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2017-03-26(Sun)

「SING」

SING

ただいま絶賛公開中、イルミネーションの最新作を見てきました。
ちびっこ引率のため、吹き替え版で。
正直字幕で見たかったんですが、吹き替え版もみなさんお上手でした。
MISIAを起用とかステキだよね……と言える出来でしたよ。



潰れかけの劇場支配人、バスター・ムーン。
銀行からの電話を避けまくるさえないコアラはなんとか劇場を再び盛り上げたくて
新人シンガーのオーディションを行うことに。

なんとかかき集めた全財産1000ドルを賞金にしようとするも、
200歳のカメレオン秘書にお願いして作ったチラシにはなんと
10万ドルの文字が。
そんなにもらえるなら、と参加者が殺到して嬉しいコアラ。
素晴らしい歌い手を選んで、そしてとうとうミスに気が付いて。
でも、今更お金がないなんて言えない。
持ち前のポジティブシンキングでなんとかできるさ、と
隠したままステージを実現しようとしていくのだが……。

というお話。

もっともっと楽しいだけの話かと思いきや、
夢を持つことの素晴らしさと現実の厳しさ、
自分の弱さや、生活していく上での立ち位置、
世間の目の厳しさなんかが描かれておりまして
それでいて、あらゆる動物たちがまじりあって暮らしているという世界観がマッチして
おもしろい作品になっているのだなあって感心しました。

父親がギャングで、その手伝いをさせられているゴリラのジョニー。
彼氏と二人で夢を見ていたけど、破れ、一人で立ち上がるヤマアラシのアッシュ。
実力はあるけど口も行動も軽くて、自業自得ながらも憎めないネズミのマイク。
25人もの子供を抱えるブタの主婦、ロジータ。
誰よりも上手で歌を愛しているのに、恥ずかしがり屋で実力を出せない象のミーナ。

その他脇役のキャラクターたちも非常にいい感じで、
バスター・ムーンの友人であるニート羊のエディもすごくポイントが高い。

そしてそして、なにより感心したのがロジータと組むことになる
もう一人のブタ、グンターですよ。
ド派手な金色のジャージで歌い踊り、ただ一人だけ普段の暮らしがクローズアップされないんです。
あいつなんかヘンな奴だなあって思われながら暮らしているであろうグンター。
クローズアップされないのでキャラクターとして浅いわけですが
逆にすごくミステリアスで、描かれないことがとてもよく見えてくるわけです。

歌はみんな上手だし、映像もすごくいい。
ジョニーの父ちゃんの野性味あふれる動きが素敵でねえ。
やっぱゴリラっていいよなあって思うんです。

物語としてはとても王道的なんですが、
それがとても清々しくてね。
落ち込んだ時なんかに見たい作品だなあって思いました。
エナジームービーと銘打っているのは間違いではないです。
字幕版も見に行こうかなあ。どうしようかなあ!

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2017-02-28(Tue)

「君に読む物語」

「君に読む物語」

2004年アメリカの映画。
小説が原作で、なんともピュアなラブストーリーなのです。

LA LA LANDを見て、ライアン・ゴズリングのイメージが変わったので
彼の代表作(多分)も見てみようかなーって。

舞台は老人の施設で、穏やかな男性が女性に読み聞かせをしている。
むかしむかし、お互いの生まれに邪魔されながらも愛に生きた二人がいた。
彼らの辿った人生を丁寧に綴った物語を、男はゆっくりと読んでいく。

聞かされている女性は認知症だと、少しずつわかっていく。
男性も体の調子はよくなさそうで、最近心臓の発作に見舞われたんだと。
そして男性は施設に入る必要はないのに、女性のそばにいたいからあえて入所しているのがわかる。

二人の愛の物語と、少しずつ読み進められていくノート。
かわるがわる映し出されていく光景に、
ああ、これはこの二人、年老いた二人の歩んだ人生だったんだ……とわかる。

貧しい青年のノアは、夏の間だけ地元にやってきたアリーに恋をする。
ひとめぼれしたノアはアリーに自分をアピールしまくって、
ぶつかり合いながら、強く強く惹かれて愛し合うようになるのです。

