜び


実はそういうゲームじゃないんだよ、って言われたらおしまいかもしれないけど、
一応アドベンチャーとか推理のゲームだと思って遊んでるんです。
必要な場所に行ったり、怪しい場所を調べたり、
会話も必要なら、なだめたり圧力かけたり、いろいろするもんだって。

ところがこの作品には、調べる場所とかできる会話がものすごく少ない。
しなくてもいい部分がほとんどない。
ごくたまに入る遊び部分は全部セクハラ(胸がでかいとか)。
登場人物は結構な人数がいるけど、大体がモブレベルで必要性が薄い。
調べる場所は「調べなきゃいけない場所」で、終わらなきゃ次に進めない。
移動するべきところをミスって時間が経過するとか、
会話の出来如何で分岐する箇所というものがない(唯一エンディング前だけはある)。
いや、なくはないけど、たまに会話でしょーもない受け答えが出てくると
選んだ場合即ゲームオーバーになるというシャドウゲイトみたいな仕様。
そのせいか、
たとえばA→B→Cの順に行かなきゃいけない場面で、
いきなりCに行くと日が暮れて真っ暗になっている。
Aに戻ると、真昼間。Cは夜。Bは昼。手抜きすぎやしないか?

というわけで、ただただ選ばなきゃいけない道を選ぶだけ。
面白味もないし、ふざけた途端死ぬし。
いざ推理となっても、間違いようがない選択肢ばっかり。
だいたい、毎度毎度容疑者一人しかいないじゃない……。

次から次へスピーディに進んだら、2時間くらいで終わるボリューム。
操作のもっさりでプレイ時間を水増ししているんだな、と悲しみが募る。


〇見せない系ドラマティック


風景は360度くるくるまわして確認できるのに、
それ以外のグラフィックについてはとにかく手抜き!
大けがした人が普通の立ち絵でぼーっと突っ立ってる。
怪我をしようが、撃たれようが、それは変わらない。
とにかく、見た目に変化を起こさないので、
なにが起きたのかわからないし、
劇的なシーンですらものすごく白けてしまう。

一枚絵とか、ムービーとか、大事なんだなあ……って全員が思うであろう味気無さ。
サブローの語りの熱さとの乖離は本当にひどい。




〇抜粋読み上げシステム

このゲームでほめるところはどこか?って言われたらたぶん、
大抵の人は「声優さんの演技は良かった」と答えるだろう。
音楽も悪くはない。でも、ただダラダラ音楽かけてるだけで効果的じゃないから、
曲は悪くない、と言うべきだと思う。

で、声優さんの演技はとてもいいんだけど、
フルボイスではなく、かと言ってシーンに合わせた一定の音声がするシステムでもない
謎の抜粋読み上げシステムが搭載されていて、声優さんたちの仕事に水を差している。

フルボイスのセリフは、たまにある。
だけど大抵は、セリフを簡略かしたものか、最後のフレーズだけ言うか、
たまーに最初だけ言うパターンもあるし、
汎用の相槌がいきなり流れることもあるというマジの謎仕様。

プレイヤーはセリフを追ってるのに、
音声は最後のフレーズだけ先にずばーっと言ってしまうので、
頭にすんなり入ってこない、音声も字幕も。没頭しづらい。
なので、声優さんがいいよ、と人に薦めるのが難しい。すごく悲しい。




ちゃんとクリアしたと思うんですが、
最後までなにがどーなったのかさっぱり教えてくれなかったので
クリアしたぞって満足感も皆無です。
でも、一応最後までやったったからな、という気持ちにはなれたかな。

おわり。

デトロイトで遊びたい。
PR

2018-12-06(Thu)

Detroit: Become Human

据え置きのゲーム、このところはずーっと、一年以上経ってもまだ「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」をやりっぱなし(難易度を変えながら6周している)だったんだけど、ひさしぶりに新しく購入。
初めてのPS4です。

Detroit: Become Human

テレ東の深夜にやっている「勇者ああああ」の中で使われているのを見て、こりゃー面白そう!って思ったらちょうどベストプライス版みたいなのが出ていたので、ラッキーでした。

