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2016-06-09(Thu)

「エレファント・ソング」

エレファント・ソング

2014年、カナダの作品。日本での公開は2015年だったのかな。
いや、えらいもの見ちゃったな……というのが正直なところ。

舞台は精神科の病院。
ひとりの医師が失踪し、彼の行方を唯一知っているであろう人物は
入院患者のマイケルだけ。
院長のグリーンは聴取しますが、マイケルに翻弄され続け、
そして最後には衝撃の展開が!

マジで衝撃の展開でやんの……。って思いました。
あらすじを書いてしまうとかなりしょうもないことになると思うので
どんな作品か知りたい方は公式サイトを見て、
興味を惹かれたら見てみたらよろしいのではと思います。

先日見た「トム・アット・ザ・ファーム」を撮った監督が主演。
監督としてもすぐれているのに、どうやら役者としても非凡な才能をお持ちのようです。
感性の鋭い方なんだろうなあって、
早死にしてしまいそうで心配になるほどだよ……。



幼い頃に愛情を与えられなかった人生というものに、
私は特別に興味があるのかもしれません。
題材として興味深いと感じているのではなくてですね。
愛情を与えられなかった人間はどうなってしまうのか
どうしたら救えるのか、知りたいし納得したいのだと思います。


グリーン院長、ダンディでステキでした。
マイケルの壊れた様子と、内に秘めた深い悲しみ。
よく伝わってきて、見ていて辛くなるほどでした。

舞台となる病院の薄暗さと、思い出の映像の美しさのコントラストもいい。
とても重たい内容、テーマの作品ですが、
たまにはこういうのも見て、人間の不完全さに思いを馳せるのもいいんじゃないかなって
そんな風に思うんです。
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2016-06-06(Mon)

「ライド・アロング ~相棒見習い~」

「ライド・アロング ~相棒見習い~」

2014年ハリウッド制作。
ちょっとチビっこな高校の警備員ベンは、いとしい恋人のアンジェラと同棲中。
そろそろ結婚したいけど、彼女のアニキに嫌われてしまっている。
アニキはものっすごい強面のデカで、なんとか許してもらおうと
警察学校へ入学して刑事になってやるんだー!とただいま気合をいれているところ。

ところがやっぱり溝が埋まらなくて、
刑事になるというベンに、じゃあ24時間俺についてこい、というアニキのジェームズ。
解決するのが厄介な面倒ごとをベンに処理するようにいい、
それでなんとかあきらめさせようとたくらんだジェームズだったんだけど
企みに気が付いた上、ずっと追いかけていた悪の元締め「オマール」の尻尾をちょうどつかんじゃって大ピンチ!

というバディムービー。
いやー、とにかく、ジェームズを演じているアイス・キューブの顔が強いw
「21ジャンプストリート」でも大活躍しておりましたけど、
とにかく迫力があるよね。頑固そうなのもいい。
そしてベンがとにかくやかましい。口の減らないFPSゲーマーなんだけど
それが意外なところで特技として役立つっていうのも良かった。

町の巨悪であるところのオマール、
あーこの顔誰だっけー知ってる知ってるうー
って思っていたら、ローレンス・フィッシュバーン。
モーフィアスだったんだねえ。彼も良かったです。はい。

ベンがちょっとやかましすぎる以外はとてもよくできたわかりやすいエンタメ作。
これがDVDスルーなんだなあっていうね……。
日本ではこう、確かに、アイス・キューブったってだれよってなりそうで
仕方ないとは思いますけども。面白いのになー。
爆発もド派手で良かったけどなあ。楽しいよねえ。

最初は水と油だった二人が、ゆっくりと理解しあっていく様子とか、
適度な下ネタと笑い、バランスのいい作品でした。
最後まで油断できない展開で、上々ですよコレ。
お父さんとかと一緒にみたら間違いなく盛り上がりますな。

2016-06-02(Thu)

「トム・アット・ザ・ファーム」

トム・アット・ザ・ファーム

2014年の作品。
おフランスな話かと思ったら、舞台はカナダでした。
確かにカナダって英語とフランス語が公用語なんだったっけ……みたいな感じ。

25歳、ゲイの青年であるところのトムは、
恋人を失い、葬式へ出るために彼の実家へと赴く。
恋人ギヨームの実家は田舎の農場で、
彼の母親と兄が二人でひっそりと暮らしている様子。

そんな理由で赴いたトムだったけど、
「ギヨームにはサラという名の恋人がいる」ことになっていて、
母親がショックを受けないよう、恋愛関係であったことは
決して話すなよ、と兄のフランシスからまず先制パンチ。
友人代表として弔辞を頼まれるんだけど、
そこはやっぱり「恋人」だったわけで、
すっかり複雑な心境になったトムはうまく話せない。