ところが生まれが違うし、進路も違う。
肉体労働者をクズと呼ぶような両親にアリーは反発するも、
そこまで言われてしまっては……とノアはすっかりぐったり。
私と一緒に来てよと言われても、いくら愛していてもまだ17歳。
すべてを捨てたとしても幸せにできる自信がなくて、
揺れている間にアリーは連れ戻されてしまいます。

それでも、愛は乗り越えられるんだ……。
というのがこの話のテーマんでしょうね。
身分とか、将来の不安とかも乗り越えて、
そして時が過ぎた後には、消えていく記憶、老化の容赦なき忘却をも
二人は乗り越えるんです。

それでエンド。おそろしくうつくしい終わり。
二人のロマンチックな愛にふさわしい、美しすぎる終わり方ですね。

アリーを演じていたレイチェル・マクアダムスがかわいいのなんの。
ちょっと鼻っ柱の強いところもあるお嬢さん、でした。かわいかった。
婚約者はたまったもんじゃなかっただろうけどね。

愛した人だから、その幸せを願いたい。
そんな思いがこの世のすべての人の中にあれば、
ストーカー事件なんて起こらないんでしょうね。
自分を見てくれないならイラナイ、なんて
なんと愛のない考えなのでしょう……

と、続けてラブストーリーを見て考えてしまいました。
たまにはこんなピュアピュアなものもいいよね、みたいな。

本当に愛する人がいるなら、このラストはうらやましいんじゃないかなあ。
人生、こんな終わり方ができたら、どれだけ幸せでしょうね。

2017-02-27(Mon)

「LA LA LAND」

LA LA LAND

ただ今絶賛上演中の、アカデミー賞13部門14ノミネート!の作品を見てきました。
今日ちょうどアカデミー賞の発表があって、監督賞、主演女優賞なんかをゲット。
デイミアン監督おめでとうございます。
「セッション」がすごかったので、これも見てみよう!となって、映画館で。


こだわりが強くて売れないジャズのピアニスト・セバスチャンと、
女優になりたいけどオーディションで連敗中のミア。
2人が出会って、最初はお互いにいけすかない奴と思っていたのに、
夢を追っているんだと知って理解を深め合い、愛をはぐくんでいくんだけど……

ってなお話。
予告編でやっている華やかさ、ロマンチックさは画面で存分にみられるけど、
最終的には大人の、とても素敵なラブストーリーであったところだなあって感じです。
ミュージカルというか、音楽を効果的に使ったラブロマンスというべきか。


夢を追う、信じる道を進み続けていくって大変なことでね。
途中で傷ついたり、くじけたり、すべて投げ出したくなったりするのは当たり前。
夢は大きければ大きい程叶えるのは困難だし、
愛する人が隣にいるのはとても幸せなことだけど、
人間同士、二人で歩調を合わせて進み続けるには、
たくさんの現実と向き合わなきゃならないってことでして。

みたいな話なんだけど、終わり方はものすごくキレイで、
なんか知らないうちに泣いてましたよ。

美しいんじゃなくて、とてもきれいな話でした、と表現したい感じ。

お互いを思うがゆえに信念を曲げるし、理解しているからこそ痛いことも言う。
だけど切られれば痛いし、信念を曲げてまで尽くしたのにって思いも湧き上がる。

現実の為に道を逸れ、多くを手に入れたセバスチャン。
私もと続いて冒険したけれど、夢を見失ってしまうミア。
だけどそれも、人生のために必要な経験で
最後は二人して夢を叶えて、幸せなんだけど
その道の途中で捨てなければならないものもあって。

二人がおたがいに愛を伝えるシーンがあって、ラスト。
あの言葉は本当だと思うんだよね。
ああいう愛の形もあるんだと思うの。
本当に大切だからこそ、胸の中にしまいこんで、
目と目があった瞬間、思い出のメロディが流れ出した途端に
もっともっと幸せだったかもしれない人生について考えてしまうほどの
強い強い絆っていうんでしょうかね。
最後の二人のほんの少しの笑みが、
強い愛の結晶化っていうのかな。
愛は宝石になって、心の中にしまえるものなのかもしれない、
なんて思いましたね。本当に。