2038年、人間とほとんど変わらない見た目のアンドロイドが普及した世界。
機会に仕事を奪われ、人間の失業率が上がって不満が爆発する中、
アンドロイドたちに「感情」が芽生え、世界が変わっていくというお話。
主人公のアンドロイドは3体いて、
警察で捜査をする特殊な機体のコナー、
画家の助手、家事や身の回りのすべてを手伝うマーカス、
不幸な家庭に買われた家事育児専用アンドロイドのカーラ、
を動かしていくんだけどとにかく、分岐が細かい。
誰かの選択や行動がほかの誰かに影響を及ぼす、というのは新しくはないんだけど
いやいやそれでもこの細かさ、バリエーションの豊富さには恐れ入ります。
誰かが死んだ(壊れた)としても続くってのもすごい。


初プレイでは、善良なコナー、善良なカーラ、そして善良なマーカス……
になりたかったのに、うっかり一か所ミスったせいでとんでもない展開に。
善良プレイがすべて台無しで終わる結果となり、クソみたいな世界ができました。

それでもめっちゃ面白かったし、謎もちょいちょい残っているのでもう一回。

前回と逆にしたいなーと思ってプレイするも、
完全な機械でしかないコナー、平和主義なマーカス、そして優しさのないカーラ……
が本当に無理で、ダメだーって愛の逃避行。でも最後は……ああ……って感じでさ。
機械すぎるコナーでは、相棒の刑事ハンクの運命も悲しすぎてたまらんです。
1周目の最高のパートナー時代が思い出されて悲しい。

今度こそ全員を生かすぞーって張り切って3周目。
正直、すべての選択肢は埋まらないだろうなーって思う。多すぎて。ビックリ。


特別な警察任務用のプロトタイプのコナーと、
なにやら秘密のありそうな量産型ではないマーカスと違って、
一般家事対応アンドロイドのカーラが非力で、特別なことがなにもできなくて、
それがやたらとリアルでねえ。
アンドロイドが自分の意思を持ち始めて、ああだこうだいいだすんだけど、
彼らはやっぱりそれぞれにプログラムされた機能しかないんだなあって。
そういう風に考えながらやるととてもぐっとくる。とてもいいゲームです。
このままドラマ化してもよさそうな感じ。
トッドが一番リアルな人間ぽくてすごいよね。


海外ドラマっぽい感じなので字幕で遊ぼうかと思ったけど、
今回は圧倒的に日本語音声が良かった。
声に迫力があってね。コナーもマーカスも、カーラもみんな良かった。ハンクも。
何周遊ぶかちょっと楽しみ。

2018-08-26(Sun)

おかたづけ

今年の夏はあっつい!
としかコメントしようがない夏でした。

映画の鑑賞記録をフィルマークスでつけるようになったら
こっちがすっかりおろそかに!
誰も見てないだろうなあと思ってねー。

ちなみにフィルマークスでのページはココ
見る人によって感想が違うもんだなーと楽しんでます。

夏の間は去年同様家族の入院があってバッタバタ。
とはいえ、去年は一年の三分の一入院+退院後体が動かないのコンボだったので
それに比べたら超ラクチン。一週間もなかったし、予後もよしなので。

そんな中、じわじわと家の片づけをすすめた。
長らく着ていない服とか、昔っからクローゼットの奥に居座り続けるアイテム、
もう遊ばないゲームなどなど、すごい量を断捨離。
ついでにガスコンロや風呂場のあれこれも付け替え。
壊れたPC,昔の携帯電話は東京オリンピックの都市鉱山メダルプロジェクトへ。

しまいっぱなしだったフィギュアをとうとう飾って、
タンスの上にはツェペリさんとジャイロが二人で腕を振り上げているという。

病院でてんやわんやになるのはおととしからの予定だったので
わかってはいたけれど実際はやっぱり大変だった。
それがようやく全部済んで、ほっと一息。
やっと通常の暮らしにシフトチェンジできるなーってな感じ。

とりあえずすごい大量に出てきたぷちサンプルとシルバニアファミリーを
ファンタジー調に改造してみたい欲求と戦っております。

2017-11-16(Thu)

「ストレイト・アウタ・コンプトン」

「ストレイト・アウタ・コンプトン」

2015年のアメリカの映画。
1986年、コンプトンという町で生まれたグループ「N.W.A」の
自伝的なのかな、この時代にこういったいきさつでグループが生まれて、
どうして解体していったのかが描かれた映画。

