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2014-11-21(Fri)

「ダラス・バイヤーズクラブ」

ダラス・バイヤーズクラブ

なんとなくピンと来たので借りてみた。
ここのところ、実話ベースのものが多いんだけど、これもそう。
もうちょっとファンキーでアレな感じの話かと思っていたら
そうじゃなくて「ロレンツォのオイル」的な
悲しくも闘志あふれる話でした。

超自堕落なカウボーイとして暮らすロンは、
最近すっかり具合が悪い。ある日突然倒れて病院へ運ばれると
HIVに感染しているという。

宣告された余命は30日。薬はなし。
これが効くよ!と大々的に宣伝している薬はあるが、
治験に参加するハードルも高いし、そもそもプラセボ、いわゆる偽薬を使ったもので
本物の薬が使えるかどうかはわからない、という仕組み。

看護師を買収して未承認薬「AZT」を入手するロン。
けれど看護師に裏切られ、体調は悪化。
仕方なく、メキシコへ渡った彼を、大きな運命の分岐点が待っていた……。
という話。

未承認薬を使えるようになるまでの流れというのは
実際に必要だから、時間がかかるのは仕方がないと思う訳です。
日本では時間がかかりすぎる、海外では承認されているものがあるのに!
なんて話もよく聞きますが、私としては、人種の差とかもあるわけで、
承認されていれば安全なのか、という点には少し疑問があったりして。
とはいえ、残された日々が短いと宣言されてしまった人にとっては
救いの糸があるならば飛びつくでしょう。


こんなやり方を強いられるのはごめんだ、と、
メキシコで出会った「元」医師の指導を取り入れるロン。
副作用の強すぎる「AZT」ではなく、体質と生活を浄化して治す道を選ぶ。
そして彼がなによりすごいのが、そのやり方をアメリカへ持って帰って、
同じような境遇にある人達に紹介していく。
それが、ダラス・バイヤーズクラブ。

ロンは忌み嫌っていた同性愛者たちを受け入れ、
自分たちの利益ばかりを追求して患者に選択肢を与えない
製薬会社や医師たち、薬の承認をする機関と
30日を言われた余命をはるかに過ぎるまで、戦い続けてそして、空に還って行く。

思うところがないワケではないんです。
最初に映し出された主人公の暮らしは、最低そのものであり、
HIVだって自業自得なところがあるんだよね。
清く正しく生きていれば、無縁の世界なわけで。

かなり美形のゲイであるところのレイヨンがすごかった。
最初、男なのかよくわからなかった。男性でした。
っていうか、ジャレッド・レトだった。

マシュー・マコノヒーの激ヤセぶりもすごい。
みんなHIV感染者、エイズ発症者なので、げっそりしている。
本当に具合の悪そうな色合いをしているのがすごい。
今にも死んでしまうのではないかとハラハラするほど。

医師の良心だとか、火事場のクソ力とか。
やる気になればここまでやれるんだ、とか。

見えないところで勝手に作られている世の中の仕組みに、
ふっと思いが行くような、そんな作品でした。
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2014-11-20(Thu)

「HK 変態仮面」

風邪ひいて引きこもってるので、映画三昧。
というわけで「HK 変態仮面」。
気になって仕方なかったので結局借りてみた。

これとマチェーテキルズを借りたんだけれども、
久々にディスカスさんじゃなくて、店舗の方で借りたんだけれども、
マチェーテがね。
まだまだ人気作、とかのコーナーにあると思ってたんだよ。
そしたらないの。ランキング、新作、準新作になりました、の棚にもないの。
散々探したけど見つからなくて、最終的に店員さんに聞いたよ。
「マチェーテ・キルズどこにありますか?」って。
店員さん「ムムッ!」って感じの顔だよ。
しかも変態仮面まで借りてw 別にどう思われたっていいけど、
こういうものこそディスカスで借りたいのに!なんで対象外なの!バカ!


で、変態仮面。むかーしむかしジャンプを読んでいた頃。
どのくらい前なのかなあ?(*1)
とにかく、かつて愛読していた時代に輝いていた作品だし、
福田雄一が監督しているなら見るしかないじゃない……。
福田監督なら、原作モノでも愛情たっぷりに仕上げてくれるって
確信できるステキな人なんだからさ……。


まず、最初にお母様の登場。
片瀬那奈のこのやりきった感。素晴らしい。
「きれいなお姉さんは、好きですか」とかやってたのに!
いつの間にかこんなにもやり切る人になって。好き!

