南アフリカの作品。
危険な潜入捜査を行い、また一人悪を捕まえた警官チリと相棒のシューズ。
ところが期待していた報奨金はもらえず
(チームを無視し、独断で動いたからという理由でもらえない)
やってられるかとすっかりやさぐれてしまう。
今度は許可ももらわずに勝手に潜入捜査を始め、
悪人たちの現金輸送車襲撃計画に参加し、
それをかすめ取ってしまおうと考えているチリ。
ところが、真面目なシューズは渋い顔。
もうすぐ子供が生まれるのに、真面目にやっている自分たちは貧しいじゃないか。
チリは散々訴えて、とうとうシューズの心が動く。
そして計画が実施されようとした時、チリたちのプランにも大きな失敗が起きて……
という話。
前提として、舞台が南アフリカであるというのが大きなポイント。
日本でだって大小さまざまな犯罪が日々起きているわけですが、
南アフリカは本当に犯罪発生率が高い。
強盗事件は1日に150件以上起きると言われている。これがキャッチコピーになるほど。
そんな街で警官をやっていれば、心も荒むであろうなあ。
ちなみに、輸送車襲撃計画はかなり穴だらけ。
まず、一味の中で信頼関係が成立していない。
凶悪なボスのもとに集っているだけで、よくわかんない人物すら混じっている。
そしてチリの考えもとても甘くて、かつて潜入捜査していた場所で
一味のうちの一人と顔を合わせたことがあるって。
シューズは慎重なので、こんな計画は駄目だと散々言うんだけども、
なんだかんだ丸め込まれて(チリが心配だったんじゃないかと思うんだけどね)
参加する。かと思いきや、外で張っていたら見つかってしまう、っていうね。
襲撃計画の前に、散々怪しまれ、シューズは始末されそうになる。
ここからチリが切り抜けていく様がみどころ。
終始ハラハラしっぱなしでした……。
この荒っぽさがまた、犯罪多発地域の無常さを物語っていて、
舞台がアメリカだと全然流れが変わってくるだろうなあと思います。
整備されていない車だとかね。
現金輸送車のガードマンの切ない語りとか。
そして色々と失敗し、何人も人が命を落として、チリがみせた表情がすごい。
自分は警官なのに。なにをやっているのだろうっていう、自問。
ただほんの少しだけ、悪人どもを叩きのめしてお金を頂いてやろうという
悪魔のささやきに誘惑されてしまった結果の重大さを、
暑い暑い道路の上で思い知るわけです。
ただの洋画として見てはいけない、ものすごくやるせない物語でした。
タイトル通り、裏切りの獣たちの話。
久しぶりにじーっと画面を凝視してしまった。
素晴らしい作品でしたがバイオレンス注意(でも結構控え目)。
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