とにかく、エマ・ストーンがかわいい。
子猫みたいで超かわいい。
ライアン・ゴズリングに関しては「オンリー・ゴッド」しか見てないから
腕が蘇ってよかったなみたいな気分なんですけど、
ちょっと偏屈なセバスチャンを演じるのにピッタリだったと思います。

久しぶりに気持ちのいいラブストーリーを見たなあって思います。
現実的だけど、夢があって、優しくて、辛くて、最後はなんだかほっとしちゃうっていう。
カメラワークがすごく良くて、見ごたえがありました。
撮影賞も取ってて、納得です。

2017-02-22(Wed)

「ヒメアノ~ル」

「ヒメアノ~ル」

みてみました。2016年の邦画で、原作は未読。
主演は森田剛で、濱田岳、ムロツヨシ、佐津川愛美さんがメインのキャスト。

いやね、本当にね。
森田剛映画初主演って書いてあって。
よくこんな役引き受けたなあって、最後まで見てしみじみ思いました。

内容はなんとなくわかっていたものの、
途中でいったん恐ろしすぎてみるのやめたんですよ。



濱田岳演じる岡田君は清掃のアルバイトをしているしがない青年でして、
ムロツヨシ演じる安藤というちょっぴりウザい先輩に絡まれながら日々を過ごしている。
そんな安藤先輩が恋に落ちたのはカフェの店員のユカちゃん。
ユカちゃん目当てのカフェ通いに付き合っていると、
どうやら彼女にストーカーがいるんだという話になる。
その男が、森田剛演じる森田君。
岡田君の高校の時の同級生で、ちょっとだけ仲良くしていたこともあったけど
森田への壮絶ないじめがきっかけで疎遠になってしまった……という間柄。

森田へ話しかけ、連絡先を交換する岡田。
そんな彼を見ていたユカちゃんに、あの人の知り合いですか?と声をかけられる。
ビビリな安藤に付き合っているうちに、一緒に飲みに行ったりするようになり、
結果安藤はフラれて、ユカちゃんからまさかの告白を受けることになる岡田。
初めてのエロかわいい彼女にすっかり浮かれた岡田君だったが、
彼女をストーキングしている森田が実はブレーキのぶっ壊れた最悪のサイコ殺人鬼で。

というお話なんです。
森田は本当に、なんのきっかけもなく、いや、ちょっとイラついたりするんだけど
その「ちょっと」だけでものすごくあっさり人を殺しちゃうんです。
高校の時にあったいじめがきっかけで心が壊れてしまったのか、
なんのためらいもなく包丁を握りしめ、胸に突き刺し、
ほんのちょっと目に入っただけの相手を殺し続けていく。

っていう話でね。
彼がちょっとだけ目が合うOLさん、って登場人物が出たシーンですよ。
ああ、これ、殺されるんじゃないの?って思ったら
続きが見られなくなっちゃったんですよね。恐ろしくて。

そこでいったんとめて、2日置いてから続きを見ました。いやいや……。

で、最後までたどり着いて、
正直途中の暴力の嵐は本当にひどくてね、
こんな人類は世界にいないでほしいなって真剣に思ったんですけど、
森田のウソをつく様子、過剰なまでに他人に攻撃的な様子が、
全部自分を守るためだったのかなって感じたんですよ。
世界は自分に厳しすぎるから、修正かけてるんだろうなって。
「ハッピー・ボイス・キラー」でも思ったんですけど、
心が壊れるような体験をしたら、この世じゃマトモに生きていけないですよね。

最近、本当に今更なんですけども、
自閉症児の子育てを描いた「光とともに……」って漫画を読んだんです。
これだけで全部理解できるとはもちろん思ってはいないんですけど、
障害を持って生まれた人たちが時々不思議な行動に走るのも、
やっぱり自分を守るためだよなあって思いまして。
世界を自分に引き寄せてなきゃあ、だって、世界はそれぞれにあわせてくれないもんなあ……って。