そして主人公、変態仮面を演じるのは鈴木亮平。
彼も素晴らしいよね。なんだろうね。
初めてパンティを被るところね。
葛藤を口に出して震える彼、素敵だよねw超素敵だったね。

肌に吸い付くとか、テンションが上がるとか。で、クロスアウッ!
見事な肉体。完璧な変態仮面がそこにいた。
っていうか顔w 顔はどうしたw いやでもこれ完全再現だわw
みたいな。ポージングがいちいち完全で、なんかもうたまらなかったw
何回も吹いた。吹いてる自分が滑稽でもあったし、なんかもう
この映画を至極真剣に真正面から作ったスタッフに敬礼したくなった。

物語は、変態仮面が正義の行いをする
 ↓
高校に変なヤツが来る
 ↓
変態仮面が戦って倒す。

というごくごくシンプルな物語。
ただ、全員変態なだけっていう。
モーホー仮面とか今時、大丈夫なのかっていう不安があったけど、
それ以外は素晴らしい脱力感。

変に美しくしたり、壮大にしない。福田雄一偉い。

で、最終的に「ニセ変態仮面」が出てくるんだけれども、
引き締まりまくった鈴木君とは違って、尻の肉がぷるんぷるん揺れてて
なんかそれがもうおかしくっておかしくって。物悲しくもあってw
あわれを感じました。そんな感じ。そういうわびさびの域にも達してた。

愛子ちゃんも本当、可愛くって。良かった。
っていうか、「先に股間に顔をうずめられた方が負け」みたいな勝負の仕方が
すんごいバカらしくてw
なんで武器はおいなりオンリーなのw
そういう事でいいの? 変態なのね! みたいな心持に。

最後のアレはいらんかったんでは……と思いつつ。
12歳以下は見ちゃ駄目なんだってさ。
13歳以上で良かったです。


(*1)22年前でした……。

2014-11-20(Thu)

「マチェーテ・キルズ」

マチェーテ・キルズ

親愛なるガンジス先生から猛プッシュを頂いたので観てみた。

いやー。
すごい悪ふざけ感w しかもゴージャス。
よくこれだけのメンツが揃ったよね、という顔ぶれなんだけれども
この人数が多い分皆さん出番が少ないのでは……。
この心配が一番デカかったのは、マルコ・サロール。
おいおいあんたこれで退場かい……!
ってなります。ええ。なりますよ。
ジェシカ・アルバもねw

前作のマチェーテも、すごい残酷描写&豪華キャスト&悪ふざけの極地だったけど
今回はそれがさらにパワーアップ。
どこがって、残酷描写がだよね。
前作も「こらこら」って感じだったんだけど、
今回は「おいおい首の作りが雑だよー!」ってw
ナタでポンポン人の頭を吹っ飛ばすけど、雑w
最初にまっぷたつになったやつが一番雑だった。
なのである意味、残酷描写はゼロ。
ボートが突っ込むシーンとかも全然大丈夫。
ヘリのプロペラ使うシーンは多いけど、マチェーテ自ら回るシーンは本当に雑w

それもこれも計算尽くなのだろうなあ。
大胆な描写にこっちは軽く脱力しながら笑ってしまう。

そしてなによりも「メル・ギブソンよく出たな!」っていうアレ。
彼の青い瞳、綺麗だねー。
すごくアレな役だし、研究所に行った時に未来感満載の車、
なにあのダサかっこいい感じw あの車が一番笑った。

そしてマルコ・サロールが最終的にめっちゃおいしい役で
しかもサロール呼ばわりされてて笑ってしまったw

カメレオンのキャストの豪華さもアレだし、
おっぱいマシンガンと股間砲とかもすごくアレだし、
次回予告がフザけ過ぎだし。

でも次があってうまいこといけば、レオナルド・ディカプリオも出るのかなw
3もあるならちゃんと観ようと思いました。

2014-11-19(Wed)

「ブルージャスミン」

ブルージャスミン

気になっていたんだけど、都合があわなくて映画館でみられなかったやつ。

いや、これ、アカデミー賞獲るでしょうね……っていうのが素直な感想。
主人公であるジャネット=ださい名前だから勝手にジャスミンって名乗ってる
彼女を、完璧に演じあげていると思いました。ケイト・ブランシェット、すごい。

主人公のジャスミン(ジャネットという名前だが勝手にジャスミンを名乗っている)は
リッチ極まりない生活をしていたものの、夫の不法なあれこれがばれて
全財産を奪われ、妹であるジンジャーのもとへ身を寄せる。

