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2015-08-15(Sat)

「裏切りの獣たち」

裏切りの獣たち

南アフリカの作品。
危険な潜入捜査を行い、また一人悪を捕まえた警官チリと相棒のシューズ。
ところが期待していた報奨金はもらえず
(チームを無視し、独断で動いたからという理由でもらえない)
やってられるかとすっかりやさぐれてしまう。

今度は許可ももらわずに勝手に潜入捜査を始め、
悪人たちの現金輸送車襲撃計画に参加し、
それをかすめ取ってしまおうと考えているチリ。
ところが、真面目なシューズは渋い顔。
もうすぐ子供が生まれるのに、真面目にやっている自分たちは貧しいじゃないか。
チリは散々訴えて、とうとうシューズの心が動く。

そして計画が実施されようとした時、チリたちのプランにも大きな失敗が起きて……

という話。
前提として、舞台が南アフリカであるというのが大きなポイント。
日本でだって大小さまざまな犯罪が日々起きているわけですが、
南アフリカは本当に犯罪発生率が高い。
強盗事件は1日に150件以上起きると言われている。これがキャッチコピーになるほど。

そんな街で警官をやっていれば、心も荒むであろうなあ。
ちなみに、輸送車襲撃計画はかなり穴だらけ。
まず、一味の中で信頼関係が成立していない。
凶悪なボスのもとに集っているだけで、よくわかんない人物すら混じっている。
そしてチリの考えもとても甘くて、かつて潜入捜査していた場所で
一味のうちの一人と顔を合わせたことがあるって。
シューズは慎重なので、こんな計画は駄目だと散々言うんだけども、
なんだかんだ丸め込まれて(チリが心配だったんじゃないかと思うんだけどね)
参加する。かと思いきや、外で張っていたら見つかってしまう、っていうね。

襲撃計画の前に、散々怪しまれ、シューズは始末されそうになる。
ここからチリが切り抜けていく様がみどころ。
終始ハラハラしっぱなしでした……。
この荒っぽさがまた、犯罪多発地域の無常さを物語っていて、
舞台がアメリカだと全然流れが変わってくるだろうなあと思います。
整備されていない車だとかね。
現金輸送車のガードマンの切ない語りとか。

そして色々と失敗し、何人も人が命を落として、チリがみせた表情がすごい。
自分は警官なのに。なにをやっているのだろうっていう、自問。
ただほんの少しだけ、悪人どもを叩きのめしてお金を頂いてやろうという
悪魔のささやきに誘惑されてしまった結果の重大さを、
暑い暑い道路の上で思い知るわけです。

ただの洋画として見てはいけない、ものすごくやるせない物語でした。
タイトル通り、裏切りの獣たちの話。
久しぶりにじーっと画面を凝視してしまった。
素晴らしい作品でしたがバイオレンス注意(でも結構控え目)。
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2015-06-30(Tue)

「ザ・レイド」「ザ・レイドGOKUDO」

ずっと気になっていたのにレンタル中のままでなかなか借りられなかった
「ザ・レイド」をついに観てみるの巻。

舞台はインドネシア。
1作目の物語は、悪人逮捕のために凶悪な住人だらけのアパートに潜入して
大将首をとってくるぜい、というもの。
主人公のラマは警察官で、20人の舞台で突入。
こっそり入り込み、目指すはてっぺんだぞい、みたいな感じが
途中で見張りに見つかってバトルスタート。

見張りっていっても子供なんすけどね。
その子供も命がけで組織のために働くし、
警察側も容赦なく撃ち殺すみたいな世界観です。

とにかくもう、戦いの連続なんだけれども、
戦いが基本「殺し合い」なところがすごい。
撃たれたら戦闘能力なくなる→おわり
じゃなくて、とにかく動けなくしないと敵も命狙ってくるしと
地獄感1000%の凄まじいバトル。
残酷極まりない映像が続くんですが、なんでだろうな。
全然嫌じゃないんだなあ。「渇き」とかと違って。
スタイリッシュ凄惨アクションには、見せ方のセンスが必須なんすね。