もちろん、殺人はダメなんですよ。
あんなにも無慈悲な行いが存在していてはいけない。
森田の暴走殺人ロードは休息なしでどこまでも続いていって、
女性はほぼレイプされるし、男はほぼ息の根を止められちゃうっていう恐ろしい結果。
途中で被害にあったOLさんの描写が恐ろしくてさあ!
彼女は、腹いせに殺されてしまったのか、それともお構いなしに襲われちゃったのか……。
そしてひとつ思うのが、ゆすられていた同級生の彼女ですよ。
彼女だけはレイプされなかったんだよね。
見た目が好みじゃなかったからなんじゃないかなあって思ったんだけど
どうなんだろうね。ほかにも理由はありそうなんだけど
(きっかけになった事件だし、他の女性は犯したいから狙ったようでもある)

まあ、それはどうでもいいポイントなんですけども……。

森田剛の死んだ目がすごくて。
これからもっと活躍してほしいなと心底思わされる出来でした。
ムロツヨシもこの路線で行くべきだよなと思ったし、
ユカちゃんのあのエロさはすごいなと感じたし、
そしてもう一人の主役である濱田君は、
あのビジュアルのせいで女性に慣れてない純朴男の役を任されがちだなと。
本当はリア充なのになあって思ったりしました。

最後の最後で、森田君はぶっ壊れる前の心を取り戻します。
それがとてもつらいと、岡田君が思ってくれたのが本当によかった。
なりたくてなったわけじゃない殺人鬼には、ひとかけらくらい救いがあってもいいよね。
そんな風に考えさせられちゃう、いろんな意味で恐ろしい映画だったと思いました。

どうにかなりませんかね。
いじめをする心理にならない方法とか、教育法とか、
そっちからアプローチして悲劇を減らすことって、できないのかなあ。
ということも考えてしまいました。



恐ろしいけど、最後は物悲しい気分になる。いい映画ってことなんじゃないかな。
残酷描写はハンパないので、あまり若い方にはオススメできません。

2017-02-18(Sat)

「ロック・ザ・カスバ!」

ロック・ザ・カスバ!

2015年のアメリカ映画。

冴えない芸能マネージャーのリッチーが、
アメリカ軍の慰問のためにアフガニスタンに訪れる。
マネージャーをしているのはロニーという女性歌手なんだけど
彼女はこんな仕事はもちろんイヤ。
危険地帯ゆえにギャラは高くなり、それに目がくらんだリッチーだったけど
ロニーは彼の荷物を持ってトンズラしてしまう。

パスポートも航空券もなくなってカブールに取り残されるリッチー。
そこで巻き込まれたある黒い仕事で行った先で、
とても歌のうまいサリーマという少女に出会う。


その歌声にすっかり心とらわれて、
アフガニスタンで放映されている「アフガン・スター」という番組に
出して優勝させようとするも、
そもそも女性が人前で歌うこと自体がありえない現象という風習でして。

あんなにも素晴らしい歌声なのに。
認められないなんておかしい。
自由の国アメリカから来た男はサリーマを説得し、
「アフガン・スター」に出演させるのだが……


という話。
実話をベースに描かれているんですよね。
実際に、女性でありながら「アフガン・スター」に出演し、
物議をかもした方がいらっしゃったようなので。
保守的な層からは命すら狙われ、一族が根絶やしにされそうなほどの状態。
にも拘わらず、彼女は出演したんです。
女性をしばる厳しすぎる風習を破るために。

ただのコメディかと思記や、そうでもなかったですかね。
面白かったんだけどね、ブルース・ウィリスの使い方とか。

男女の平等どころじゃない世界で、
ただ歌うだけのことに命を賭けた勇敢な女性と、
彼女の手を取って高く掲げた男の物語でした。

とてもあやしげなケイト・ハドソンの役どころもすごくよくて、
リッチーとの組み合わせは絵になりましたねー。

うだつのあがらないマネージャーが、自分のすべてを賭けて立ち上がる。
そういう映画です。
誰かが命を賭けてくれたから、自分もそうしようと思える。

最後に歌った歌も良かったねー。なんだか涙が出ちゃいました。

勇気が伝染し、心を動かす話。いいものみました。