自分はラップに興味はないし、このグループも知らない、
アイス・キューブを映画でちょっと見ただけ程度で
思い入れもなんもない人間なんですけど、
ぐぐーっと胸に深く刺さる一本だよなあって感想を持ちました。

安易な暴力に走らず、音楽で立ち上がろうと決めたイージー・E。
仲間を集めて、ヘタクソなラップも一生懸命やって、
とうとうFBIから目を付けられるほどの存在になっていく。
彼らのリリックがあまりにも危険すぎて、という理由で
警察がライブに乱入してくるというのは、
時代だなあと思います。
彼らがいたから、今があるんだと思うんですよ。
アメリカ人じゃないけどね、自分は。

この時代の背景を知りたくなって調べてみると、
本当にめまいがするほどのあれこれがあった。
いまだに晴らされていない疑惑も残っているように見える。
それでも成功する喜び、あふれ飛び交う金と、
利用し利用さらえる者、不平等から友情に入った亀裂……などなど。
最終的にイージーの迎えた終わりは気の毒なんだけど、
子供がたくさんいたって知ってあらまーって思ったりもしました。
あの流れの中で一番に抜けたアイス・キューブはできるヤツだなと思ったし、
息子が役を演じているんだけど、あまりに似すぎていて
「あれ、若返ったの!?」って思ってしまったほど。

ラップ文化に詳しい人が見たら楽しいのか、それとも気になるのか
わかんないですけど、あんまり予備知識のない自分には十分刺さる出来でした。
間違いなく時代を作った人の話だったので。
見て良かったなと思える一本でした。

2017-11-16(Thu)

映画見た記録

欧州編

「ミモザの島に消えた母」

2015年フランスの映画。
母が姿を消したことに心を痛め続けたまま大人になった姉と弟が
あらためて消息を追って真実を見つける話。これはしんどい。
子供の立場なら、知りたくないだろうなあ……って思いました。


「ハイ・ライズ」

2015年イギリスの映画。
昔のSF映画を原題で実写化するとこうなるかも、
という共感できなさがあふれる作品。

最新式のタワーマンションの高層に、選ばれし者が住み、
低層にはそこそこの住人が住み始める。
高層の住人は放蕩の限りを尽くし、低層の住人がとばっちりと受ける。
結果、反乱がおきて王国が崩壊してしまうという話。
小さな国の興亡と考えてみればしっくりくるかも。
警察来なさいよ、って思うもんね。

最後は破壊と乱交の限りが尽くされ、
大体「ソーセージ・パーティ」と同じ感じになる。
もしかしたらほぼ一緒かも。



「ミス・シェパードをお手本に」

2015年イギリスの映画。
ロンドンのカムデン通りに一人の老婆が住み着いている。
彼女は古い車を住処にしており、住人の誰かの家の前に停車して暮らしている。
通りの住人はこの「ミス・シェパード」を疎ましく思いつつも、
邪見にすることなく暮らしている。
そこに劇作家のベネットが引っ越してきて、謎の老婆と仲良くなっていくんだけど、という話。

こういう独自の哲学を貫く人っているよなあ、という話なのかな。
世間体とか、周囲とうまくやろうとか、そういうことの前に、
自分がどうしたいか、なにを一番大事にするのかを貫くという
謎の「ミス・シェパード」にベネットは人間的な魅力を覚えたんだと思います。
最後のシーンはかなり見ごたえがある。
ミス・シェパードはお手本にはできない人なんだけど、
ベネットはたぶん、自分を偽らずに生きる、という気持ちを彼女のおかげで手に入れたのかなって。
画面からにおいが漂ってきそうで、演技が見事。マギー・スミスはすごい。




「ラン・スルー・ザ・ナイト」

2016年のロシア映画。
タイトルはちょっと失敗かな。あんまり夜を駆け抜けない。
恋人の画家が殺され、なぜか自分も追われることになったサーシャ。
なぜ彼は殺されたのか、どうして自分まで追われるのか。
友人にかくまってもらいながら謎を探っていく、という話。

30分くらいでたぶんこういう話なんだろうな、っていう見当がつく。
黒幕についても、1時間でわかると思う。
とても素直な脚本で、みどころはサーシャの美貌がメインかもしれない。
恋人同士の時間の回想は、とにかくモザイクがでかい。