散々戦って警察官は残り5人。
動けなくなった仲間を一人匿ってもらい、
巡査部長と4人で再び地獄の道を行く主人公ラマ。
戦いはホント、ゆるい部分が一瞬もなくて、素晴らしいのひとこと。
シラットっていうんすねえ。すんごいカッコいいです。
主人公がずっと警官の装備のままっていうのも良いなあ。
あの恰好してるから狙われるのでは……って思ってたら
お兄さんが言ってくれてw でもこのままでって答えるラマ超カッコイイ。
愛する妻ともうすぐ生まれる子供のために、生きて帰るのだっていう。
男の美学をひしひしと感じる作りでございました。

その続編の「ザ・レイド GOKUDO」は、
今度はもっと大きな組織に潜入捜査官として入り込むという話。
潜入捜査って本当に地道に、時間をかけてやるのだなあって
「ディパーテッド」を思い出しつつ、
刑務所に2年も入れられ、妻子に会えないままのラマが可哀想でならぬ。
冒頭でアニキがうっかりやられているところもうわあってなって、
刑務所のトイレでの戦い、泥だらけバトル
(よく刑務所の中であそこまでやるものだと感心)
潜入からの、日本語聞き取りづらい。

ドンの息子のウチョとの友情めいたものと、
二代目の焦燥、苦悩、組織の運営などなど
描きたい物を存分に描いていたのではないでしょうか。
一作目は限定された場所への潜入→脱出であり、ストーリーはないようなもので
すっきりシンプルな仕上がりだったんだけども、
二作目はあれやこれや盛り込んで、戦いもバリエーション豊富で甲乙つけがたい出来。
とりあえず、厨房って武器がてんこもりで危ないなっていうのと、
なんでみんな抜き身で刃物持つんだとか、ハンマーってヤバイなとか。

話そのものはシンプルなんだけれども、野望が混じって膨らんではじけて
最後はちょっと切ないくらい。
一番最後の「断る」のあと、ラマが生きて帰ることを願ってやみません。

「キック・アス」も爽快なアクションシーン満載なんだけれども、
こんなにぎゅうっとはされなかったなあ。
あっちの2はあんまり合わなかったし。
いやあ、もっと早く観れば良かった……。超良い映画でした。



この2本のあとに「超高速!参勤交代」を観たんだけど
ゆるすぎて耐えられませんでした。

2015-06-20(Sat)

「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」

「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」

ヴァンパイアたちが4人で暮らしているシェアハウス。
その日常生活をカメラで追って映してみました的ドキュメンタリー風映画。
面白かった!

なんでニュージーランドなんだよ……っていう違和感は最初にあるものの、
語りも表現も軽快そのもので、
多少のグロいシーンも愉快痛快。
苦手な人は絶対に無理だろうなと思えるレベルのグロもあるんだけれども
演出の巧さのせいなのかなあ。笑えたなって感じ。
特にポテトを食べたところがホントにw声を出して笑ってしまった。

十字架に弱い、鏡に映らない、招かれないと入れない、などなど
いわゆるメジャーなヴァンパイアの弱点はそのまんま、
舞台となるシェアハウスに住んでいるのは結構な有名人で、
割とコテコテな設定なのでよりすんなり受け入れられる気が。

四人の安定した生活は、一人の新入りの加入でガラっと変わるんだけど
その変わり方もいい感じというか。
ジェネレーションギャップと、新しい波を受け入れたり、
彼らの長い人生の中にある切なさを描いたりと、
非常にいい感じの名作。

検索してみたらこんな記事が。
ほとんどがアドリブだったとかw
素晴らしい編集だったと思います。よくこんなちょうどいい長さにしたなあ。

やー、面白かった。すっきりと楽しい映画だった。

2015-06-19(Fri)

「インド・オブ・ザ・デッド」「白ゆき姫殺人事件」

インド・オブ・ザ・デッド

タイトルが気になって仕方がなかったので。
従来のインド映画とは違った作りで、歌と踊りはなし。
あと、ラブシーンあり。
つまり、インド人が出演しているだけの普通のゾンビ映画ともいえる。

ゾンビのメイクはクオリティが結構よくて、
インドジョークもたまには出てくるんだけども
なぜか寂しい気持ちになる不思議な作品でした。

映像や演出はいい感じだったよ。


白ゆき姫殺人事件

美人OL殺人事件が起きて、とあるテレビ関係者が
後輩に「職場の先輩が殺された」と聞かされて
内情がツイッターで拡散されていって大変になっちゃう話。

この話が言いたいのは、人の記憶なんてその時の感情に左右されてしまうものだし
一方的な見方、断片的な情報だけで推測するなんて愚かなことだよ。
だけど最近のインターネット、特にSNSの発達もあって、
個人名が特定されて情報がバラまかれてしまうし
冤罪だった場合超悲惨ですよね、ということなんだと思いました。

