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2016-09-01(Thu)

「ピエロがお前を嘲笑う」

ピエロがお前を嘲笑う


2014年、ドイツの映画。
ハッカーの青年が自首してきたところから物語はスタート。

幼いころから孤独だった、とベンヤミンは語りだす。
聞いているのは、ユーロポールの捜査官ハンネ。
そんな些細な話はいいというハンネに、
ベンヤミンは細かいところが大事なんだ、と
自らの生い立ち、家族構成、ハッカーになった経緯を順に話していく。
殺人容疑をかけられたベンヤミンが
自らの潔白と自由のために自白をするが、最後の最後にうわーってなります。

という映画。最後は確かに、狐につままれたような気分になります。

主人公のベンヤミンと仲間たちが名乗ったグループ名が「CLAY」。
これが、タイトルの「ピエロがお前を嘲笑う」の略なんです。
CLAYは四人のハッカーで構成されておりまして、
基本的には侵入するだけで実害を与えない、
愉快犯的な集団なんですよね。
彼らというか、主人公のベンヤミンととあるきっかけでしりあったマックスは
「MRX」という凄腕のハッカーにあこがれており、
というかハッカーの皆さんは「ダークネット」なんてアンダーグラウンドな場所に集まり
それぞれになりたい自分の姿で腕を競いあったりしているんです。
実際にはみんなPCの前でカタカタしてるんでしょうけども、
薄暗い地下鉄の中でひそひそやりあっているイメージに仕上げたのはうまいなーと。
で、銀行だのなんだの忍び込んでは面白いことをして名をあげていくものの、
なんだか憧れのMRXさんには認めてもらえない。
結構いい線いってるのに!と途中でイライラしてしまって、つい。
やる予定じゃなかったことを一線を越えてやっちゃうんです、ベンヤミンは。
そうしたら、とある別のハッカー集団の一人が殺されてしまう。
状況的に、CLAYがやった、と勘違いされちゃうわけです。

ここまでもかなり面白い、見ごたえのある内容になってるんですが、
そこからどうした、という経緯がまた面白くてね。
ハッキングされていたのはPCだけじゃなくて、人の心もだった……みたいな。

映像の彩度の低さとか、登場人物たちの地味めのビジュアルとか、
世界観によくマッチしていて視覚的にも面白かったです。
ああいう、イメージをうまく画で見せられる監督って素敵ですねえ。

ドイツの映画は結構突き抜けてるものが多くて、
それでいてちょっと邦画的でもあり。
この作品も結構良かったです。
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2015-09-16(Wed)

「デッドハング」「ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない」「AKIRA」

エクスペンダブルスの1と2も観たんだけど、
わたしはそこまでアクションスターたちに思い入れがないことに気付いたので
感想は割愛。とはいえ、画面に次から次へとスター俳優が出てくるのは愉快な体験。

個人的には、1作目にエンジェル・バチスタが出てきたのが味わい深かった。


「デッドハング」

久しぶりに観てものすごく後悔した映画。

突然同僚が自殺し、そんな人ではなかったのに……と落ち込みながら
彼の私物を片付けていた主人公ジェーン。
こっそり隠されていた(ってほどでもない)USBメモリの中身を確認すると、
なんと会社の金がごっそり横領されている証拠が!
こいつは大変だ!と新しく上司になった男に報告すると、
監査役を呼ぶから待て→来る→様子おかしい→始末されそう!
ジェーンは逃亡するが、果たして彼女の運命やいかに!?

みたいな映画。

主人公のジェーンは逃げた結果、エレベーターに閉じ込められてしまうんだけど、
この辺りがもうどうしようもなくグダグダ。
WOWOWの作品紹介を見ると、逃げる側も追う側も準備が出来てなくて
お互い手詰まりになってしまうところにおかしみが……って書いてあったけど
その辺りはまったく面白くなくて、むしろイライラしてしまう。

エレベーターは動かなくなり、手動で扉を開けようとするも、
内からも外からもどうにもならない。
追う側であるフランクは冷徹な男……っぽいんだけども、
銃はすぐ弾切れになるし、やらなきゃいい無駄な殺しを二件も働く。

汚職の証拠をもみ消したいのに、無駄に死人ばかり増やしてアホすぎる。

ヒロインも、ただただエレベーターに閉じ込められてどうにもならない。
追う側も1人しかいないもんだから、色々と手抜かりが多くてねw
最後もスッキリしない、溜飲のまったく下がらないおちで、
まあ考えてみればリアルな造りなのかもしれないけど、
映画としてはどうなんだという出来。

画質の高い自主制作映画みたいな雰囲気でした。


「ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない」

ドイツ映画。
真面目でちょっと冴えない男がうっかり銀行強盗の人質にされ、
犯人と同行しているうちになんとなく気があっちゃって、
ようやく家に帰れると思いきや妻が浮気!(誤解なんだけど)
重ねていた我慢が限界を迎え、自由に生きてやるんだ!と
犯人と一緒に行動しているうちにどうしようもなくフィーバーしちゃって……!

という話。これは面白かったw ドイツのパンク魂が炸裂しているというか。
不謹慎なハードルをちょいちょい飛び越えてて、そのさじ加減が絶妙。

自分がかつて抱いていた夢と、愛する人と作った家庭とこども。
生きていくっていうのは我慢の連続なんすよね。
自分が信じようと決めたものを信じ続けて生きて行かなければならないのに、
妻のわがままと不貞、断っていた酒の力にふりまわされて、
主人公のティルはどんどん壊れていき、最後は銀行強盗に成り果ててしまう。

自由に生きる悪の相棒、ナッポに憧れたり、うらやましく思う気持ちはわかるし、
自分の専門分野を意外なところで生かせて喜んじゃうのもわかる。

最後は妻とよりを戻せて本当に良かった。
笑いあり、ハラハラドキドキもあり、最後はほっとできるという超王道設計。
でも途中のティルの暴れ具合が本当に愉快。
妻が浮気したと勘違いされる理由は、本当に酷いw
面白かった。


あと「AKIRA」。
アニメ映画のやつです。1988年作品とは思えない、高いクオリティにビックリ。
昔観た時には、面白いけどよく話がわからないような……と思っていたはず。
原作を読んでしまったからだと思うんだけども、
確かに言葉が足らない、はしょりすぎている部分が多い。
原作が完結していなかったので仕方ないとは思うんだけどね。
でもそれにしても、映像と音楽が本当にクールで、攻めてて、かっこよくて、
一瞬たりとも隙がない、素晴らしい出来なんじゃないかと思います。はい。

ミヤコとか根津あたりは惜しいよなあ。
竜の死にざまもちょっと。原作準拠なんだけど、途中がないから???ってなるかも。

金田の若々しい声がいいよね。
鉄雄の記憶の映像とか、ぐっとくるし。
バイクの映像がとにかくかっこいいけど、でも車の描写も良かったと思う。
群衆のひとりひとりが全員違うファッションに身を包んでいるのも、
丁寧な仕事で感心しきりです。

原作通りであのクオリティのアニメ作ってくれたらみるのになあ。
5部作くらいでも大丈夫。ちゃんと追う。