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2015-01-29(Thu)

「ミスター・スキャンダル」

ミスター・スキャンダル

珍しくWikiなどでまとめられていないイギリス映画。
実在のソーホーのポルノ王……じゃないか、
水商売キング ポール・レイモンドの人生を描いた作品。

男は女が好きだ。美女だともっと好きだし、ついでに裸ならもっと良い。
そんな感じでストリップクラブを作ったポールさん。
ヒソヒソされるも大盛況で、劇場を開き、不動産を買占め、
豪邸を建てて子供を私立の学校へ通わせて……。
と、順風満帆の人生を歩んでいたものの、
お気に入りの女の子にすぐに手を出すクセから小さな転落が始まる。
っていう。

妻と子がいながら家を出て、年下のナイスバディと付き合い始め
男性向けのエロ雑誌を出版して大成功。
娘はショービズ界で働きたいと言い出し、手伝ったり失敗したり。


まずは、妻が美人。
で、妻と子を捨てさせた若い才能あふれる愛人アンバーを演じる
タムシン・エガートンが驚くほど綺麗。参った。すげーの、足長いし。
みんなポンポン裸になる映画なんだけど(今までで一番ぼかし処理が多い映画だった)
タムシンさんもすぽーんと脱ぐんです。すごいの。綺麗なの。エロく……ないの……。

この映画は出てくる女性の90%が裸になるんだけれども
(元妻ですらも熟女ヌードを撮られる)
でも全然それだけじゃなくて、大きな成功の影にあった不幸だとか
家族の運営はまったくうまくいかなかったりだとか
そういうものをすべて描いていてすごくこう、迫ってくる。辛い。

最初はノリでイエイイエイしていた愛人も、
自分が妻になり、夫を挟んだ先に裸の女がいる生活に疲れ果ててしまう。

娘だから、父親の力を借りてデビューするも、
裸にならない女が出てきたところで注目されない。
娘の苦悩を、父は心から理解しようとしない。

表面的にはうまくいっていたように見えて、娘の心に開いた穴は大きく
ドラッグという落とし穴にはまってしまう。
たくさんのものを、誰もがうらやむような宝の山を持っているのに、
心が満たされなければ生きていくのは辛い。

そういう、普遍的な人生を描いた映画でした。
なかなか良い感じ。

現代から過去を回想しつつ、不幸な死の理由を探っていくような構成。
薄暗いことが多いイギリス映画らしい、重めの、
でも割とファンキーな造りで良かったです。

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2015-01-17(Sat)

「シアター・ナイトメア」

シアター・ナイトメア

本日はWOWOWで「ホビット 竜に奪われた王国」の放送があったんで
ワクワクしながらちょっと早めにテレビつけたんですよ。
そうしたら、サスペンス・ホラー系の映画をやっていて
ついつい見ちゃったんだよね。それがシアター・ナイトメア。


ベテランの映写技術師であるスチュアートは、
映画のデジタル化に伴い仕事がなくなり、売店へ異動させられる。
年下の支配人にはバカにされ、つまらない仕事に怒りを募らせた彼は
映画館の防犯設備などを駆使して
「自分の考えた最高のスリラー映画」の撮影を始めてしまう。

という話。

客として現れたカップルに一服盛って、支配人に復讐した挙げ句あれやこれやで
非常に胸糞悪い話でしたw

最後の刑事さん、いい仕事しそうな感じをさせつつの完璧なスルーで
悲しい気分になったりして。
なんも悪くない誰かが酷い目にあうっていうのはやっぱりヤなもんですね。
怖いかというか、可哀想、という印象でした。
スッキリしない。


その後放送されたホビットでは、激流樽下りで大興奮できて良かったです。

2015-01-11(Sun)

「ダイアナ」

「ダイアナ」を見てみました。

あの悲劇からもう随分時間が経ったのだなあなんて感慨深い気分で。
ダイアナ妃が亡くなる前の二年間について、
映画にしてみたものですが、これってどこまでホントなのかしら。

内容は、精神的な部分にフォーカスをあてていて
なにがあった、なにが起きた、っていう部分よりも
心情面をクローズアップしているように思う。
なので、これが本当なのか?って疑問が湧いてしまう次第。

離婚する前に他の男性と恋に落ち、
結ばれることがかなわず人生の闇に落ちていく。
弱さを一番大きく扱っているので、
こういう映画は作らないでほしかったなあって思ってしまう。

こういう物語にするのならば、ダイアナ妃をモデルにしたことが
はっきりとわかったとしても、実名でやるのはいかがなものだろうか。

こんな映画を許すなんて、イギリス王室は心が広いなって思います。
あんまり気分のいい作品ではなかった。
死んでなお汚されてしまったようで、ますます気の毒。

有名な人、誰かの憧れになるような人の私生活は
いつまでも謎のベールに包まれたままの方がいいと思った。

たとえ嘘くさくても、曖昧でイメージ先行の方がいいよ。
細かい重箱の隅をつつくように芸能人のプライベートをあれこれかきたてる
マスコミはもっと自重すべきだし、私たちも喜ばない方がいいなって。思いました。

2014-10-22(Wed)

「ワールズエンド 酔っ払いが世界を救う」

ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!」

見たかったやつ。
なんてったってテンポの良さMAXのエドガー・ライト監督作品。
相変わらず、シーンが切り替えとか素敵なセンス。

物語は、駄目な大人が過去の親友たちを集めて故郷に戻り、
若い頃できなかった「パブ12軒めぐり」をやり遂げようとするというもの。
最後の店の名が「ワールズ・エンド」なんだけど、
これは意味深な店名でした。