確かになあ、っていう話ではある。
あいつ、悪いことしたらしいよ、って言われたら
その人の悪い印象ばかりが記憶の中でクローズアップされてしまいがちだし。

ただ、そういう現象をはっきりわかりやすく描きすぎていて、
かえってありきたりというか、特別感のない話になってしまったような。
最初から悪意がありすぎるのが、逆にあやしいでしょ、てな感じで。

井上真央のくらーい感じはとても良かったし、
綾野剛の軽薄な演技も良かったです。
あと美人OLの菜々緒さんもね!良かったよー。
でも夕子ちゃんはやりすぎかな。あれじゃあアホみたいだけど……。

最後は超無難な邦画らしいまとめ方すぎて、
つまんないと思わされてしまった。
途中まではちょっと良かったんだけども。
とても惜しい話でありました。

2015-02-23(Mon)

「ストリートファイター 暗殺拳」

「ストリートファイター 暗殺拳」

カンフー・ハッスルの次にみーよう♪と思っていたら
想像よりも長くて時間がかかってしまった(1日目寝落ち)。
この長さは……って思ったけど、ホントはもっと長いのね?

いわずとしれた格闘ゲームの映画化作品。
ではない、ストリートファイターを愛する余り、
ストリートファイターのちゃんとした映画を本気で作ろうじゃないか!
よし、やろう!
みたいな決意の結果がこれなのだな、と見て思いました。

かつてハリウッドで何回か映画化されたと思うんですよ。
アニメもあったね。アニメはなんかすごかったねw

でもそれは、ハリウッド流の「ウケる感じ」に染め上げられただけで
ストリートファイターの映画ではなかったと思うんです。
だから、真のファンは怒ったよ!
みたいな流れを感じるかなり愛を思わせる一本。

ストリートファイターっていったらやっぱ一番有名なのは「Ⅱ」で
リュウとケンが同門で、世界を飛び回ってファイターたちと戦って、
みたいな印象だと思うんす。
ゼロとか3とか続いていくけれど、基本はやっぱⅡだし、
リュウとケンかなあって。チュンリーやガイルもいるけどまあ、
とりあえず中心に据えたいのはリュウとケンのお二人。

だから、この映画ではリュウとケンが世界へ羽ばたくまでの修業時代と
お師匠様たちの苦悩、暗殺拳にまつわる悲劇や
戦う者の心意気だのなんだのをものっすごく丁寧に描いております。

最初にまずリュウとケンが出てきて、一緒に滝行に行くんですが
このシーンがなんともみずみずしくて、若々しくてくすぐったい。
で、先生がかっこいい。先生の師匠もかっこいい。豪鬼怖い。

私はあんまり詳しくないので、どこまで公式の設定としてあったのかは
正直わかんないんですが、とにかくカプコンの作ったストリートファイターの
リュウとケンへと続く系譜の部分を忠実にやったんだ!感がすごくて
映画の見せ方としては若干弱い部分があるんですが
(アクションだと思っていたのにどっちかっていうとドラマ寄りだけど
 設定がリアル過ぎて重たい。でも必殺技は撃つから、少し不思議なテイストに)
この愛は本物だなって。その部分に撃たれましたよね。って思った。

アクションも相当忠実にやってるなあって。
必殺技の見せ方なんかもすごくこだわってやってるよね。蹴りの形とか、
ああこうだったそうだった、って頷いちゃう感じで。

途中、ちょっとだけ笑ってしまったのは、
お寺の障子(ふすまだろうか)に描かれていた絵の「お前が書いたんだろ」感と
ロックマン2に大はしゃぎのリュウとケン(可愛い)
いつまでも飛んでいく波動拳(UMAの正体だなって思った)
米軍基地でガイルが出ない(そりゃそうだ)
の部分かな。ユーモアも混ぜつつ、真剣に作った真摯な作品でした。

袴はいてるケンが可愛かったなあ。
日本語と英語が切り替わるタイミングが全然わかんなくて
ちょっと戸惑ったけど。
っていうかリュウもケンも絶妙なバイリンガル具合でズルいなってw

ただ、ストリートファイターをまったく知らん人にはわかんないね。