忍者ブログ

2020-01-21(Tue)

DEVILMAN crybaby

ずっと入りたいと思っていたネットフリックスにとうとう加入して、さてなにを見ようか。
本当はコレって決めていたものがあったんだけど、なんとなーく見ちゃったのが

DEVILMAN crybaby

いわずとしれたデビルマンの、何作目かわからないアニメ版。
連載当時にやっていた、いわゆる変身ヒーローものだったアニメ版とはまったく違う道を歩んでしまった大問題作であるコミック版をベースにしている、と思う。
作品の解説だとか、どんな人が作っているかはまったく知らないまま見て、で、結局最終話まで一気見してしまったという……。エネルギッシュな作品でした。

私はもともとデビルマンが好きだし、あんな作品を作って世に出した永井豪は本当にすごいと思っているクチで、実写映画版はガッカリしたし、コミックはオリジナル版、デビルマンレディー、衣谷遊の書いた「AMON」「ストレンジデイズ」、あと「デビルマンG」なんかも読んでます。


で、今回のアニメ版。
オリジナルの漫画版にプラスして、デビルマンレディーで描かれた要素、AMONで描かれた古代の世界なんかが追加された上で、原作の通りの流れを進む感じだったかなあと思いました。
とにかく、残虐表現が激しく、性表現もかなりあからさま且つ多め。

オリジナルの偉大さがまずドカンとそびえたっている作品なので、どうしても賛否両論になっちゃうんじゃないかと思いますが、個人的には、成功か失敗かはわからないけど、正解だなって印象。

ストーリーはオリジナル通り。それやっていいの?ってくらい原作通り。
でも舞台が現代になったことで変わった点もあり。
この、現代化に関してはかなり好印象でした。


かわったことのうち、かなり良かったのが

〇ミーコの存在

知らないうちにデビルマンになってしまい、不動明に救われて仲間になるのがオリジナルのミーコ。
今回のアニメでは、美樹と明と同じ学校で陸上部に所属している、美樹のライバルという位置づけ。
しかも、名前がミキで、有名な美樹と被っているせいでミーコと呼ばれているっていう。
嫉妬と友情の狭間で揺れるさまがとても良くて、デビルマンレディーの黒崎もちょっと入ってるように見える。
デビルマンになった後、誰だお前!ってなるのがまた、惜しくて(清楚から野獣という激しすぎるキャラ変をするので)たまらん。

〇牧村家の両親

お父さんが白人で、牧師になっている。
ゆえに、美樹もハーフであることをああだこうだ言われる過去があるなど、キャラクター造形に一役買う変更点に。
弟のタレちゃんの歩む運命は、なんかもうね。ここに入れたかって感じで泣ける。
なので、研究所へ連行されるという運命もなくなっており、雷沼教授の出番は大幅カット。

〇美樹ちゃん

これはもう、変えないといけないんだよね。特に、口調。
連載当時とは時代が違い、明に対して強気なキャラクターにしなきゃいけないんだろうけど、元のままの性格は現代と合わなさすぎる。拙者とかオヌシとか。
このアニメ版では、高校陸上界のスターで、SNSでも多くのフォロワーを抱える有名人という設定。
芯の強さはそのまま。明に対してはさっぱりとした姉御肌対応をするのが、元の美樹へのリスペクトを感じる。

〇ドス六たち

美樹や明と揉めてこてんぱんにされ、仲間になる不良グループもそのままでは出せない存在で、思い切った改変が加わっている。ゴリゴリの昭和の不良から、ラッパーのグループに。
最初、なんだラップとか、って思ったけど、途中で深く納得。
ちょい悪グループとか半グレじゃ、絆を大切にする感じがうまく出せないんだろうなって。
うまくハマるのがラッパー。確かに、家族に感謝とか強く生きることを歌にしがちで、バトルのイメージもあるラッパーは良いチョイス。声優は本物のラッパーなのかな。なので、声の演技はちょいと足りない。

〇ジンメン

今作では不動明の両親がはっきりと登場していて、ジンメンの犠牲になるキャラクターが変わっている。
確かに、近くの公園で仲良くなった幼女とか、時代のズレを感じるのでこれで正解だと思う。
このアニメの明は本当によく泣く。涙は大切なエッセンスであり、ジンメンのエピソードは物語に欠かせないものに仕上がっている。