そこに+して、過去にちょっと好きだった友人の妹との再会だとか
友情の復活、更にはいつの間にか街の人間がほぼ全員侵略者と入れ替わってた、みたいな。

細かいことを書くとネタばれしちゃうのでおいとくとして、
テーマは大体「ありのままの自分で」って感じか。

主人公のゲイリーはダメなやつで、40歳になってもダメなまま。
強引に過去の友人たちを引っ張り出して振り回し、故郷の街を駆けずり回る。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」と展開は近い。追い回されるし。
でもテイストは全然違っていて、なんだろう、こんなにダメなヤツだけど
強烈な魅力があって、アンディのセリフはめちゃめちゃに熱くて良かった。

最後はもう、なんでそんな無駄にカッコいい終わり方なのwと。
ただのダメ人間が暴れる話ではなく、なんだろうなー。
うまく言葉に出来ないんだけれども、良かったです。

なにげにアクションもいい感じで侮れない。見て良かった系の映画。
にしてもあの映像の魅せ方のうまさ、すごいや。



もう一本、「我が家のおバカで愛しいアニキ

出所してすぐのバカ正直で心優しいアニキと、その妹たち及びその周辺の人達の物語。

とにかくアニキがピュア。
正直で優しくて、なんでも受け入れようとする。
受け入れられない時には、自分が悪いと反省しちゃうほど。

妹たちを頼って居候させてもらうも、
そのあまりの受容性の高さと正直さで妹たちにとっては面白くないことが色々と起きる。
それらは全部、兄のせいではなくて、むしろ妹たちにとっては良いあれこれなんだけど
自分の現状、これまでに築いてきた人生を否定されて怒ったり。

最後はなんだかんだ、みんな反省してアニキを迎えに。
ほんわかあったかいいい話だった。
アニキもいい男なんだけど、妹たちがみんな美人過ぎて困っちゃう。

妙にいいもの観た感が強い一本だった。

2014-09-16(Tue)

「シャイニング」

シャイニング

もちろんあの強烈なパッケージのやつ。
ジャック・ニコルソン祭りの最終章に相応しい作品でした。

シャイニングについてはあのジャケットのおっかない顔しか知らなくて
昔の同僚のS君(髭が濃い)が会社に泊まり込みで仕事をしている時
「シャイニングみたいになってるよ!」って言ったくらい。
その程度しか知りませんでしたが、申し訳ありませんでした。

話の内容は、
人里離れた高原にあるホテルが舞台。
冬は雪が大量に降って客が入れられなくなるので、
その間暖房を入れて傷まないようにするために管理人が必要。
それに、主人公であるジャックが内定するところから始まる。
妻と息子と3人で冬の間ホテルに籠もることが決まるが、
そこは昔インディアンの墓地だった場所であり、
閉鎖空間に心を病んだ管理人が妻子を惨殺した事件があったりして……。
っていう感じ。

ジャックは小説家で(なのでこの後「恋愛小説家」の主人公になるのかなみたいな気分に)
他人が入り込んでこない空間で自由に過ごせるのは好都合だという。

だけど、誰もいないどころかそこは強力な「悪い何か」がいて、
ジャックの心を蝕んでいくのだとかなんとか。

6歳の息子は「シャイニング」という特殊能力の持ち主で、
話さなくても他人と通じ合える(能力者同士ならば?)。
ついでに、まだ見ぬものを幻視することもできる様子。
それ以外、たとえば戦う力とかはない。


父と息子。
夫と妻。
仕事、人生がうまくいっていないことへの焦りと憤り。

ジャック・ニコルソンの演技は壮絶で、かなり怖い。ヤバイ。
そして奥さんの顔も結構怖い。息子は可愛い。

複雑に色々と絡み合って、ジャックは壊れていく。
けど、色んな解釈ができる映画だと思った。

最後の写真なんか特に。
最初からあのホテルに棲んでいる何かの一味だったのか、
それともあの事件を経て一味に加わったのか。
過去に事件を起こしたグレーディが、ジャックだった説(生まれ変わりとか)とか
全部妄想でした、とかでもいいような気がする。


おっかないシーンは色々あって、
たとえば大量の血がざばーんってくるとこも怖いし、
双子の女の子、腐りはてた女性、ヘンテコな仮面のオッサン2人組。
この辺は普通にビックリしてアワワとなってしまう。

ジャックの書き上げた原稿も怖い。
いろんな形に仕上げてあるところとかが怖い。
あ、途中から微妙に楽しんでるか飽きたかしてる!って思わされるところが怖い。

倉庫に閉じ込められた時、下からのアングルで映してて怖い。

「しつける」って表現が怖い。

廊下を歩いているだけで怖い。変な動きがすごく怖い。

最後、迷路でまよった挙句凍死した姿が怖い。
いや、あれは吹きだす人が結構いるとは思う。
いきなり出てくるし。不意打ちだよね。
だけど、実際あんな風に凍死してしまった人に出会ったとして、
自分は笑ってしまうのだろうか?って考えるとすごく怖い。
あの顔のドアップをあのタイミングに配置したキューブリックが怖い。

最後の方に出てくる仮面のオッサンはほんとなんなのかな。
あれが一番ビビったんだけど。へんな帽子かぶってて。


で、とにかく、ジャック・ニコルソンはすごいなって。
素晴らしい俳優でした。

ハロランさんどっかで見たなと思っていたら
「カッコーの巣の上で」に出てきただらしない看護師だった……のかな?
モト冬樹そっくりだなこの人って思ったんだよね。

面白かった。
本当はもっと長いバージョンがあるっていう話だけど、
監督があれこれカットして「これで」っていうのなら
短いバージョンが最適ってことなのでしょう。
良い作品だと思いました。原作は読んでませんけど。良かったと思います!