フランシスは弔辞を読めなかったトムをなじり、
農場を手伝え、と滞在するように促す。
このアニキが非常にDVっ気たっぷりの男で、
暴力を振るう→優しくする のコンボでトムを追い詰める
というか、取り込んでいってしまうんです。
トムの方も、ギヨームの面影を感じてしまってフランシスから離れられない。
同性愛と、共依存、田舎特有の閉塞感、狭い人間関係、
差別的、閉鎖的とまあとにかく、二人はぴったりと寄り添って
どんどんどんどん息苦しくなっていくんですが。

トムはね、恋人を失った悲愴感とか、自分が認められていない、
同性愛者を受け入れてもらえない現実に少し酔ってたんじゃないかと思うんですが。

ギヨームの恋人役であるサラを、トムは呼ぶんですよ。
サラはあまり乗り気じゃないものの、負い目(借金)があって、仕方なくやってくる。
ようやく来たのか、と最初こそ優しい顔をしていた母も、
だんだんと怒りが爆発していく。
息子の死は秘密に包まれているから。
どうして死んだのか、だれといたのか、どうして恋人がすぐに来ないのか、
どうして家に帰ってこなくなったのか、なんでなんでなんで!と爆発してしまう。

母の渦巻く怒りから逃れ、三人は家を出るんですけども。
その途中でトムも現実を知らされるんです。
ギヨームがどれだけ手の早い男だったか。男だけじゃなく、女にもちょっかいを出していてね。
更に、文句を言っていたフランシスともイチャつき始めちゃうんです。

一人意気消沈してバーへ寄ると、
やっぱり田舎の店だから、どこから来たのか問われてしまう。
今はギヨームの家にいると話すと、フランシスが出禁になっていることと
その理由を聞くことになって。

それで、トムはひとりで逃げ出すんです。
洗脳が解けたような感じなんだろうな。

フランシスの声を聴きながら、必死に闇の中を逃げて、そして
もといた町へと帰っていくんだけどね。

フランシスの愛情表現は、暴力しかないんですよね。
弟のギヨームは、写真でしか出てきません。
しかも酔っぱらってサラとディープキスしてる時のしかない。

トムが見ていた愛する人ではなかったギヨームと、
暴力でしか人と繋がれないフランシス、
という姿が透けて見えるように思いました。
一人で立つ勇気はないから、母親のもとで暮らしているけど、それは不満で、
弟の恋人には暴力を振るう。だってとても人には言えない存在であるところの
同性愛者なんだから。みたいな風に受け取れました。

だけど俺様は優しいから許してやるよ、というのがフランシスのスタイル。
甘い、優しい言葉と暴力で相手を支配し、自分の下に置く。
そういう相手がいないとダメな男なんでしょう。

そんな男に、一瞬でも愛情めいたものを感じてしまった自分に、
トムはすっかり嫌になってしまったようでした。
フランシスに告げた通り、「うんざり」だったんでしょうね。
恋人なんだと名乗りでることも出来ず、
だけど親友としてふるまうことも出来ず、
母親を悲しませてしまった、ギヨームに報いることができなかった、
そんな後悔に縛られていたけれど、だけど現実を見てみれば
案外大切にされてなかった自分がいて……。

みたいな。
最後の歌もちょっと意味深で、というか、
ラストでフランシスがとんでもない服を着ていて、
その辺の意味合いも込められているのかなと思いましたが、
そんなのはオマケに過ぎない、
人間の悲しい性をよく描いた映画であることだなあと感心いたしました……。

最初は、なんでこんなタイトルにしたのかなと思ったんだけど、
これはきっと、あえて、なんでしょうね。


監督がまだ25歳だとかでちょっとビックリしちゃった。

2016-06-01(Wed)

「デッドプール」

デッドプール

本日公開で、朝から行ってきました。
いつの間にかツイッターのタイムラインを侵食して
好き放題暴れているのを見ているうちに、
わー行かなきゃいけないかなこれはー みたいな気分になったので。
アメコミは読まないし、X-MENも熱心に追ったりしてないんですよ。
ちょっとくらいは見たことあるんだけど、程度なので
あんまり詳しくは語れないものの、だけどまーとにかく面白かった!

主演はライアン・レイノルズで、
「ハッピー・ボイス・キラー」で見せたあの哀愁はどこへやら。
愉快で不謹慎でめちゃくちゃで、かっこいいヒーローでしたよ。

物語は、どうやってデッドプールが生まれたのか。
彼がどうして戦うのか。
ついでに、憎い仇と、いとしい彼女とどうなったのかが
きれいにまとまった形になっております。

なにせテンポがいい。無駄なシーンがない。
アクションもキレがいい。見せ方もうまい。
キャラがブレないし、コメディだけど、ベタベタなアメリカンじゃなくてだいぶクール。

俺ちゃんことデッドプールはめちゃくちゃなんだけど、
暴れん坊でありながら一方ではものすごくピュアで、
そのギャップがどうしようもなくかわいいんだよね。

登場人物はすっきり最低限に抑えられているのでわかりやすい。
自虐も言うし、観客に語り掛けてきたりするけど、
このキャラとノリなら全然許せちゃうよね。

先着特典の手乗りデッドプールフィギュアももらって、
パンフレットも飛ぶように売れてまして、
こりゃほんと大ヒットだろーなってな感じ。
平日朝イチなのにいい大人が大量に来てるんだもん。