〇SNSのコメント欄

現実にもある、地獄みのあるコメント欄が見ていて苦しくてたまらない。
美樹の誠実さとの対比具合が見事で、見ている人を嫌な予感という名のグラグラに煮えた窯に落とす効果がある。

〇性表現

最初のサバトのシーンから、もー裸裸セックスセックス、大量に出てきます。
デビルマンレディーで、性衝動の強さもデビルマンになったものの特徴だって話があるんだよね。
あれは、主人公が女の子になったゆえにより突っ込んだ表現にしたものだと(掲載誌が青年向けになったのもあるでしょうが、でもやはりあえてストレートに描いただろうなーなんて)思うんだけど、今作にもしっかり適用されており、明もミーコも、みんな衝動に揺れたり負けたりしている。
性も残虐さも存分に描いていて、地獄感はマシマシになった。
インターネットなんかうかつに開いたら、エロ動画に囲まれてしまうのが普通の人の世の中なんだから。悪魔が絡んだらもっともっとで当たり前だよなあって。
同性愛表現も入れてあって、これがまた効果的で、よくここまでやったと思う。

〇走り方

明も美樹もミーコも陸上部で、ひとり重要な登場人物である新たなデビルマンも、走る。
彼らの走りがケモノそのものって感じで、ああ、デビルマンになるってこういうことなのだなあ……という妙な説得力があった。ヘンだけどね。ヘンだけど、納得。魅力があった。



こんな感じかな。


変更がなくてぐっときたシーンもいろいろある。

〇シレーヌとカイム

嫉妬に揺れながらも愛を貫くカイムと、誇り高き戦士のシレーヌは、迫力たっぷりで表現されていて満足。
カイムの顔がスパーンされちゃうところもそのまんまで感動。

〇チベットの高僧

本当はもうちょっと出てほしかったけど。でもちゃんと出てた。なので良し。

〇ゼノンとサイコジェニー

ゼノンとサイコジェニーのデザインは、完璧だなって見るたびに思う。
今回サイコジェニーはかなり強くて、あんな攻撃するんか……って感心してしまったし、戦ってた人間と、その末路もなんだかすごくてめちゃくちゃ満足してしまう。

〇ドコドンドコドン

このシーンの音楽は悲壮そのものって感じだったけど、いわゆるドコドンも完全再現。
明が少しずつ黒く染まっていって、あのシーンで最終形態になったような演出もあり。
このシーンでめちゃくちゃ泣いてしまった。



とまあ、褒めちぎったけど、ダメだったところもある。
画的にはとても良いとは言えなかった。
ところどころ、酷いな、って思うシーンがあった。

特に、悪魔の絵が最後はペラペラでね。
でも、悪魔が実際あんなペラペラな体だったらますます怖いかもしんないけどさ。
あれだけドシリアスなのに、食べる表現だけやたらとコミカルなのも消化し辛い。
もうちょっと絵的にはちゃんとしたらいいのになっていうのが一番不満。


あとは、ラストのラスト、本当にラストのシーン。
飛鳥了と不動明が二人でいるシーン。
あれは、原作通りの方が良かったかなあ。ちょっと語らせすぎたというか。
愛を知らない、という解釈に引きずられすぎたように感じた。
サタンはもとは天使だったんだから、彼だけは別でもよかったのではないか、などと考えつつ、永井豪天才だなって改めて思う。




正直、絵の粗さは気になるんだけど、でも、それでも疾走感があって、全体的な印象は〇。
原作の持つ荒々しさをまっすぐ表現しようという気概が感じられて(個人の意見です)、現代化もすごく上手にできていて。見て良かったよなあって思いました。
正直、こんなに泣くとはってくらい泣いた。不動明の憤り、悲しみが伝わってきた感じがある。


日常生活でデビルマンについて、今回ほど過激な表現満載なものを語り合える相手もいないので、ブログに記録。デビルマンはやっぱすごいね。ほんと、社会に向けて叫びたい。人間を殺すな!って。そんな感じ。
PR