「
ケープタウン」
あらすじに惹かれてみてみると、とんでもなくしんどい映画でした……。
2013年の作品。主演はオーランド・ブルーム。
発端は、植物園で発見された若い女性の惨殺死体。
元ラグビー選手の娘は、薬物を摂取し、レイプされた上で殺されていた。
主人公のブライアンは刑事で、同僚のアリと一緒に捜査を始めるが、
麻薬どころかとんでもない凶悪な犯罪組織が暗躍していて……
みたいな感じ。
麻薬の売人と暴力だけではなく、それ以上に深い深い闇が待ち受けていて、
映像的にもものすごく重たく、ヤクなんかすべてのオマケでしかないっていう
容赦のなさで結構な衝撃を受ける作品でした。
「裏切りの獣たち」でも描かれた南アフリカの悲惨さですが、
こっちの方がもっと大変。
この地で警察の仕事を引き受けるには、よほど強い精神がないとダメなんじゃないかな……。
ブライアンもアリも家族を巻き込まれ、また黒幕の作ろうとしていた
悪魔の薬の正体に愕然。
大切なひと、尊い命が失われ、アリは復讐の鬼となり、
悪は一掃されるものの、あまりの惨状に言葉もないよってなもんでした。
地獄って存在するんだなって。思います。多分これは現実の話なのでしょう。
平和な日本からでは想像もつかない、悲しい世界の話でした。辛い。
でも人は、許せるものなのかな……。複雑な気分になります。
「ブラック・レイン」
1989年の日米警察VSヤクザのアレ。
あんまり興味がなかったんだけど、いい機会だし見てみようかなと。
主演はマイケル・ダグラスで、直前に「オーシャンズ11」を見ていて、
アンディ・ガルシア超かっこいいと思っていたので出てきて嬉しかったけど……。
主人公のニックはニューヨークの警官で、強い正義感の持ち主。
離婚しており、子供の養育費にはちょっと困っている彼なんだけども、
ちょうどゴタゴタがあった後に入ったレストランで、白昼堂々殺人事件が発生。
日本人が日本人をどうどうとぶっ殺す(しかも刃物で)あぶない犯人を追いかけ、
散々追いかけた末に無事逮捕。
正義の鉄槌を食らわせてやりたいのに、日本に送り返さなければならず、
ついでにゴタゴタがあったせいで移送の仕事を任されることに。
相棒のチャーリー(アンディ・ガルシア)とともに日本について、
無事に犯人を引き渡した……と思いきや、それがニセ警官で、
大阪府警からは散々言われてしまう。日本語がわからないからって。
どっちが悪いんだと揉めたあと、このまま帰っていられるか!と怒るニック。
捜査に参加させろとゴネて、監視役の刑事と一緒ならいいよと、
松本警部補が二人の通訳兼お目付け役に。
いままで全然気にしたことがなかったんだけど、
高倉健ってすごくいい役者だったのだなあ……と本当に沁みました。
生真面目で、正義感が強くて、友情も大事にして、でも組織も大切だし……と。
ニューヨークから来た二人の刑事の自由さをうらやましく思ったのか、
ちょいちょい揉めたものの三人は仲良くなる。クラブで一緒に歌って、打ち解ける。
下の名前で「マサ」と呼ばれるようになり、
オシャレなネクタイをチャーリーからもらったりとか。
そんな楽しい一夜の支払いは府警のツケにしてもらった帰り。
自分を逮捕したアメリカ野郎が気に入らないのか、
凶悪なヤクザの男、アメリカでも大暴れしたスーパーバイオレンスこと佐藤が
部下を引き連れてやって来て、チャーリーがやられてしまうという流れ。
タイトルである「ブラック・レイン」の意味。
ヤクザ同士の抗争と、日本の警察の組織の在り方などなど、
描いているものはやまのようにあって、
最後の暴れぶりときたらもう……。
日本の監修がよく行き届いているのだろうな、と思わされる、
ヘンテコジャパニーズが出て来ない感じが良いものの、
ところどころ日本のキャストの演技がすげえヘタクソじゃない?という点もあり
(あくまでその他大勢の人達ですけども)
にしても、高倉健ですよ。松田優作のクレイジー感も凄かったんですけども、
高倉健がどうしてあんなにも愛されるのかが一発でわかったというか。
魅力が伝わり過ぎて、いまさら過ぎて恥ずかしいくらい。
アンディ・ガルシアの人の好さそうな感じも良いし、
健さんが「ニックさん」「チャーリーさん」って言うのもいい。
アクションはバイオレンスで、そのバイオレンスの感じも少し邦画っぽくて、
でも全然嫌じゃなくて、見て良かったなあと思いました。
色んな人が出てて、結構びっくりしたけど、ホント映画ファンからしたら今更なんだろな。