夫は自殺、その子供(連れ子でジャスミンの実子ではない)は出て行き、
ついでにいうと妹夫婦が宝くじで当てた金を全部巻き上げて一文無しに
→妹夫婦は離婚、子供二人を抱えて貧乏暮らし
という状況。そこに、お金がないどころか借金がある状態なのに
ジャスミンったらファーストクラスの座席をとって、
ヴィトンのトランクを3つも抱えて転がり込んでくる。

最初っからまったくもってクレイジーな様子が描き出されていく。
たまたま席が隣になった老女に、延々と自分語り(妄想混じり+自慢話満載)
という様子がかなりヤバイ。目がやばい。これがまずすごい出だし。

妹は慎ましく狭いアパートで3人暮らし。
付き合っている彼氏と一緒に暮らそうと約束していたところに、
非常にいけすかない姉が転がり込んでくる。
なので、彼氏は気に入らず、妹から聞いた姉のあれこれをもとに嫌味を炸裂。
それを、「下品で最低な男」と高飛車に応対するジャスミン様。

金がないのはわかっている。
もう裕福な暮らしじゃないのはわかっている。
でも忘れられなくて、妄想に浸り、抗鬱剤と酒に逃げる主人公。

なんとか元通りの暮らしをしたくて、
インテリアコーディネーターになろうとしたり、
リッチな男を捕まえて結婚寸前までこぎつけたりもする。

ジャスミンはとにかく現実というか、ダメージに弱い女性で、
夫の浮気だとか、今自分が置かれている状況に打ちのめされる。
それでも、優雅な暮らしに戻ろうと努力もするし、
どうしようもなくて、紹介された歯医者の受付の仕事をしたり、
パソコン教室に通ったり、頑張る部分もあるんだけど、
その一方で、まるで息をするように嘘をつき、
自分の意に添わない人間を責め、
許せないものは全部ぶち壊して、生きていく。

妹のジンジャーの最後の身の翻し方だとか、
パーティで出会った最低男だとか。
人間って本当、どうしようもないよね!
っていう声が聞こえてくるかのようで、本当に、見終わった後、
うわーすげえものを見てしまったなあー
っていう気分がすごかった。

胸糞悪いし、哀れだし、滑稽でもあり、強いし、弱いし。
なんというか、人間の業の深さをありったけ詰め込んだ、
胸の底にズーンと残る映画でございました。名作。

2014-11-15(Sat)

「カジノ」

カジノ

マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロ再び!
ジョー・ペシもね♡
そしてシャロン・ストーン。ずんの飯尾のギャグを思い出して辛い。


まずはデ・ニーロが車に乗る→大爆発 というオープニング。
否が応にも期待は高まります。
炎の中、誰かが吹っ飛んでいく。ゆっくりと。
わお、デ・ニーロ吹っ飛ぶの!?みたいな。

ラスベガスの巨大なカジノを任され、そしてどうなったか。
爆発の後からゆっくりと語られていくこの作品、175分。なげえ。

デ・ニーロ演じるサム・ロススティーン通称エースは
とにかく鼻の利く男。
あらゆる情報に精通しており、あらゆるギャンブルに勝つ。
ジョー・ペシ演じるニッキーはエースの親友であり、
なにより先に手が出てしまう粗暴な男。

色々あってエースはカジノを任され、巨大な金のなる木へ育てていくも、
時間の流れだとか、金やら権力やら、色んな影響を受けながら
少しずつ崩壊していく。

今日、この映画を見ていて、生まれて初めて
「うっわ、シャロン・ストーンになりたい……」
と思いました。
シャロン・ストーンの役はジンジャー。
カジノでカモをひっかけては金を引き出し、身ぐるみはいで放り出す。
タチの悪いヒモから離れられず、エースから注がれた愛も信頼も
全部裏切って離れていくんだけども、
このジンジャーがとにかく良かった。

エースの冷静さ、自分の基準からまったくブレないところが非常に良い分、
ジンジャーとニッキーという、どうしようもない弱さを持つ人間が
際立って見えるというか。逆もまた然りなわけです。

人間も、時代も、なにもかも、ひとを取り巻く環境は変わっていくもので、
でもその中で容赦なく、なににも屈しないエースはカッコよかった。
でも弱くてどうしようもないところがあるジンジャーも、可愛らしかった。

このブレのなさ、「ヒート」でもそうだった。
こういうダンディがいいなって、心底思いました。

まとめがり映画はこれでおしまい。
ひと月に16本も観る生活はそろそろ厳しいかなー。