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2015-11-03(Tue)

「プロミストランド」

プロミストランド

マット・デイモン主演。
シェールガス発掘会社のやり手社員が、ガスの埋まっている田舎町に行って
契約を取り付けようとするも、邪魔が入ってあれやこれやする物語。

寂れ切った田舎町に住む人々を札束で叩いて契約を取り付けていくも、
ガスの採掘方法が100%安全とはいえないと主張する教授がいたり、
あからさまに袖の下を要求してくるヤツがいたり。
そんな輩もなんとかやり過ごしていく主人公スティーヴだったが、
そこにちょっと厄介な環境保護団体の男も絡んできてさあ大変。

地下にお宝が埋まっているところに住んでいるっていうのは
宝くじが当たったようなものかなあと思います。
田舎町ではいい学校もいい仕事もなくて、
大金をゲットできるのかと人々は喜び舞い上がる。
でも、危険かもしれないという話を聞き、
環境保護団体の男が吹聴する「実際にあった酷い話」に心が揺れて、
スティーヴは街の人たちから疎んじはじめられたりして。

この環境保護団体の男の正体がなんというか、
この世の無常そのものって感じの存在で悲しい。

こどもの将来のためならば、豊かな暮らしのためならばと、
お金が欲しいと正直に思う人。
先祖から引き継いできた土地を、自らの生きる場所だと信じて、
悪魔に魂を売れないと思う人。

でも結局、ガスが欲しい大企業にはそんなのは些細なことなんだよね。
色んな人がいても、全然関係ない。

一大企業のやり手社員のくせに、スティーヴにはやけにピュアなところがあって、
最後は会社の容赦のなさに打ちのめされてしまう。

彼が最後に語ったのは、この世の真実ではなくて、ただただ自分の素直な胸のうちだったんだろうなって。
静かな終わり方が心に沁みる。
話の作り自体はとてもシンプルかつ王道だけど、こういう素直な作品は良いものだと思いました。
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2015-10-30(Fri)

「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」「紙の月」

「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」

あらすじだけでワクワクしてしまう最低ぶり。すげー面白かったw

ベトナム戦争から帰ってきたとある兵士の書いた、
とても危険なミッションをもとにした実話を映画化するために、
現地へ撮影をしにいった主人公たち一行。
ところが、新人監督は個性的すぎる俳優たちを御しきれず、
スタッフとの連携もとれずに5日目にして予算を使い果たしてしまう。
同行していた原作者がキレて、主演俳優たちをジャングルへ置いて、
その様子を撮って映画にしようというムチャな作戦が決行されてしまう。

ベン・スティラーが監督で、あんまり彼の顔が好きじゃなかったんだけど
あまりにもこう、芸が細かくスレスレアウトな下世話ぶりが面白くてw

本編が始まる前に、架空のPVや映画の宣伝が入ってくるんだけど、
映画に出演するキャラクターたちがこういう仕事をしている、という
紹介になっていて、やたらと豪華でまず笑ってしまう。

開始早々ディスられまくる主人公と監督、そして無茶苦茶なプロデューサー。
一緒に戦場を駆けるハメになる仲間達も、設定がもうめちゃくちゃ。
ジャック・ブラックはヘロイン中毒のコメディ俳優。
ロバート・ダウニー・ジュニアに至ってはなぜか黒人役で、
出資者がまさかのハゲちらかしたトム・クルーズ。
みなさんこういう映画好きなのねw と思わされるノリノリぶりで、
そんな無茶な映画なのに爆破のシーンとかものすごく迫力があるのがすごい。
全然手抜きがなくて、でも内臓がハミだしているシーンとかは
いかにも造り物感バリバリでついふふっとしてしまう。
監督の首が飛んだシーンはどうしようかと思った。

撮影だと信じて進む俳優たちに、マジの兵士が襲い掛かり、
一行は麻薬の製造所へ乗り込むことになってしまい、
そこでももう、バカ満載。いい話もちゃんと混じってるんだけど、
アメリカらしい笑いが詰め込まれた話でした。

シンプル・ジャックはマズかないかって思ったんだけど、
調べてみたらやっぱりクレームがついたそうでw

や、でも面白かったしなにげに豪華キャストで、
でもちょっとお下劣すぎるし人体欠損の表現もあるので、
シャレのわかる方は見たらいいんじゃないかなあ。


もう一本、「紙の月」。
宮沢りえ主演、原作は角田光代さんっすね。

専業主婦の梨香が銀行で働き出して、ついつい魔が差して不倫・横領する人生転落話。

おおむねいい感じでした。
こういう薄幸そうな女性こそが「まさか」っていう大胆行動をするもんなのかもなあ、と思ったりして。
あの宮沢りえの美しくも慎ましやかなオーラが、役によくあってました。