ところで、デッドプールはわけあって体がボロボロにただれちゃってるんですが
その状態の顔とか声が、なんだかすごくジム・キャリーっぽく感じました。
声が似てるのかなあ。同じカナダ出身だし、ぬらっと背が高いし、
テンションの高い演技だったからというのもあるのかもしれません。
コメディとしてもアクションとしても非常に良い出来で、
こりゃーいいや!って思うこの感覚、キック・アス以来かもしれない。

今回、字幕版をみたので、吹き替えも見に行ってみようかなーと思います。

デッドプールの彼女のヴァネッサもクレイジーでよかったよー。
なかなか隙のない一品でした。残酷描写は結構あるので、苦手な人は注意かも。

2016-05-31(Tue)

「イーオン・フラックス」「監禁 レディ・ベンジェンス」

書くのを忘れていたのがあったので、二本まとめてメモリー。

まずは「イーオン・フラックス」

どういうタイトルなのかなーって思っていたら、主人公の名前でした。
主演はシャーリーズ・セロンで、2005年の作品。もう11年も前か。

最初はアニメ映画、次にコミカライズ、からの実写化だったようで。
そう聞くと納得いくかもしれない。SFなんですが、コミック的だと思ったから。

SFなんだけど、機械と自然の融合というか、
なんともいえない和のテイストがあちこちに散らばっていて
映像は結構面白い感じ。
だけど肝心の物語はそこまででもないかなあ。

致死性のウイルスが蔓延して、人類が滅亡の危機に追いやられた未来。
ワクチンの開発でギリ生き残った人類は
徹底的に管理された都市で暮らしているんだけど、
ワクチン製作者であるグッドチャイルドの一族に支配された状況をよしとせず
「モニカン」と呼ばれる反逆組織が政府をひっくり返してやろうとしている

みたいな話がまずナレーションで語られちゃうのが良くない。
ここでちょっぴりげんなり。
とはいえ、主人公であるイーオンはもーびっくりするほどの美女なんすよ。
シャーリーズ・セロンすごいな!って思っていれば
最後まで楽しく見られるんじゃないかな。

イーオンの妹ウーナが妊娠していたにも関わらず殺され、
イーオンは復讐を強く誓う。
ところが、人類に隠された秘密があって、それを知ったイーオンは……

ってな物語です。
割と、日本のコミックにありがちというか。目新しさはないかなって。
アクションはまあまあなんだけど、そこまで絶賛するほどでもないです。
とはいえ、シャーリーズ・セロンは美しい……ので問題ない。

という感じで、シャーリーズ・セロンのイメージビデオみたいな感覚です。


もう一本。
「監禁 レディ・ベンジェンス」

2015年、アメリカの作品。
タイトル通りなんですよ。
監禁された女たちの復讐です。

彼と二人で幸せな日々を送っていた主人公イブ。
ところがある日、唐突に拉致監禁されてしまう。
地獄のような生活が六か月も続いて、ある日とうとう反撃に出て、
自分を閉じ込めていた男フィルをボッコボコに。
鎖を解いて外へ出てみると、なーんにもない荒野の一軒家。
電話も通じず、これでは脱出できない。
家探しをして車のキーを探していると、
どうやら自分以外にも監禁されている女の子が複数いることがわかって……。

という話。おっそろしく胸糞が悪い話で、まったくひとにおすすめできないw
最終的にはタイトル通りになるんですけれども、
その経過があまりにも残酷でね。これはちょっと、って引きました……。

まず、最初に監禁された時に、妹も一緒だった。
ところが、妹は監禁生活に耐えられず(暴行も加えられているんですよ)
命を落としてしまっているんだよね。これがもう酷い。

イブはフィルを縛り、武器をもってほかの女の子を解放するように言う。
だけど、居場所を知ってるのは自分だけだよ~~~んとまったく反省がなく、
しかもそのせいで強く出られないっていう胸糞展開。
それでもなんとか別の監禁場所へ向かうも、
閉じ込められていた女の子たちの精神状態が非常に悪くて、
全然助けられないんす。それに対して、犯人側が「ほら言ったでしょー?」とまた余裕しゃくしゃく。

胸糞悪いドM体験がしたい人なら、見たらいいのかなー。

一応、救える相手もいるし、自分の彼氏の行方もわかる、
監禁野郎たち(結構な組織的犯行)もある程度やっつけられる
事件は大きく展開するし、最後の最後は「よし!やれ!」ってなるんだけど
途中の展開がひどすぎて胸やけしちゃうのでね。

痛めつけられ、壊れてしまった女の子とか
そういうのが大好物な人なら見たらいいんじゃないかなーって思うけど
こんな映画がいっぱい増えるのは困るなあって。そんな風に感じました。

制作スタジオの名前が結構真っ黒い感じで、なるほどではありましたよ。