ひとつだけ納得いかないのは、不倫に陥った経緯。
あれだけでそんなにソッコーでホテルに行ったりしますかね?っていうのは、あります。
夫がいて、ちょっと鈍そうだけど悪い人じゃなくて、っていう状況でね。
あまりにも早いというか。

そこ以外は良かったです。落ちて行く様に、人間の弱さを感じ、
ずぶずぶにはまってしまったら、もう思考能力なんて期待しないほうがいいんだなとか。
実際にああいう状況にハマる人がいたら、同じようにするんじゃないかと思いました。

でも、最後はいただけないな。あれは幻だったのかな。
ドラマ版の「OUT」でも思いましたけど、あっさりと海外逃亡に成功しちゃうっていうのはあんまり、
好みではありません。悪い人間はきっちり裁かれてほしい。

にしても、日常的に大金を触っている人というのは、
大島優子が演じていた役の子のように
「おかねがいっぱいでヤバイですー」って言ってるくらいが健全なのかなと思いましたとさ。

どんなに若い男がよくても、ヒモを養うのは絶対にダメ、っていう教訓もあり。
このどクズが!って思いながら最後まで見られました。

2015-10-29(Thu)

「セッションズ」とゾンビ3本

「セッションズ」

実話を元にした、障碍者のセックスについて描いた作品。
WOWOWで放送されたのはR15版でして、
ものっすごい大きなモザイクがかかっておりました。

主演はジョン・ホークス。セラピスト役にヘレン・ハント。

主人公のマークは6歳の時ポリオにかかり、
首から下は一切動かせず、一日のほとんどを呼吸器の中で過ごしている。
だが頭脳は明晰で、大学も出て、詩を書き、ライターもしている。
でも、ヘルパーがいないとなにもできない状態だったりします。

ある日やってきた二つの転機。
障碍者のセックスについて記事をかかないかと誘われたこと。
そして、通っている教会の神父が、変わったこと。

障碍を抱える人々にインタビューをしていくうちに、
自身はどうだ、一生経験しないまま、人と愛しあえないままでいいのかと
マークの中にぽっと火がともるのです。
でも、敬虔なカトリック信者でもあるので、倫理的にどうなのかとも悩む。
新しくやってきた神父はかなり砕けた、ユーモアのわかる人で、
それは婚前交渉だとか言いながらも「やってみたら」と背中を押し、
ことあるごとに話を聞き、マークの良き友人にもなってくれたりして。

態度の悪いヘルパーをクビにして、新しい人に来てもらい、
美しい女の子に恋をして、ふられて、また気の合うヘルパーに来てもらって。

マークは頭のいい、話のわかる男なのです。
呼吸器がなければ生きられない、ずっとストレッチャーにのせられたままでも、
人に愛される資質をもった男なのです。

そして出会ったのが、セックスセラピストであるところのシェリル。
プロとして、出来得る限りのことを彼女はしてくれるのですが、
その慈愛に満ちた様子がなんとも……。

自分を理解し誘ってくれる女神に恋してしまうマークと、
マークの人間性に惹かれつつも、仕事と割り切るシェリル。

ほのかに漂う恋の気配と、マークの自身への諦め、背負った運命の重さなどなど
売春婦とは違うというもののしている行為自体はそんなに変わらない、
難しい仕事をしているシェリルの、家庭とのバランスとか色々!

みんな優しいんですよ。前向きだし。
あんな素敵な神父さんがいるなら、私も教会に通ってもいいかもしれない。
ヘルパーの女の子もね。
あの体でもひとりで暮らしているマークと、それが当然のアメリカ社会などなど
考えるところはたくさんありました。

セックスがテーマで、脱童貞が人生にかなりの転機を与える話ではありますが、
いやらしさは皆無で、むしろおそろしく清らかな、人間の物語だと思います。

ヘレン・ハントが美しくてなあ。
恋愛小説家の時もとても良かったけど、今回も本当に、なんというか。
素敵でした。表現が難しいけど。とても良かった。


そして、WOWOWでやっていたB級ゾンビ映画三連発。

ロンドンゾンビ紀行

工事現場から謎のゾンビウイルスが出てきて、突然ロンドンはゾンビの街に。
銀行強盗をもくろんでいた若者・人質たちと、
その祖父のいる老人ホームで生き残ったメンツが、
なんとかゾンビの街から脱出するというお話。

爺さんたちが元気でなにより。
足の悪い爺さんはゾンビに追いつかれそうで大変だったけどw

老人とゾンビの足の速さが大体一緒、という点はイカしているので、
むしろ爺さんたちをもっとフィーチャーした方が良かったんじゃないかなあ。
最後の最後、死んだと見せかけてのフィーバーは笑ってしまった。
若者パートは邪魔だったかも。惜しい。

「リンカーンVSゾンビ」

思い付きで撮っただろう、と言いたくなるくらいのテキトー映画。
最初はハラハラしたんだけども……。
なんか、ゾンビがわらわら出てきて襲ってくるわけじゃあないし、
なにをどうしたいのかよくわからなかっというか、
あんまり考えてなかったんじゃないかなと思わせる作品。感想は特にない。

オール・チアリーダーズ・ダイ

タイトルとあらすじはいかしてるのに、肝心の内容が酷いw

とある高校のイケイケチアリーダーズのリーダーがうっかり事故死(真相はあとで)、
恋人だったアメフト部のリーダーはあっさり他の女に乗り換え、そして浮気。
そんなの酷い、テクなしの粗チンと彼女に罵られ、
怒ったリーダーはチアリーダーたちの乗った車に後ろから追突。
全員を崖の下に落としてぶっ殺したのだが、
チアリーダーのうちの一人が大好きなゴスっ娘が黒魔術でみんな蘇生!
その辺のおっさんを一人食い殺して、レッツリベンジ!

みたいな話なんだけど、どーにもこうにもオバカ度が足りないというか。
こういうアレな設定なのに、どうしてシリアスな流れにしたのかな。
ガールズのラブシーンがちょいちょいあるので、
ビッチ感漂うアメリカの女子高生が好きなひとならちょっと観ればいいかも?

っていうか、絶対カメラマンか監督が尻フェチだなと思った。
やたらとお尻をセクシーにとるんだもん。

最近にしてはCGのレベルが壮絶に低いので、
B級じゃなくてC級好きにお薦めです。

2015-10-21(Wed)

「アンリミテッド」

アンリミテッド

パルクールを使ってニューヨーク中をワー!
ってあらすじに書いてあったのでみてみるの巻。

最終的な感想は、ビミョーの一言でした。
確かに自転車や渋滞を利用してのアクションはかっこいいんだけど、
なにせスピード感が全然、アルティメットに比べて無さすぎると申しますか。
ダヴィッド・ベルの偉大さが浮き彫りになりました。

物語も結構どうでもいい感じというか。
悪い連中から借金をして暮らしているけなげな主人公が、
パルクールをやりたいと練習していたら、
グループでうわーっと来た連中と遭遇。
仕事道具の自転車を壊されてしまったのをきっかけにつるむようになり、
パルクールを使ってダーティな仕事を始め、
ヒロインにつきまとってイチャイチャ、
そして大金がかかった仕事で大失敗……とまあ、
割とよくある流れ。

すべての要素において、もっといい作品が既にあるっていうのが残念。
トワイライトシリーズをみてもいないので、思い入れも全然なくてね。
アクション、ちょっとはいいんだけど、サイコーかと言われるとNOです。
時間が短いのが良かったのか、それとも悪かったのか。
もうちょっと頑張れるかなと思った作品でした。

2015-10-19(Mon)

「ロストID」

「ロストID」

2012年のオランダ映画。
オランダやデンマークのあたりが作っている映画は割とクレイジーな印象が強いような、そんな昨今ですが、こちらは割とノーマルなサスペンスだったような。

主人公は敏腕コンサルタントで、
記者会見の台詞とか考えてるような仕事。
妻とは離婚、息子は愛しているものの別居中でなかなか会えない。

そんなある日、事故を起こして川の中に沈んでいる車を発見。
中で死んでいたのが自分の顧客で、警察に通報すると、
なぜか車は自分のものというデータが出てきて、容疑者にされてしまう。

すべての情報が一点に集まっていると(マイナンバー的なやつ)、
悪意のある人間に書き換えられた場合ものすごく困ることになるよね、
という話がど真ん中にまずある。
いちいち違う機関が証書を発行してくれるっていうのは面倒なんだけど、
ひょっとしたらすごく安心なことなのかもしれません。

主人公のデータは次々に書き換えられて、
買ってもいない家のローンが滞納していると告げられたり、
銀行口座からは金を動かされ、散々な目にあってしまう。

誰を信じたらいいのか、どうやって信じてもらえばいいのか。
自分の基本になる情報をでたらめにされた主人公は必死になって戦うのですが、
敵の正体が割と強大だし、開き直られちゃうしでまったくもっていいのかソレって気分に。
面白くなくはないけど、ちょっと気の利かない作りだったかな。
でも、市井の人間がこういう事件に巻き込まれた場合、
こんな風にわーっと葬り去られてしまう可能性は高いのかもしれません……。

でも最後に頑張り屋のリシャールが爆殺されるのは頂けないかな。
細かい部分がざっくりしすぎていて、もうちょっとなんか欲しかったかも。
でもこの乱暴に投げるようなオチの付け方はオランダ的というか、
これがまたいいような気がしている自分がこわい。